社長定例会見

篠塚浩社長 社長会見(5月28日)の要旨

2024-05-28
※社長所感。
篠塚社長:この度テレビ朝日と東映で、新たなエンターテインメントの創造に向けたパートナーシップを構築した。東映とは、これまでも数多くのコンテンツを世に送り出してきたが、動画配信やグローバルに向けたコンテンツの需要が一層高まっている中、新しい次元のパートナーシップを推進し、時代に適合したIPビジネスを加速させていくことで合意した。強力なパートナーシップで生まれる両社の今後の展開にぜひご期待いただきたい。続いて2024年の年間視聴率は、個人全体では全日・プライム1位、ゴールデンが2位。世帯では全日・ゴールデン・プライムとも1位で推移している。「報道ステーション」をはじめ、各ベルト番組が引き続き好調で、新たに土曜の朝に拡大した「グッド!モーニング」も改編前を上回る数字で推移している。連続ドラマでは、「特捜9season7」「Believe‐君にかける橋-」が視聴率で民放連続ドラマの上位にランクインしている。「Destiny」や「東京タワー」は、配信で高い再生回数を記録しており、放送・配信の両方で好結果となっている。こうした状況を受けた営業状況として、新年度は4月がタイム・スポットともに前年を上回る数字となっており、堅調なスタートが切れていると思う。
※東映との新しいパートナーシップでできるコンテンツが世に出る時期は。
篠塚社長:ステアリング コミッティ(運営委員会)が協議を始めるので、具体像はこれからだ。ただ、東映とはこれまでもパートナーシップを結んでいて、「相棒」や「科捜研の女」など様々なコンテンツを一緒に作り上げてきたという実績があり、新しい時代劇「君とゆきて咲く~新選組青春録~」もそれに沿ったものだ。今回のパートナーシップに関しては、これから協議をして、この後成果が出てくることになると思う。
※最新の視聴率について。
西常務: まず、個人の年間は全日3.6%で1位、ゴールデンが5.4%で2位、プライムは5.4%で1位、プライム2は1.9%で2位。世帯の年間は、全日6.5%で1位、ゴールデンが9.0%で1位、プライムは9.1%で1位、プライム2は3.6%で2位である。そして、4月クールの個人では全日が3.4%で1位、ゴールデンが4.9%で2位、プライムが5.0%で1位、プライム2が1.8%で2位。4月クールの世帯は全日が6.2%で1位、ゴールデンが8.5%で民放1位、プライム8.6%で1位、そしてプライム2が3.5%で2位という状況だ。
※営業状況について。
橋本取締役: 4月のセールスはタイムが前年比で100.4%、スポットが103.5%、トータルが102.1%ということで、前年を上回るスタートとなっている。タイムはサッカーの「パリ五輪アジア最終予選」が3試合あったり、新たなミニ枠番組の売上がのってきたため、前年水準を上回っての展開となった。スポットは3月以降、ビール各社が非常に旺盛な需要を見せており、これが大きく売上を牽引してくれている。また食品各社からも出稿が増加している状況で、東京地区全体が前年比で98.5%と前年を割る中、当社は103.5%で着地、シェアは前年を1.2ポイント上回って23.7%となった。5月はタイムが100.5%、スポットが98.0%、トータル99.1%。6月はタイムが98.0%、スポットが75.1%でトータル85.9%という状況。タイムについて、5月は前年並みの売上は確保できるとみているが、6月については市場の動きがやや遅くなってきている。現時点ではまだまだ努力が必要な状況である。一方のスポットは、5月の東京地区は取引高が95~96%というところにあるなか、当社はこの数字を上回って4月に続いてシェアアップをする見通し。6月はタイム同様、スポットの動きも鈍くなっているため、これからセールスを強化していかなければならない状況である。
※6月はスポット・タイムともに市場の動きが遅くなってきているというのは、どういう理由か。
橋本取締役: やはりまだまだ個人の消費がついてきていないというのが実態だと思う。おそらく企業は、新年度はそこそこいけるのではないかという判断を3月ぐらいにはしていたのだろうと思う。そのため4月、5月の出稿があったのだと思うが、実際に明けてみて、特に4月の総務省が出した発表数字にもあるように、指数ではマイナスだった。つまり賃金が実質的にマイナスに振れているということだ。物価は2.5%ぐらい上がっている。やはり個人消費とはまだ乖離があるというのが小売りの現場等の実感なのだろう。したがって6月は様子を見ようという感じなのだと思う。7月に入るとおそらくもう一回チャレンジではないが、夏場の相場というものがあるので、そこで少し反動があるのではないかと見ている。
※反動というのは、良くなるということか。
橋本取締役: 6月よりは7月の方が良いだろうと思う。
※放送外収入について。
武田副会長: まず、先週リリースした韓国の大手制作会社SLL(Studio LuluLala)との協業協定の締結について報告する。当社は韓国の大手スタジオSLLと、ドラマを中心としたコンテンツビジネス分野での相互協力、関係強化を目的とした協業協定を5月17日に締結した。SLLは「梨泰院クラス」や「財閥家の末息子」「医師チャ・ジョンスク」など数々の世界的ヒットタイトルを生み出しており、昨今の韓国ドラマブームを牽引する制作会社だ。またSLLは、開局以来当社と資本業務提携の関係にある、韓国の大手放送局JTBC傘下の制作会社でもある。この協業協定締結をきっかけとして、当社とSLL双方で互いの経験やノウハウ、インフラを拠出し合い、世界市場を対象としたコンテンツの創出を目指していく。次に、イベントを2件ご紹介する。1件目は「MusiQuest2024」。昨年「音楽の多様性」と「新しい音楽との出会い」をコンセプトに、初めて開催をした音楽イベントだ。今年もK-POPアーティストや日本のアーティスト、アイドルなどジャンルの垣根を越えた出演者が多数共演する、華やかな音楽イベントになる予定だ。開催日は7月20日、21日の2日間。横浜のぴあアリーナMMにて開催する。2件目は、お馴染みの「FUJI ROCK FESTIVAL’24」だ。今回で27回目の開催となる。開催日は7月26日から28日までの3日間。会場は新潟県の苗場スキー場で、午前11時から開演する。今年も海外アーティストを中心に、多くのミュージシャンが苗場に集結する。
※SLLの協業協定の件だが、共同で作ったコンテンツがどれぐらいの時期に流通するか、放送されるかと想定しているのか。
武田副会長:まだ協定を結んだばかりなので、ドラマ制作といってもいろいろな形があり、企画を決めて詰めていくまでにも相当な時間を要するので、まだいつ作品が出ていくというところまで具体的に申し上げる段階ではない。
※アウトプットの形というのは、放送番組を想定しているのか、それとも違うものを考えているのか。
武田副会長:第一に考えているのはもちろん放送番組だ。とにかくドラマを主体にして、世界に通用するドラマを出していきたいというのが一番の目的だ。それに向けて両者で協議をし続けていく、協議を詰めていくということになると思う。
※リリースには「企画の共同開発・制作をはじめ・・・」と書いてあるが、基本的にそのドラマは、SLLとテレビ朝日の連名で共同制作という形になるイメージか。
武田副会長:一つの完成形としてはそういうイメージを持っているが、さっき申し上げたように、いくつかの形があると思う。お互いにリメイクをし合うということもあるだろうし、その形によってその出方は少し違ってくると思う。基本的には両社がお互いにいい形で協力し合って一つの作品を作っていくということになるだろう。
※TELASAについて。
篠塚社長: TELASAに関して、まずドラマだが、特に「東京タワー」が、会員獲得に大きく貢献している。地上波で放送したものに加えて、スピンオフやスペシャルメイキングの配信など、オリジナルコンテンツの充実が功を奏していると考えている。それから、バラエティーでは「夫が寝たあとに」、これはもともとバラバラ大作戦で放送していたものを、この4月から土曜の深夜0時に昇格させた番組で、こちらもTELASAで大変好評だ。ちなみに、この「夫が寝たあとに」は、TVerやABEMAでの見逃し配信、キャッチアップに関しても、この時間帯の番組としては異例の再生回数を獲得している。
※ABEMAについて。
西常務:WAUは、現在平均で2,300万前後と好調に推移をしている。ABEMA NEWSやアニメといった定番コンテンツに加え、やはりドジャース公式戦の生中継、大谷翔平選手のハイライト動画、大相撲5月場所等々が大きく数字を伸ばした結果と見ている。
※放送法の改正が成立し、NHKのネット配信が必須業務化されるが、受け止めは。
篠塚社長:恐らく来年10月からを予定しているのだと思うが、必須業務化に当たっては、インターネット上でのメディアの多元性が確保されて、地方局を含む我々民放、新聞社や通信社、NHK、この間で適切な競争が行われる環境をしっかり整備することが最も大事だと思っている。そのための競争評価のプロセスづくりを今、行っているが、そのプロセスづくりの中で最も大事なのは、ステークホルダーだ。一番大事なステークホルダーである視聴者の皆さん、この場合、国民と言い換えてもいいのかもしれないが、国民に非常に分かりやすくすることだと思う。そのためにもNHKには、特に番組関連情報に関して、実際必須業務化になった後、何を配信するのか、したいのか、できるだけ早く具体像を示していただきたいと思っている。
※冒頭、4月改編で土曜日の「グッド!モーニング」が好調と言っていたが、数字が良い理由、背景は。
篠塚社長:前々回あたりのこの会見でも言った通り、月曜から金曜の「グッド!モーニング」は大変好調で、たくさんの視聴者の皆さんに支えていただいている。今回土曜日にも拡大したのは、この月~金の好調さを受けてということで、月~金を見ていただいている視聴者の皆さんには、同じフォーマットで土曜日も放送しているので非常に見やすくわかりやすいのだと思う。出演者も基本的に、平石アナウンサーは違うけれども、他の女性アナウンサーは両方の番組を行き来しているので、月~金に慣れ親しんでいただいている視聴者の皆さんに、土曜日も同じように見ていただいているのかなと思っている。
※65周年記念の木曜ドラマ「Believe -君にかける橋-」について、先ほど数字は上々と言っていたが、社内の評価はどうか。
篠塚社長:視聴率的にも民放ドラマのトップ5で、いま2位に入っており、配信も非常によく回っているということで、大変手応えを感じている。
※旧ジャニーズ事務所についてのBBC報道で、8月の専門家チームの提言の中にもあったが、ジャニー喜多川氏以外にも加害者が二人いるのを事務所も認め、かつその被害の当事者団体から警察に捜査を依頼するということがあった。いまこの事実をもって、テレビ朝日としてSTARTO ENTERTAINMENT社及びSMILE-UP.社との向き合いに変化等があれば教えてほしい。また、ジャニー氏以外に加害者二人がいたことをもって、事務所の組織風土に問題がなかったかなど、その辺りをどのように評価しているか。
篠塚社長:おっしゃる通り去年8月から出ていた話で、その後こういう事態になったからといって、両社との関係が変わってきたということはない。引き続き、こういう事態になったからこそ、被害者の方々に真摯に向き合い、丁寧に対応をして、できるだけ速やかに補償をしていただきたいとお願いをするというベースは変わっていない。