日常の実体験からも
ニュースを伝える
切り口が見えてくる

溝上 由夏

 報道局報道番組センター

「スーパーJチャンネル」デスク

仕事内容を教えてください。

『スーパーJチャンネル』で「その日のニュース」を決めるデスクをしています。朝は10時頃までにVTRやスタジオ解説の並び順などを決め、ディレクターに切り口などを説明して作業を依頼します。
デスクの日は早朝から情報収集に追われます。新聞や各局のニュースチェック、スマホで海外のテレビを流しながら身支度をしたり、子供にご飯を食べさせたりするので我ながらカオスです。出社後は、放送に向けてタイトルの文言を考えたり、VTRへ導入するための原稿を書いたりした上で、サブと呼ばれる副調整室に入って放送に臨みます。夕方は事件や事故、会見などでニュースが動く時間帯なので、放送中に大幅にニュースを組みかえることも日常茶飯事で、番組終了まで気が抜けません。

どんな学生でしたか?

社会学部で新聞学を専攻していましたが、映像表現や映画学に興味があったため、一旦留学して映像編集や映画学を学びました。留学先では大量の本を読んだり映像作品を見たりするなど、授業を通したインプットがある一方で、実際にENGを担いで撮影し、映像編集もして、授業で学んだ「理論」や「法則」を映像に落とし込む機会がたくさんありました。テレビである出来事を取り上げるときには、その物語を映像でどれだけ表現できるかが重要です。学生時代に体験した、大量にインプットをした情報をもとにトピックを見つけ、自分なりの視点をもとに撮影や編集を経て映像を作り上げることが、今の仕事にも生きていると思っています。

今までの仕事で最も印象に残っている出来事は何ですか?

保活に苦労しながらも1人目の育休から復帰した2012年に、「隠れ待機児童問題」を取り上げました。当時は待機児童問題がテレビで大きく報じられる事は少なく、自分自身が保活をしてみるまで自治体によって待機児童のカウントの仕方が違うことなどに気付けていませんでした。その時感じたモヤモヤを企画に落とし込もうとしていたところ、杉並区で「保育園一揆」ともされた保護者のデモが起き、すぐに取材に向かいました。これをきっかけに「隠れ待機児童問題」を放送したところ、翌日以降新聞各紙が追いかけ始めるなど大きな流れになっていきました。夜回りや当局取材からでない端緒を報道につなげられた経験として、自分にとっても大きな自信になりました。

テレビ朝日に入ってよかったなと思うことは何ですか?

何よりもテレビの生放送に関われていることです。情報や映像を集める記者やカメラマン、編集に関わるディレクターや編集マン、テロップを作る人やスタジオの照明などを担当する技術者など、想像できないほど多くの人が毎日全力で放送を作っています。また、日々のニュースには、多くの記者やディレクターが様々なアンテナを張っているからこそ、最新の情報や様々な視点を放送に反映する事ができます。1人で頑張るのではなくチームで協力しながら放送を作り上げるのは純粋に楽しいです。また、テレビ報道は記者やカメラマンが撮影した「今」の映像と、撮りためられた「過去」の映像両方がなければ成り立たちません。
この点は新興メディアにはない強みだと思います。

仕事終わりや休みの日は何をしていますか?

19時前までの放送を終えてから帰宅するので、夜はかなりバタバタしています。子供にご飯を食べさせたりお風呂に入れたりしているとあっという間に夜中になっているので、ほぼ記憶がありません…。休日も基本子供の相手をしたり、家を片付けたりしていると気付いたら夜になっています。ただ、こうした日常の中で拾えるネタもかなりあるので、保護者同士の会話や学校の先生、近所の方との会話を大切にしています。また、週末は他社も含めた記者やディレクターと勉強会に参加し、情報交換をすることも多いです。もちろんボーっとするだけの週末も多いですが、毎日のニュースに生かせるよう、なるべく多くの情報に触れるようにしています。

学生へのメッセージをお願いします!

テレビは今、価値観も仕事の仕方も変革を求められている時期だと思います。何がニュースかという感覚も世代によって全然違いますし、どういう媒体でどういう手法で情報を発信していくのかを日々考え続ける必要があります。チャンネルを合わせれば情報が入ってくるというテレビの利点を今後どう生かしていくのか、若い方の視点やアイディアをどんどんもらえることを期待しています。

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