社長定例会見

篠塚浩社長 社長会見(7月2日)の要旨

2024-07-02
※社長所感。
篠塚社長: まず4月クールを終えた段階での視聴率について、年間・年度共に個人全体は全日・プライムが1位、ゴールデンが2位。世帯は全日・ゴールデン・プライムいずれもトップとなっている。現行の経営計画の目標が、年間・年度で個人全体3冠となっているので、ここを目指して引き続き努力をしていく。4月クール連続ドラマでは、開局65周年記念の「Believe-君にかける橋-」が民放連続ドラマで常に上位にランクインし、特に最終回は個人全体で7.6%、世帯が13.2%とシリーズ最高ということで、多くの方々に重厚な作品をご堪能いただいたと思っている。また「Destiny」は見逃し配信で初動1週間の再生数が平均260万回を突破し、テレビ朝日歴代トップを更新した。「東京タワー」も配信で平均190万回以上の再生回数を記録するなど、放送・配信の両方で好結果となった。今月からはいよいよパリ五輪が開幕する。当社では、2大会連続の兄妹同日金メダルを目指す柔道の阿部一二三・詩選手や、張本智和・早田ひな選手が出場予定の卓球混合ダブルスの準決勝などをお届けする予定だ。イベントでは「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭りSUMMER STATION」を今月20日から8月25日まで37日間にわたって開催する。開局65周年にあたる今年の夏祭りのコンセプトは「人気番組が集結!体験型の納涼イベント」だ。番組連動のブースやグルメはもちろん、縁日屋台や提灯でお祭り空間を演出し、エモーショナルな色味と光を採用した写真映えする空間デザインで、インバウンドや若年層も楽しめるお祭りになっている。例年通り、ヒルズアリーナでの音楽ライブやヒーローショーをはじめ、イベントやアトラクションが満載となっていて、多くのアドバタイザーにもご協賛いただいている。この場をお借りして御礼を申し上げる。続いて、黒柳徹子さんの自伝的著書が原作の映画「窓ぎわのトットちゃん」が、フランスで開催された世界最大規模のアニメーション映画祭「アヌシー国際アニメーション映画祭2024」で、長編部門の特別賞「ポール・グリモー賞」を受賞した。長きにわたって国民に愛される黒柳さんのベストセラーだが、ストーリーの素晴らしさ、そしてアニメーションの美しさが海外の人々の心をも魅了した結果だと思う。最後に、当社の報道局が制作受託している「ABEMA NEWSチャンネル」が、アジア太平洋地域の放送業界でメディアや番組を表彰するアワード「Asia-Pacific Broadcasting + Award 2024」の「News Broadcasting」部門を日本のメディアとして初めて受賞した。インターネットで24時間ニュースをお届けするメディアとして、特に災害報道などにおける情報インフラとしての役割を評価されたものだ。2016年4月の開局直後に発生した熊本地震への対応以来、災害情報をいち早くお届けしてきたチャンネルの姿勢が評価されたということで、非常に喜ばしいことだと思っている。
※最新の視聴率について。
西常務: まず、個人の年間は全日3.5%で日本テレビと並んで1位タイ、ゴールデンが5.3%で2位、プライムは同じく5.3%で1位、プライム2は1.9%で2位。世帯の年間は、全日6.4%で1位、ゴールデンが9.0%で1位、プライムも9.0%で1位、プライム2は3.5%で2位という状況だ。そして年度の個人全体では、全日が3.4%で1位、ゴールデンが5.0%で2位、プライムが同じく5.0%で1位、プライム2が1.8%で2位。年度の世帯は全日が6.2%で1位、ゴールデンが8.6%で1位、プライムが8.7%で1位、そしてプライム2が3.4%で2位となっている。続いて、7月の主な特番を報告する。7月はスポーツ関連の特番を多く編成しており、まず7日に「バスケットボール男子 パリ五輪直前国内最終戦 日本×韓国」をゴールデン帯に放送する。それから18日には、いよいよ始まるパリ五輪の事前特番、そして23日と24日にはプロ野球「マイナビオールスターゲーム2024」を二夜連続でお届けする予定だ。ご期待いただければと思う。
※営業状況について。
橋本取締役:先ほどもあった通り視聴率が順調ということで、それに並走する形で営業の数字も出てきている。まず5月の確定数字がトータルで前年比99.6%、タイムでは100.9%、スポットでは98.6%だった。地区投下がやや低調だったものの、5局シェアでは23.8%と高い水準で着地している。6月はまだ確定待ちではあるが、タイム・スポット合わせて前年を超えているものと思われる。現状、だいたい100.4%で、タイムが103%台、スポットは98%程度といった状況である。これを受けて第一四半期も見えてきており、タイムが101%台の半ば、スポットについても100%超え、合わせて101%近くということで、久しぶりに前年水準を超えていく第一四半期となる。7月のタイムについてセールスは好調だが、予算上は昨年あった「世界水泳福岡大会」「全英オープンゴルフ」が今年は無いため、前年に比べてマイナスの予算となる。それに対してセールスは計画通り進んでいる状況だ。パリ五輪について、電通によるセールスは見込んでいた水準通りに達成しそうで、ここからはどこまで伸ばしていけるかということになる。スポットについては7月の出足は弱かったものの、それ以降は動きが出てきていて、今後CM枠の在庫を活用してどこまで数字を伸ばせるかということになる。8月はまだまだこれからだが、新しい手法でセールスに打って出ているため期待をしたい。
※放送外収入について。
藤本取締役:4点お伝えする。「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭り SUMMER STATION」だが、6月にリリースしたものを本日配布しているので、詳細を確認してほしい。人気番組と連動したコンテンツを多数用意している。昨年よりさらにパワーアップしているので、お誘い合わせの上、来場を願いたい。続いて「東日本大震災・九州災害復興チャリティー 2024 神宮外苑花火大会」を8月10日に実施する。今年で43回目となり、テレビ朝日は3年前から携わっている。特に人気アーティストとの競演が楽しめる大会で、昨年は4万3000人の来場があった。今年も皆さんに夏の花火を楽しんでもらいたい。続いて、「SUMMER SONIC 2024」だが、今年で23回目の開催となる日本最大級の夏フェスだ。ヘッドライナーにはイタリアのMANESKIN、イギリスのBRING ME THE HORIZONが決定している。国内からはCreepy Nuts、新しい学校のリーダーズ、平井大、Number_i、星野源、韓国からもこの春デビューして話題になっているBABYMONSTERの参戦も決定している。3日間で14万人近くが来場予定だ。続いて「テレビ朝日開局65周年記念 ドリームフェスティバル2024」は今年で13回目の開催を迎えることとなる。まず8月24・25日に東京体育館、9月14日~16日は幕張メッセと、過去最大規模の5日間の開催となる。8月にはB’zのヴォーカル稲葉浩志、Vaundyによる"対バン"が実現。また、K-POP界の新星といわれるRIIZEの出演も決定している。9月にはBE:FIRSTやSKY-HI、B’zのギター松本孝弘、堂本剛、Travis Japanの出演が決定している。ぜひ楽しんでもらいたい。
※TELASAについて。
篠塚社長:先ほども申し上げた4月クールのドラマ「東京タワー」「Destiny」「Believe-君にかける橋-」の3本がこのTELASAでも大変好調だ。TVerなどでの見逃し配信が終わるタイミングで、続きをTELASAで見ようということで、加入していただいているようだ。また、バラエティでは、男性アイドルグループJO1の冠番組「PRODUCE JO1 LOVE OF LIVE」がTELASA独占となるオリジナル配信もあり、大変好評だった。
※ABEMAについて。
西常務:ABEMAのWAUは、現在平均で2,400万前後と好調に推移している。ABEMA NEWSやアニメといった定番コンテンツに加えて、ドジャースの公式戦の生中継、大谷翔平選手のハイライト動画、それからサッカーのヨーロッパ王者を決める「EURO2024」などが非常に大きく数字を伸ばして現在の数字に至っている。
※「セクシー田中さん」の件について、日本テレビと小学館が調査報告書を発表した。どのように受け止めたか、またテレビ朝日としてドラマ制作にどのような影響があるのか聞きたい。
篠塚社長:まずはお亡くなりになられた芦原妃名子さんについて、謹んでお悔やみ申し上げる。そのうえで、当社としては、これまで通り原作者や脚本家の方々をはじめとした、ドラマに関わる全てのスタッフと丁寧で緊密なコミュニケーションをとって、信頼関係を築いた上で番組制作にあたっていくということを引き続き心がけていきたいと思っており、番組制作の現場ともこの旨確認をしている。
※日テレの調査報告書では、企画決定を遅くとも1年から1年半前にするとか、改変などはこの範囲でやるという相談箇所を書面でまとめるなど、そういった提言を調査チームからしていたが、その企画決定の時期や、書面で契約を明確にするとか、改変の範囲を明確にするなど、そういった対策は取るのか。
西常務:企画決定に関しては作品ごとなので、明確に当社の中でここまでというものはないが、基本的には早め早めに作品を決定するのが一番だと思う。同時に契約に関して、原作者が権利をお持ちのものもあれば、出版社が持っているものもあり、様々なケースがあるが、しっかり契約を結ぶということは当社も踏襲している。
※旧ジャニーズ事務所SMILE-UP.社が社会貢献を目的とした法人「マインドフル」を設立した。性犯罪被害者の支援や被災地の復興などを安定的かつ持続的に社会貢献活動を行う目的とのことだが、社員には元ジャニーズ事務所社長の藤島ジュリー景子氏が名を連ねている。法人設立に対する所感や期待することがあれば教えてほしい。
篠塚社長:SMILE-UP.社の前、旧ジャニーズ事務所時代から被災地支援を行っていたことは承知しているが、SMILE-UP.社が新しい法人を作って継続されるということについて、特に私どもとしてコメントする立場にはないと思っている。引き続きSMILE-UP.社には、本来の目的である被害者の方々に寄り添って、誠実に、しかも可能な限り速やかに補償を進めていただくと同時に、被害者の方の心のケアにも十分に配慮していただきたいと思っている。
※この件について、国連人権理事会の作業部会が5月の下旬に報告書を公表し、理事会での報告が先日あった。その中でテレビ局などの契約の見直しの点については、その説明責任を果たす行為だと歓迎する一方で、以前この人権を遵守するための影響力の行使が重要だと提言をしていた。人権デュー・デリジェンスについて会議等を進めているという話だったが、この作業部会の報告が、今後の作業や芸能事務所との向き合い方について何か影響を及ぼすかどうか、その点についての考えを。
篠塚社長:テレビ局というよりメディア企業という言い方をしていたと思うが、メディア企業に対する指摘に関しては重く受け止めている。それとともに今年2月に人権方針を策定し、これをもとに私どもとしては人権重視の姿勢で番組制作を行っていくと考えている。人権デュー・デリジェンスに関しては、今仕組みを整えているため、いずれどこかのタイミングでお話しできるかと思っている。
※そういう報告を重く受け止めているということだが、この報告があったことによって、今進めているものが何か変わるといったことはないか。
篠塚社長:基本的には我々は丁寧にしっかりと作業を進めていると思っているため、この報告によって何か変わるということはない。
※公開延期となっていた劇場版「緊急取調室THE FINAL」に関連して伺いたい。劇場版は新たなキャスト石丸幹二さんを迎え、再始動すると製作委員会から発表があった。同じく延期になっているスペシャルドラマの放送について、一部撮り直しや放送の見通しが分かれば教えてほしい。
西常務:映画の公開日については現在調整中。皆さまにお届けできるようしっかり準備を進めている。スペシャルドラマに関しては、まだ特に決まっているものはない。何か動きがあれば、お知らせしたい。
※7月26日からいよいよパリ五輪が開幕する。放送を予定している主な種目や意気込みについて聞きたい。
篠塚社長:NHKと民放各社が協力して全面展開する。今回は3年ぶりの一大イベントであり、盛り上がってほしいし、盛り上がるべく様々な試みをしていきたい。その1つとして、先ほども紹介があった今週末注目のバスケットボール男女の試合がある。オリンピック前最後の国内試合を土曜日、日曜日と続けて中継する。ぜひご覧いただきたいと思う。18日には事前特番も放送する。こういうものを通じて、大会開始前に盛り上げを図っていきたい。
西常務:我々の見どころとしては、まず兄妹で2大会連続の金メダルという快挙がかかっている阿部一二三選手、詩選手が出場する柔道男子66キロ級、女子52キロ級の予選と準々決勝を7月28日にゴールデンタイムで対応する。それから29日には、卓球、張本智和選手と早田ひな選手が出場する混合ダブルスの準決勝、そして8月1日にはバスケットボール女子予選リーグ第2戦の「日本対ドイツ」を放送する。このあたりが大きな見所かと思う。
※テレビ東京が警察密着番組の制作取りやめを公表。テレビ朝日はどうするのか。
西常務: テレビ朝日は「列島警察捜査網 THE 追跡」という番組を放送しているが、番組制作に当たっては、当社の放送番組基準に従うことに加えて、この警察特番に関しては弁護士による内容確認や、起訴・不起訴、罪状や判決内容を可能な限り確認し、当事者の人権やプライバシーの配慮など、厳しい社内基準を改めて番組制作ルールとして作成し徹底している。
※今後こういう警察密着モノの番組は続けていく方針か。
西常務:現在はまだ何も決まっていない。
※これまで制作してきた警察密着企画の趣旨、どんな意図を持っていたのか。
西常務:警察活動を密着して紹介することで、犯罪行為や迷惑行為を視聴者の方に広く認識していただき、犯罪防止や迷惑行為の防止に少しでもつながればという思いはある。
※7月ドラマの「スカイキャッスル」について、韓国のスタジオとの協業ということで、協業協定を結んでから最初の作品になると思うが、「スカイキャッスル」を選ばれた理由や経緯、期待することは。
西常務:「スカイキャッスル」に関しては、提携前から話を進めていたものだ。今回は、韓国のドラマブームを牽引する大手放送局JTBCと同じグループのスタジオ、SLLとの提携だ。ドラマを中心としたストーリー系のコンテンツの分野で相互協力し、関係を強化して、ドラマなどの共同開発制作を視野に、そして世界市場に向けたグローバルに通用する作品を一緒に作り出せればと思っており、それを目指したい。
※「霜降りバラエティX」が終了。この時期終了の経緯などは。
西常務:番組の改編は、総合的に判断して決定した。霜降り明星さんには、2019年4月のスタートから5年以上にわたってこの番組を盛り上げていただいたので、大変感謝している。今回、若手2組にバトンをつないでいただくことになったので、新番組をぜひご期待いただきたい。
※株主総会における、市民グループの株主提案について。前川喜平氏が、今回は否決されたが来年も株主提案したいと表明していたが、受け止めは。
篠塚社長:今回と同じで、株主から法令に則った形での株主提案があれば、我々は法令に則って適切に対応していく。
※株主提案した出席者によると、前川氏の名誉を毀損するような発言があったという。前川氏は法的措置も検討すると表明しているが、これについてはどう考えるか。
篠塚社長:株主総会の概要、中身については総会終了後にリリースを出している。それ以上のコメントは差し控える。
※“やらせ”ではないかという“疑惑”もあるようだが。
篠塚社長:それは全くない。
※アニメの放送についてだが、秋からまた新しいアニメの放送枠を設置すると発表があったが、アニメに力を入れる狙いや、アニメコンテンツに期待することを聞かせてほしい。
西常務:当社の場合、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」など、夕方の家族ターゲットのものもあるが、今回新設するのは深夜であり、若年層向けに新しいアニメを開発したいと思っている。以前発表したが、壽屋、BookLive社と提携し、アニメで新しいIPをしっかり作って、それを世界に持っていきたいと思っている。垂直統合型、つまり原作から放送、その後の展開までを我々のグループ内でしっかり完結させて世界に出ていきたいという思いが強い。
※アニメコンテンツの制作については、配信の強みのようなところもあるか。
西常務:ABEMAでも、恋愛リアリティーショーと並んで、アニメが非常にたくさんの配信回数を稼いでいる。アニメは配信でも非常に有効な手段だと思っている。

以上