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アナウンサーの仕事

総合編成局アナウンス部田中萌

開局以来、若者を中心に想定以上のスピードで普及している『AbemaTV』。
2018年4月から、新たなニュース番組『AbemaMorning』が始まった。
メインキャスターに抜擢されたのは、入社4年目の田中萌アナウンサー。
たった一人で番組の進行を担う彼女の信念と、意外な素顔に迫ってみた。

『AbemaTV』は、視聴者が無料で楽しむことのできるインターネットTVだ。毎日約20のチャンネルで様々なジャンルの番組を放送している。その中で、ニュースを扱っているのが『AbemaNews』。2018年4月、このチャンネルに朝のニュース番組『AbemaMorning』が仲間入りし、田中アナウンサーがメインキャスターに抜擢された。

「話があったのは3月頃。最初に関わったのは、『どっちのデザインが良い?』と、番組のロゴマークを決めるミーティングからでした。新しい番組を任されることに対しては、不安よりも『嬉しい!』という気持ちの方が大きかったですね」と、当時を振り返る田中アナウンサー。
メインキャスターとして番組の「顔」役を任されるのも、AbemaTVの番組にレギュラー出演するのも初めてだったにも関わらず、意外にもその状況を楽しんでいたようだ。

「新人の頃からまわりの先輩方や同僚から『ちょっとしたことでは動じなさそう』と言われていました(笑)。それにAbemaTVは、開局3年目の可能性がまだまだ未知数なメディア。そのメディアで新しい番組のメインキャスターに選んでいただいたことで、改めてアナウンサーとしての仕事への責任感が強まりました」。

しかし、やる気とは裏腹に、番組全体の流れが固まりきっていなかった放送開始当初は、戸惑いの連続だったという。ニュースの原稿が放送開始ギリギリまで手元に届かなかったり、放送中に急遽差し込みで予定になかったニュースが入るなど、生放送にはイレギュラーがつきもの。瞬時の判断力やアドリブ力もアナウンサーに必要な能力のひとつだ。

「これまで関わってきた番組には、必ずアナウンス部の先輩やゲストの方が出演していましたが、『AbemaMorning』に出演するのは基本的に私一人だけ。以前は何かイレギュラーな対応があったら誰かに頼ったり、甘えたりすることができましたが、今はすべて自分で対処しなければなりません。残りの放送時間に常に気を配りながら、ニュースを読むスピードを調整したり、どんなコメントを何秒分用意するか同時進行で考えるのは、パズルのピースを埋めるのと似ているのかもしれませんね。番組が始まって間もない頃は、それが上手くいかず、焦って原稿をつっかえてしまうこともありました……」。

現在は40分間の生放送に堂々と涼しげな表情で臨んでいるように見える彼女にも、思い通りにいかない時期はあったようだ。

「30秒用意するから、田中さんが読んだニュースに対して感じたことを自由にコメントしてみない?」。

放送が始まって1カ月経ち、番組全体の土台がようやく固まってきた頃、スタッフからこんな提案を持ちかけられたという。しかし、この提案に対し、「私はコメンテーターではなくアナウンサーですから、あくまでも中立的で、自分の考えを押し出さない存在であることが大切だと思っていました。ですので、『自分の気持ちがテレビ朝日の意見として流れてしまって良いのだろうか?正しいコメントができるだろうか?』……と悩んでしまったんです」と、当時の想いを振り返った。

そんな彼女に「視聴者に『田中アナウンサーがやっている番組だから観よう』と思ってもらうには、ただニュースを伝えるだけでなく、『自分はどう思うのか』を発信するのも大切。もっと自分の気持ちを出してみようよ」と、部長がアドバイスしたという。

そのアドバイス以来、ニュースに対して自分なりの意見を持ったり、コメントできる時間がある場合にはコメントを用意することが田中アナウンサーの習慣になったと同時に、自分がこの番組のMCなんだ、という意識が強まった。

「もちろん、好き勝手言うのは良くないので、放送前にスタッフの方々とすりあわせを行いますが、以前よりも自分の本音を出せるようになったと思います。こういった柔軟な対応ができるのは、AbemaTVの番組ならではの特徴かもしれません。例えば、平日21時〜23時に放送される『AbemaPrime』も、メインキャスターの自由な発言が人気の番組。コメントの切り口などを参考にさせてもらっています」

西日本豪雨やオウム真理教事件の死刑執行、スポーツ界の不祥事問題など、番組を任されてから数カ月間で数々の大きなニュースの発信を担ってきた田中アナウンサー。中でも、特に印象的深かったのは、2018年6月18日に発生した「大阪北部地震」だったという。

いつも通り朝7時35分に放送を終えたわずか約25分後、ほっとひと息ついていたときに最大震度6弱の地震は起こった。折しも、多くの人々が通勤・通学中の時間帯。鉄道や飛行機などの交通機関のほとんどが運休・運転見合わせし、混乱を極めていた。

テレビ朝日のアナウンサーは全員、日頃から緊急災害時のアナウンス訓練を行っているが、田中アナウンサーが実際の放送で臨むのは初めてだったという。しかし、訓練とは全く違う緊張感の中でも、田中アナウンサーは混乱を表に出すことなく、一人で特番をやり遂げた。

「電車内や機内に閉じ込められていたり、テレビが近くにない被災者の方々にも、スマートフォンが手元にあればAbemaTVを通じてリアルタイムで必要な情報を届けることができるのだということを、この日改めて実感しました。実際に、『AbemaTVなら地震の情報が見られるよ』というツイートがTwitter上で拡散され、その日の視聴者数は大幅に伸びました。こういった非常事態のときに、必要とされる役割を担っているのだということに、大きな責任とやりがいを感じた1日でした」。

番組の放送開始から半年が経った現在は、新しい取り組みにもチャレンジ中だ。

「『スタジオで原稿を読むだけじゃなくて取材にも出たいんです!』という意見をぶつけたら実現したのが、ある分野で活躍する若者に密着取材をする『コレ×モエ』という企画。今までに元OLの女性寿司職人さんや、現役高校生の人気シンガーソングライターさんを取材させてもらいました。やりたいと思ったことをやらせてもらえる環境があるのはとても嬉しいですし、刺激になります。ロケや取材はこれからもっと増やして、この番組独自の情報を視聴者の方々に届けられるようにしたいです」

初回の放送から関わっているからこそ、「よりよい番組にしていきたい」という番組愛がどんどん強まっているという田中アナウンサー。インタビューの冒頭では自身を「動じなさそうなキャラクター」だと表現していたが、実はその裏側には努力家な一面も。

例えば新聞記事を紹介するコーナーは、どうしたらもっと視聴者に興味を持ってもらえるか、先輩アナウンサーや他局の番組を観て研究する。

動画が使えないスポーツニュースを伝えるときには、静止画でも臨場感が伝わるようなナレーションで躍動感が出せるように声色や話し方を変える。放送中に使用するフリップは情報に間違いがないか必ず確認し、何か気になる点があればスタッフに指摘する。
「いろいろな取材に行ったり、日々様々な事件やニュースを伝えていると、自分の無知さを痛感したり、『悔しい!』という気持ちがどんどん湧いてくるんです。毎日が、『次はもっとこうしよう』の繰り返しです。『まだまだこれから!』という想いがあるからこそ、毎日楽しくお仕事ができているのかもしれません」
自分に言い訳をしない。もっと成長したい。そんな意志の強さが、彼女の大きな「強み」であり、「魅力」なのだろう。

総合編成局 アナウンス部田中 萌
明治大学政治経済学部を卒業後、2015年4月にテレビ朝日に入社。同年9月から情報番組『グッド!モーニング』のサブ司会としてレギュラー出演を経験。2018年4月にはAbemaTVの新情報番組『AbemaMorning』のメインキャスターを任されている。
趣味:散歩、ミュージカル鑑賞
特技:書道、たくさん食べること
モットー&座右の銘:意志あるところに道は開ける

アナウンサーの仕事の難しさ:
日頃から自分がなぜこういう気持ちになったのか、なんとなくではなく理由を突き詰めて、
それを伝えていくことが求められること