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Challengers

総合編成局第1制作部
芦田 太郎

「あの頃仲が良かったあの人は、今、どこで何をしているんだろう?」。ふと自分の過去を振り返った時、こういった想いを馳せた経験はないだろうか。そんな誰しも一度はある経験にスポットを当てた「思い出バラエティー」番組。それが、今やテレビ朝日の看板バラエティーのひとつとなった『あいつ今なにしてる?』だ。「芸能人の卒業アルバムをもとに、学生時代は仲が良かったけれど今何をしているのかわからない同級生の『今』を徹底調査する」という、これまでになかった企画が好評を博し、2015年10月の深夜枠でのレギュラー放送開始からわずか半年で夜7時からのゴールデンタイムに進出。毎週豪華ゲストを迎え、小学校〜高校時代の仰天エピソードや意外な素顔をドキュメンタリータッチで紹介している。
この番組のプロデューサー兼演出を担う仕掛け人が、2008年にテレビ朝日に新卒入社した芦田太郎だ。彼は日々、どんな想いで番組づくりに携わっているのか。そして、「テレビ」という媒体にこだわり、勝負し続ける理由とは。ひとつずつ紐解いていこう。

「もしも自分の同級生が『あいつ今何してる?』のゲストだったら、当時のあなたのことを何と話すと思う?」
この問いかけに、芦田は「とにかく目立ちたがり屋の仕切りたがり屋だったから、煙たがっている同級生もいたと思います」と、照れくさそうに笑いながら答えた。小学校では生徒会長に、中学ではサッカー部のキャプテンと修学旅行の実行委員を兼任し、高校でもサッカー部のキャプテンを……と、学校で常に目立つポジションに自ら望んで立ち続けていたという芦田。彼の学生時代のモットーは、「文武両道、有言実行」。何かの代表を志望するからには、勉強だけ得意でも、運動だけ得意でもいけない。単なる目立ちたがり屋ではなく、あえてプレッシャーを自らにかけ、自身を奮い立たせて目標を追い続けてきた努力家でもある。

芦田はテレビ朝日への入社を決めた時にも、いくつかの目標を立てていた。まずひとつ目の目標が、「入社5年以内にディレクターになること」。そして、ふたつ目の目標が「入社10年以内にゴールデン番組をつくること」。結果として芦田は、これらの目標を見事成し遂げるのだが、そのためにはどんな苦労や努力を経たのだろうか。

「若手時代は『お前、企画出し過ぎ!ちゃんと考えて企画してるの?』と怒られるぐらいたくさんの企画書を書いては、月に何本も上司に提出していました」と、芦田は言う。そのほとんどは、日の目を見ることはなかった。しかし、どんなに打ちのめされようと、挫けることなく企画を考え続けたという。そこには、「ずっと企画を出し続けていれば、編成部門や部長に(番組制作への)思いが伝わる」という想いがあったそうだ。彼の地道な努力は実を結び、ついに入社3年目の終わり頃、特番の演出を経験。その後、さまざまなバラエティー番組にディレクターとして参画することになった。
晴れて『あいつ今何してる?』の企画が通り、深夜帯での初回放送が決まったのは、2015年10月。実は、芦田は2種類の企画を用意していたという。一方の企画は、「東大を主席で卒業した人が今何をしているのか」を追跡取材するというもの。この企画は芦田にとって「通すための“保険”的な企画」だったそうだ。そして、もう片方の企画は「芸能人の昔仲が良かった人が今何をしているのか」を調査し、インタビューするという挑戦的なものだった。
「僕の企画が通ったと連絡があった時、きっと前者の企画で制作を進めるのだろう……と思っていたんです。ところが、実際は後者だったんですよ。正直、自分でも『大丈夫かな?僕は面白そうだと思うけれど、視聴者の方々は興味を持ってくれるかな?』と思っていたのですが、『いいじゃん、やってみろよ』と、上司から背中を押してもらえたんです」
『今までにないものを創りたい』という芦田の姿勢が評価され、後日放送されたのが、アンガールズ田中氏の同級生の今を取材するという番組だった。親しかった同級生の現在の働く姿や、当時よくやっていた二人だけの特別な遊びを再現してもらい、その様子を収めたVTRを田中氏に見てもらうという内容の番組は、深夜帯ながらも高視聴率をたたき出した。

「実は、VTRの編集中は、田中さんがどんな反応をするのか予想がつかなかったんですよ。今まで、こんな番組はつくったことも観たこともなかったので……。でも、完成したVTRを田中さんに観てもらったら、絶対に演技じゃないって分かるくらい素な表情や、色んな感情が飛び出してきたんです。『えっ、このシーンでこんなに爆笑するの!?』『ここで感動して泣くの!?』みたいな……(笑)。印象的だったのが、その同級生の方が営業車に乗って運転しながらヘッドセットを使って電話をしているシーン。その時、田中さんが『あのリュウちゃんが、何かカッコいいの付けて仕事してる!』って大興奮しちゃって。その様子を見てすごく面白いと思ったと同時に、『これは今までのテレビにない面白さなのかも』と気づくことができました」
大きな反響を得たこの企画が『あいつ今何してる?』としてレギュラー番組となったのは、2016年10月。以降、ブラッシュアップを重ねながら、現在はゴールデン番組としてお茶の間に定着している。しかし、時には思うように視聴率が奮わない日も。そんな日は、ある先輩たちの言葉を思い出すという。
「以前、ゴールデンの特番であまり数字が良くなくて落ち込んでいたんです。でも、加地さんと山下さん(どちらもテレビ朝日のバラエティー番組を制作するゼネラルプロデューサー)が「お前が面白いと思えたならそれでいい」、「お前がブレたら絶対ダメだ。ブレずにやればいいんだよ」と言ってくださって。直属の上司ではない大先輩が一回り以上年下の僕にこんな言葉をかけてくれるなんて……と本当に感動しましたし、『こういう先輩がいる会社って良いな』と思いました」
周りに支えられながら、目標を見失わず番組を制作し続けている芦田は、並行して2つの番組のプロデューサー兼演出としても活躍中だ。ゴールデン番組を抱えながらも、次々と新番組を手掛け続ける芦田には、番組づくりにおいて「これだけは譲れない!」という一貫した“こだわり”があるという。
「子どもの頃夢中になったバラエティー番組の共通点は、出演者全員が、他に出演しているどの番組よりも一番輝いて見えたということ。自分がそういう番組を魅力的だと感じると気づいてからは、出演者の能力を引き出したり、普段見られない表情や感情輝かせるための“舞台装置”として番組を機能させたい……という想いが、常に根底にあります。出演している人も、観ている人も、『やらされ感』がない番組が理想ですね」

ネットメディアをはじめとする動画サービスが飽和状態の今、「テレビ番組をつくる」というモチベーションの根源について芦田に尋ねてみた。
「映画は『映像表現の究極系』。最初から最後まで観てもらえることが前提でつくられているから、『自分がつくりたいものを表現し切る』という観点では、映画監督には敵わないと思います。
しかし、映画や他のメディアと一番大きく異なるのは、無料で誰でも観られる“手軽さ”や“反響の大きさ”。例えば、『昨日、アレ観た?』と盛り上がることができるのはテレビならではですし、地方にロケに行った時にインタビューをしたおばあちゃんから、『あぁ、あれをつくってるんだ。いつも観てるよ!』と言ってもらえるもの、無料のコンテンツだからこそだと思います。それと、“プロデューサー兼演出”という立場には、『ひとつの会社を動かしている』という醍醐味もあります。1回の放送のために数千万単位の予算が出て、数十人のスタッフが関わる中で、若くして指揮を執る権限を担うことができるスケール感も、魅力のひとつですね」
実は、芦田にはもうひとつ、入社前から掲げていた目標がある。「番組を1本ヒットさせることができたら、さらにもう1本ヒットさせたい。だって、映画でも文学でも2作目のヒットが大きな壁で、自分の可能性と才能を試される場面と思うから」。その目標の実現に向けて新たな番組制作に挑み続ける芦田から、テレビ業界を志望する学生に向けたメッセージを最後に紹介したい。
「“テレビ=数ある映像コンテンツのひとつ”ではなく、“テレビじゃなきゃいけない”という気持ちを持っていないと、頑張らなければいけない時に踏ん張りが効かなくなると思います。『何でテレビ業界が良いの?』という問いかけにまっすぐ自分の言葉で答えられる人を待っています」

PROFILE
芦田 太郎TARO ASHIDA
総合編成局第1制作部
2008年入社

2008年入社。主にバラエティ番組を制作する制作1部(現在は第1制作部)に配属され、「雑学王」「検索ちゃん」「学べるニュース」「ナニコレ珍百景」「関ジャニの仕分け∞」などでADを経験。入社3年目の終わり頃、企画書が通り『キャラブレイク』で初めての番組演出を経験。その後、「関ジャニの仕分け∞」「関ジャム完全燃SHOW」などでディレクターを務め、企画・演出を務めた「あいつ今何してる?」が2015年10月から深夜レギュラースタート。2016年4月から水曜よる7時のゴールデンタイムに進出。さらに、現在は2017年10月22日から始まった新レギュラー番組「ロボット旅」や不定期で放送されているスペシャル番組「さまぁ~ずチャート」でもプロデューサー兼演出を務めている。