社長定例会見

篠塚浩社長 社長会見(5月27日)の要旨

2025-05-27
※社長冒頭発言。
篠塚社長:まず視聴率について。年間は、個人全体では全日・プライムが1位、ゴールデンが2位。世帯では全日・ゴールデン・プライムとも1位で推移している。引き続き「報道ステーション」をはじめ報道・情報ベルト番組が全体をけん引している。バラエティでは、こちらも引き続き「ザワつく!金曜日」「池上彰のニュースそうだったのか!!」など週末の番組が好調に推移している。そして、新番組の「プラチナファミリー」だが、別の世界の出来事かのようなセレブファミリーの生活ぶりを大変興味深く描いていて、視聴率も平均で個人全体5.2%と前クールの同じ枠を上回り順調なスタートを切っている。続いて、テレビ朝日ホールディングスが今月13日に発表した2025年3月期決算は、増収・大幅増益、売上高は過去最高だった。放送事業、インターネット、通販、そのほかに分類している音楽出版やイベントなどすべてのセグメントが増収増益となっている。現在の経営計画では、定量目標として「連結売上高3,300億円、営業利益200億円、経常利益250億円、純利益200億円」を掲げていて、今期2026年3月期はその経営計画の最終年度となるが、業績の見通しとしてはこの定量目標をすべてクリアする数字を公表している。併せて、新しい役員体制も固まった。来月の株主総会に付議する案件なので細かい内容は控えるが、早河会長が民放連会長の重責を担う中で、テレビ朝日及びテレビ朝日グループのさらなる成長と、コンプライアンスをはじめとしたグループ全体のガバナンス強化を考えての新体制となる。
※最新の視聴率について。
西常務:年間の個人は、全日が3.5%で日本テレビと並び1位タイ、ゴールデンが5.3%で2位、プライムも同じく5.3%で1位、プライム2は1.7%で3位となっている。続いて、年間の世帯は、全日6.4%で1位、ゴールデンが8.9%で1位、プライム9.0%で1位、プライム2が3.3%で2位という状況だ。続いて、今後の主な特番の編成を報告する。まず6月10日だが、「FIFAワールドカップ2026アジア最終予選」の最後の試合となるインドネシア戦の放送をゴールデン帯で予定している。7月には「世界水泳シンガポール2025」、そしてプロ野球の「マイナビオールスターゲーム2025」、さらに8月にはバスケットボールの「FIBAアジアカップ2025」と大型スポーツが続く編成となっている。
※営業状況について。
橋本取締役:まず4月の確定数字について、前年比は107.1%、内訳はタイムが前年比101.8%、スポットが111.2%だった。昨年の夏から広告需要全体が回復基調で、今年度に入っても底堅いという状況で、タイム・スポットともにセールスが順調に推移しているのが反映された結果となった。スポットのシェアは引き続きフジテレビの影響が出ており、前年比で+5.9ポイント、29.6%という異常値だった。それから、まだ現在進行中だが5月と6月の暫定値を申し上げる。5月は前年比で112.4%、内訳はタイムが103.8%、スポットが119.8%だ。6月については、現在、前年比109.4%で、タイムが105.0%、スポットが113.4%といった状況である。相変わらずフジテレビの影響が続く中で、5月・6月ともに、タイム・スポットともスピードが早まる展開となっている。現時点でもタイムの方はセールスがほぼ終了しており、スポットも着地点が見えている状況にある。第一四半期全体としても、概ね計画通りに進んでいると見ている。
※放送外収入について。
板橋常務:まず、毎週月曜夜に放送中の「激レアさんを連れてきた。」初の番組イベントについて報告する。番組同様、研究員のオードリー若林正恭さんと、研究助手の弘中綾香アナウンサーが、激レアな体験をした方をゲストに迎えて、楽しいライブトークを繰り広げていく内容となっている。様々なゲストやタレントの激レアさんの出演を予定している。続いて、「ハマスカMUSICフェス」について。OKAMOTO’Sのハマ・オカモトさんと齋藤飛鳥さんの音楽トーク番組「ハマスカ放送部」の番組イベントで、今回が3回目となる。番組にゆかりのあるアーティストをゲストに迎え、ハマスカならではの音楽フェスをお届けする。続いて「The MusiQuest2025」を紹介する。「音楽の多様性」や「新しい音楽との出会い」をコンセプトに、今年で3回目の開催となる音楽イベントだ。今年もK-POPアーティストや日本の豪華アーティスト、アイドルなど、ジャンルの垣根を越えたアーティストが共演するイベントとして、代々木第一体育館にて開催する。4つ目は「『徹子の部屋』クラシック」。このイベントは2013年の初開催から今年で11回目の開催となる。今回は、番組放送開始50年目に突入することを冠とした記念イベントだ。日本を代表するクラシック音楽の演奏家と黒柳徹子さんによる、楽しいトークと演奏で構成され、世代問わずどなたでも楽しめる内容となっている。最後に、当社が六本木で行う夏のイベントについてご案内する。今回、装いを新たに「テレビ朝日・六本木ヒルズ サマフェス」と銘打ち、人気アーティストのライブ、番組と連動したコラボイベントを中心に開催を予定している。期間は7月19日から8月17日までの30日間を予定している。詳細が確定し次第、内容を公表していきたい。
※TELASA、ABEMAと出資映画について。
西常務:TELASAはサービス開始から5年が経過し、会員数は200万人を突破している。引き続き、ドラマ、バラエティのオリジナル作品、そして最新のアニメなど、コンテンツをしっかりと充実させ、更なる会員増を目指していきたい。ABEMAのWAUは現在、平均2,500万前後で推移、引き続き高い水準を維持している。ABEMAニュース、アニメ、MLBの公式戦等々、定番のコンテンツに加えて、直近では大相撲、それからファイナルを迎えている麻雀「Mリーグ」、これが大きく数字を伸ばしている状況だ。そして最後に出資映画の報告だが、シリーズ45周年記念作品となる「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」は、興行収入が45億円、動員は374万人を突破するという大ヒット作品になった。ご覧いただいた多くの皆様にあらためて感謝申し上げたい。
※25年3月期決算で増収増益となったということだが、この好調の要因は。
篠塚社長:3月期決算では放送事業・インターネット事業・ショッピング事業・その他事業の4つのセグメントでともに増収増益となった。放送事業に関しては、昨年から伝えているように夏以降大変市況が良くなってきたという中で視聴率が好調だったことと営業努力が相まって大変好調だった。それからインターネット事業に関しては、まずTVerを中心としたデジタル広告が大きく伸びたこと、さらにドラマやアニメの外部プラットフォームへの販売も伸びたということがある。ショッピング事業に関しては、市況はそれほど良くはなかったものの踏ん張って増収増益となった。その他事業の中では、やはり65周年の冠をつけた記念の大型イベントが様々に開催され、大変活況だったというところで、これをあわせて、全体的に大変良い決算となった。
※5月に発表があった役員人事について、特に事業会社の社長が代わることやホールディングスの女性役員比率の高まりなど、その狙いを教えてほしい。
篠塚社長:株主総会があるため、詳細は控える。まず、コンテンツを中心としたさらなる成長とテレビ朝日グループ全体のコンプライアンスをはじめとしたガバナンス強化が狙いであると考えてほしい。
※フジテレビ日枝相談役が40年以上経営に関わってきたことが、第三者委員会の報告書などでも指摘されてきたポイントかと思うが、今回早河会長が代表権を外れたということは、あの一連の動きを受けた議論が何かあったのか。
篠塚社長:まず、早河会長に関して、事業会社の代表権はこの後外れるが、ホールディングスでは代表取締役会長という形で継続する。フジテレビの影響ということではなく、テレビ朝日のコンテンツを中心とした成長と、グループ全体のガバナンスの強化という意味での人事とご理解いただきたい。
※ガバナンス強化というのは、具体的にどういうことか。早河会長が代表権を外れることがガバナンス強化につながるということか。
篠塚社長:早河会長の代表が外れたことで、そうだというわけではない。全体を見ていただきたい。全体の体制がその2つを中心に考えて作られたということだ。
※早河会長が事業会社の代表権を外れるのは、民放連の会長職になることを踏まえたという理解でよいか。
篠塚社長:個別のことに関しては、申し上げない。当然、早河会長が民放連の会長という重責を担うことも含めて、今回の体制が考えられたとご理解いただければ。
※民放連の会長を自社から出すことになるが、特にこの難局で会長になられることにどのようなことを期待されるか、また民放連への期待は。
篠塚社長:先日の就任会見で、早河会長自身が述べているように、放送業界に対する視聴者やステークホルダーの目は過去にないぐらい厳しい状況だ。それに対して、民放連の会長を筆頭に、尽力していただくということになる。私も民放連の副会長の一人であるので、放送業界に対する信頼回復のためにできる限り努力をしていくという考えだ。
※各社の首相動静でも報じているが、昨日、早河会長が官邸で総理と官房長官と面会したとのことで、どのようなお話をされたか、何か聞いていることはあるか。
篠塚社長:民放連会長に就任したことのご挨拶だと思うが、詳細は聞いていない。
※まだ株主総会が控えているが、篠塚社長の定例会見への出席は今日が最後かもしれない。これまでの振り返りをいただけたら。
篠塚社長:株主総会まであと1ヶ月あり、この1ヶ月間しっかり職務を務めていかなければならない。そのため、いまは振り返るタイミングではないと思う。
※フジテレビが会社のガバナンスを改革するために様々な施策を打ち出しているが、それをどう見ているのか。同じテレビ局として何か参考にしたり、検討したりすることはあるのか。
篠塚社長:個社の様々な取り組みのため、あまり細かいことは言えないが、なかには外から見てかなり思い切った施策もあるようだ。これがどう実行されて具体的にどういう形になっていくのか注目していきたい。そして参考にできるものがあれば参考にしていきたい。
※フジテレビの改革について、外から見て思い切ったなと感じるとのことだが、客観的に見て、ここはなかなか踏み込んだな、と感じたポイントはあるか。
篠塚社長:全体的に見ての感想とご理解いただきたい。これから具体策が出てくると思うので、個別のことに関してコメントは控えたい。
※フジテレビの影響により、広告セールスで異常値が出ているという話があった。これまでは、「影響はあるが数字的には見えにくい」など曖昧な表現だったように記憶しているが、やはり新年度になって、はっきり数値として出ている実感があるということか。
橋本取締役:シェアを見て、フジテレビの影響がいかほどのものか、というのは不適当。フジテレビへの出稿がほぼ除外されているため、どの局もシェアは上がっていくというのが自然なことだと思う。それとは別に、売上でいえば第4クォーターの1月~3月の時に比べると、影響は徐々に出てきていると感じている。それが4月よりも5月、5月よりも6月になっていて、恐らくより如実に出てくるのがこの7月以降ではないかと思う。なぜかというと、フジテレビに対しての出稿はなかなか難しい、という思いが浸透してきているのだと思う。それによって広告在庫が東京地区において制限されている状況が続く、とアドバタイザーは考え、早め早めに広告枠を確保しにいくため、料金も高めに反映されていく。これまでの取引条件についても、やや譲歩しないことには枠取りができないとなっていくため、広告出稿を受ける側からすると、売上に当然反映されていく。そのため、時間の経過とともに、新しい環境の下での均衡関係みたいなものが生まれてきていると思う。
※これを機に、営業的に更に良い方向に進むと見ているか。
橋本取締役:リスクは常にある。トランプリスクについてもまだこれからだろう。企業の決算数字はさておき、これからの先行きという意味では、新聞等でも書かれているように、不安がある。個人消費も直近ではマイナスに振れている。けれども需給関係では、広告在庫が需要に追いついていないため、需要をお持ちの方々が何とかして広告の在庫に合わせていこうとした結果、料金が上がり、広告全体としてはプラスに転じているということだと思う。これは常にあるメカニズムで、いつ変わってもおかしくないと思う。
※フジテレビに出稿できなかった分は、まず他のテレビ局に向かっていると思うが、一方で会社全体のマーケティングとして出し先をデジタル広告にシフトする動きなど、テレビへの広告出稿から抜けていくような動きはあるのか。
橋本取締役:直近は逆のトレンドだったと思う。どちらかといえば、テレビに戻していこうというのが去年の夏からあったというのが私どもの感覚だ。一般論ではなく、個別の会社の対応だと思う。例えば今業態としてものすごく勢いのある人材系などは、もともとネットベースで展開していたが、特にフジテレビのように親和性の高い放送局が使えないとなると、その分はネットに使われることもあると思う。逆に他の4局にアプローチする会社も多い。それはまちまちだが、全体として言えば、やはりテレビを使いたいというのは強いと思う。
※嵐が来年の5月での活動終了を発表した。嵐の活動終了をどのように受け止めているか。
篠塚社長:「ミュージックステーション」をはじめ、数多くのバラエティ番組、更にはメンバーおひとりおひとりもドラマでご一緒させていただくなど、大変お世話になった。長年の功績に大変感謝している。これから活動終了までおそらく様々な仕掛けを準備していると思うが、ファンや視聴者の皆様をどう楽しませていただけるのか期待しているし、我々とご一緒できることがあればやらせていただきたい。そして、メンバーひとりひとりとのお付き合いは今後も続いていくと思うので、活動終了後もぜひご一緒させていただきたいと思う。
※嵐の活動終了前に「ミュージックステーション」のオファーは考えているのか。
篠塚社長:現状、決まっていることは何もない。
※「永野&くるまのひっかかりニーチェ」には令和ロマンの髙比良くるまさん、「家事ヤロウ!!!」では中丸雄一さんがレギュラー出演していたが、それぞれ復帰する現場の目処や予定は立っているか。
※西常務:現時点で決まっているものはない。所属事務所等と相談のうえ、適切なタイミングで、と考えている。
※総務省の放送・配信コンテンツ産業戦略検討チームで、NHK受信料を原資にした「還元目的積立金」を活用したファンディング機関を設けるということが、今議論されているようだ。NHKの受信料を原資にしたファンディングで、民放のいろいろな施策の支援ということになると思うが、現時点での受け止めは。
篠塚社長:まだ議論が途中段階だと認識している。前回は論点整理があり、次回恐らく取りまとめ案が出る。いろいろな議論をされているようだが、我々としては取りまとめ案が出た段階で、その内容を見た上で、何か見解があるならば、そのときに表明ということになるだろうし、それは当社としてか、民放連としてか、あるいは両方なのか、それはそれを見てという形になると思う。そのタイミングでと思っている。
※そもそもNHKの受信料が民放への支援に使われることについて、NHKの受信料を納めている一般の視聴者は、おそらく想定していない方が多いと思う。受信料の使い方として望ましいものなのかどうか、どのような考えなのか伺いたい。
篠塚社長:NHKの予算の組み方や経営計画を見る限り、100億円が用意されている。いわゆる多元性確保という言い方で、どのように多元性が確保されるかどうか、まずNHKのお考えが、最初に注目されると思う。
伊井局長:これにてテレビ朝日定例社長会見は終了となるが、篠塚社長から一言申し上げる。
篠塚社長:株主総会を経てからの話ではあるが、恐らくこれが最後の記者会見になる。社長としては3年間、大変お世話になった。ありがとうございました。引き続き、テレビ朝日あるいはテレビ朝日ホールディングスのために、いろいろご協力いただければと思うので、何とぞよろしくお願い申し上げる。本当にありがとうございました。