社長定例会見

篠塚浩社長 社長会見(5月30日)要旨

2023-05-30
※23年3月期決算と、視聴率に関する社長所感。
篠塚社長:5月12日に23年3月期の決算を発表したが、増収減益という形になった。国内外の経済環境の急激な変化によってテレビ広告市況が停滞したが、動画配信事業やイベント事業などが好調に推移した結果、売上高は増収となった。一方で、コンテンツの強化や新規分野への先行投資などがあったため、減益となっている。この4月からは、新たな経営計画、「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日経営計画2023-2025」がスタートしている。2025年度までにコア事業である放送事業では、年間・年度での個人全体視聴率3冠の達成を目指し、一方の成長事業ではインターネット、ショッピング、メディアシティを柱とし、さらにはアニメ、ゲーム、メタバースなどの新領域の開拓にも果敢に挑戦していく戦略目標を掲げていて、さらなる成長を目指す方針だ。4月クールの視聴率については、個人全体、世帯とも全日、プライムが1位、ゴールデン、プライム2が2位で推移している。中でも5月7日に放送した、WBCを振り返る「緊急特報!侍ジャパンWBC世界一の熱狂!」は、個人全体で全局で本年度最高となる9.9%を獲得した。7月には、22年ぶりの日本開催となる「世界水泳福岡2023」など大型スポーツ物件が控えている。日本代表の活躍を、今後も視聴者の皆様にお届けしていく。
※最新の視聴率について。
西常務:年間視聴率の個人は全日が3.7%で1位。ゴールデンが5.9%で1位。プライムが5.8%で1位。プライム2は1.9%で2位タイとなっている。年間視聴率の世帯は全日6.6%で1位、ゴールデン9.7%で1位、プライム9.8%で1位、プライム2は3.6%で2位という状況だ。4月クールの個人は、全日3.4%で日本テレビと並び1位タイ。ゴールデン5.1%で2位、プライム5.1%で1位、プライム2は1.8%で2位だ。4月クールの世帯は、全日6.2%で1位、ゴールデン8.6%で2位、プライム8.8%で1位、プライム2は3.5%で2位となっている。続いて主な放送予定だが、6月はクールの端境期で、様々なバラエティの特番を予定している。6月17日夜6時半から、齊藤京子さんとヒコロヒーさん、異色のコンビによる「キョコロヒー」のゴールデンスペシャル「大キョコロヒー」、そして22日に「アメトーーーーーーク!3時間SP」、30日には「ザワつく!金曜日」、いずれも3時間スペシャルでお送りする。ご期待いただきたい。
※営業状況について。
橋本取締役:4月は数字が確定している。タイムは前年比で99.6%、スポットは96.3%、トータルでは97.7%で確定した。新年度に入り、スポットの地区投下は前年水準を5%ほど下回っており、まだまだ本格回復とはいかないが、非常に厳しかった1月~3月に比べると、まずまずのスタートという感覚でいる。当社のスポットのシェアは、地区平均を0.3ポイントほど上回っており、22.5%での着地となった。5月と6月の状況について。まず5月は、タイムは前年比で95.9%、スポットは97.6%、トータルでは96.8%となっている。6月は、タイムは前年比で96.1%、スポットは77.0%、トータルでは85.9%という状況だ。タイムについては、5月、6月ともにセールスは堅調に推移しており、ほぼ完売状態といっていいかと思う。現在は「世界水泳福岡2023」、「全英オープンゴルフ」、それから「男子バスケットボールワールドカップ」、これらの大型スポーツ物件に注力しているところだ。一方のスポットは、当社は、視聴率が順調に高水準で推移しているので、これを背景にして、5月、6月も地区を上回っての推移となっている。ただ、東京地区への予算投下がまだまだ全体的には低調感があると感じている。個別の業種では、自動車、人流の増加に伴って需要が増えている交通・レジャー、そしてサービス業、これらは順調に回復しているという感じだが、一方、売上シェアの高い情報通信、飲料、食品、化粧品、トイレタリーといった分野がまだまだ低調で、これが全体の足を引っ張っている感じがしている。
※放送外収入について。
武田副会長:放送外事業に関する報告では、イベントを4件紹介する。まず1件目は、世界中でブームとなったタイドラマ「2gether」に主演の人気俳優ブライトとウィンによるコンサートだ。「Side by Side Tour in JAPAN」というタイトルで、横浜・みなとみらいのぴあアリーナMMで、6月17日、18日の2日間開催する。2件目は沢田研二さんのバースデーコンサートだ。ご本人の75歳の誕生日である6月25日に「まだまだ一生懸命」と銘打ったツアーのファイナルをさいたまスーパーアリーナで開催する。3件目は、安倍晴明の敵役として説話に登場する、蘆屋道満という陰陽師のドラマチックな人生を描いた新作舞台「Arcana Shadow」の上演だ。主演にジャニーズJr.の林一敬さんを迎えて、池袋サンシャイン劇場で7月1日から9日まで全12公演を行う。最後は今年で9回目になる「徹子の部屋クラシック」だ。日本を代表するバイオリン、ピアノ、フルート、チェロの4人のアーティストをゲストに迎え、7月5日にサントリーホールで開催する。
※TELASAについて。
篠塚社長:TELASAに関しては、5月も順調に成長を続けている。特に5月2日に地上波で放送した「徹子の部屋スペシャル」ではTELASA版のオリジナル「徹子の部屋スペシャル 羽生結弦!完全版」を配信した。羽生選手出演の舞台裏や未公開トークが入っているオリジナル版で、多くのユーザーを獲得した。それから、5月20日に放送した韓国の男性アイドルグループ「Stray Kids」の特番も、TELASAオリジナル版を配信したところ、番組関連キーワードが軒並みTwitterのトレンド入りをするなど、大変大きな反響をいただき、こちらも多くのユーザーを獲得した。この2つのオリジナル作品が大きく貢献し、5月は月間で過去最高の新規獲得数の見込みとなっている。
※ABEMAと出資映画について。
西常務:ABEMAのWAUは現在1700万台から1800万台と引き続き好調に推移している。5月の第3週には2000万台を突破して、2071万UUを記録している。ABEMA NEWS、アニメ、などの定番コンテンツに加え、エンゼルスの大谷翔平選手が大活躍で、やはりMLBの生中継・ハイライト動画が大きく数字を伸ばしている状況だ。続いて出資映画だ。3月に公開した「映画ドラえもん のび太と空の理想郷」は、動員が361万人となり、興行収入は43億円を超えている。この場をお借りし、お越しくださった多くの皆様に改めて感謝を申し上げる。
※ジャニーズ事務所の創業者・ジャニー喜多川氏による性加害問題について。今月14日に藤島ジュリー景子社長が動画で謝罪し、26日には3つの対応策を発表したが、このことについて社長の所感は。
篠塚社長:性加害は決して許されるものではない、決してあってはならないということは、言わずもがなのことだと思っている。先週金曜日に、ジャニーズ事務所が、社外取締役の選任、外部相談窓口の開設、そして外部専門家による再発防止特別チームの結成という3つの対応策を示した。それぞれ外部の方というところがポイントだと思う。まずは私どもとしては、これらがどういう形で実行されていくのか、それを注視していくというところだ。あわせて、ニュース対応の方は、これまで通り、個別の事案を一つ一つ判断しながら、伝えるべきものを伝えていくという考えだ。
※テレビ朝日の番組には多くのジャニーズ事務所所属タレントが出演していると思うが、今後のタレント起用など、事務所との向き合い方について聞かせて欲しい。
篠塚社長:変更はない。
西常務:今、社長が申したように変更はない。事務所の対応など、今後の推移を注視していきたい。番組出演については、番組の企画内容などを踏まえて、適性のあるタレントの方に出演いただいている。今後も変わりはない。
※カウアン・オカモト氏が会見で、「もし報道があったら、多分ジャニーズには行かなかった」という趣旨のことを言っている。こうした発言をふまえ、過去の報じ方についてどう考えているか。
篠塚社長:今回被害にあったと告白している方が、テレビでも報じられていれば、と指摘していることは認識しており、大変重く受け止めている。視聴者の皆様からも様々なご意見をいただいている。当社としては、そういった意見を本当に重く受け止めて、今後の取材・放送に生かしていきたい。
※先日救急搬送された歌舞伎俳優の市川猿之助さんについて。今回の事態についての受け止めは。
篠塚社長:皆様方もそうだと思うが、大変驚き、本当に残念でならない。まずは、亡くなられたご両親、市川段四郎さん、喜熨斗延子さんのご冥福を心からお祈りしたいと思う。その上で、事案に関しては、現在警察が捜査を行っている途中であり、これ以上のお答えは控えさせていただく。
※昨日来、NHKのBS番組の配信に関連して、自主基準で認められていない範囲の予算案が計上、承認され、それを是正したという報道があった。社長の受け止めは。
篠塚社長:NHKのリリースは先程読んだ。内容的には、契約決定はしたが、着手の前に止めたので違法性はないというのがNHKの考え方ということだ。一方でガバナンス、内部統制上の問題がないとは言えないということだ。今後、再発防止に向け、ガバナンスのあり方を再確認するということで、この事案そのものの詳しい検証が必要になると思っている。加えて、総務省のデジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会、公共放送ワーキンググループでは、まさにこのNHKのインターネット活用業務を必須業務にするかどうかという議論が行われている真っただ中だ。規律やガバナンスの問題が論点の一つになっている中で、このような不適切な事案が発覚したことが、今後の展開に影響していくのではないか。注視していきたい。

以上