社長定例会見

早河洋会長・篠塚浩社長 記者会見(3月28日)の要旨

2023-03-29
※2022年度を振り返っての所感、新年度の抱負。
早河会長: 今年度の総括というと、何といっても空前の盛り上がりで先週終わった「2023ワールドベースボールクラシック」(以下、WBC)だ。1次ラウンドから決勝までの7試合全て世帯視聴率40%以上を獲得。全7試合生中継をリアルタイムで視聴した人は全国で推計9446万2000人だった。テレビ朝日は今回WBCの放送で初めて決勝を中継し、日本対アメリカの視聴率は個人全体視聴率24.3%、世帯視聴率42.4%、最高は準々決勝の日本対イタリアで個人31.2%、世帯48.0%とWBCの放送史上最高を記録した。この歴史的な視聴率は、地上波の訴求力、伝達力、あるいは表現力、その力強さを実証したことを意味しており、正直大変感動した。テレビ離れと言われ、PUT(総個人視聴率)の低下や、テレビ広告の鈍化など、昨今テレビのマイナス要素が指摘される中で、この実績は本当に喜ばしく自信にもなった。振り返るとテレビ全体の歴代視聴率ベスト50にはスポーツ番組が20番組もランクインしていて、テレビとスポーツは非常に親和性があることが改めて立証されたと言える。このことは、昨年秋の「FIFAワールドカップカタール2022」での日本代表の中継でも証明されており、2つのイベントの高視聴率もあって、2022年度のテレビ朝日の視聴率は、先週まで全日が個人3.6%世帯6.6%で、ともに1位。ゴールデンは個人5.6%で2位。世帯9.5%で1位。プライムは個人5.6%、世帯9.6%でともに1位という好成績となっている。これらの数字の確定は4月3日になる。スポーツ以外では、「報道ステーション」「羽鳥慎一モーニングショー」などの報道情報系の番組が好調に推移。ドラマでは「相棒season21」や「ザ・トラベルナース」などの高視聴率に加え、「六本木クラス」「星降る夜に」が見逃し配信にも貢献。民放連続ドラマトップテンに6作品がランクインした。また、バラエティでは「ポツンと一軒家」「ザワつく!金曜日」が1年を通して頑張ってくれた。一方で、今年度の決算が確定するのは5月になるが、広告収入の減少により前年実績を超えるのは難しそうな状況だ。それでも、BS朝日などグループ会社や持分法関連会社の利益貢献もあり、株主還元策として昨年度の配当は維持した。また、新年度からの経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日 経営計画2023-2025」を今月、内外に公表した。BREAKOUT STATIONというのは、テレビ朝日自身を含め、既存のテレビ局を超えろ、超えようという意味で、その決意・意気込みを示したものだ。ポイントだけ申し上げると、本業の視聴率については、タイムテーブルの更なる徹底強化によって2025年度までに個人・世帯ともに3冠を目指すこと。インターネット分野ではワールドカップサッカーに成功したABEMAとの協業をさらに進化させること、動画配信のTELASAが来年度中に200万会員の獲得を目指すこと。IPビジネスでは持分法関連会社とした電子書籍のBookLive社と連携するなど、開発を加速することを盛り込んだ。今年度は、2021年度に不祥事が続き、前社長辞任などがあり、その後遺症のようなものが気になっていた。このため、4月以降全社対話集会などを何回も開催し、社員とのコミュニケーション強化に努力した。そうした集会への出席率、新規事業への応募数、番組企画提案などを見ると、おおむね6割の社員が参画しており、モチベーションが上がっている手応えを感じている。こうした中、新しい経営計画のスタートでもある4月3日から5日間社員食堂を無料開放することにした。また、4月4日には延び延びになっていた、ワールドカップサッカー対応への社長賞、視聴率向上実績への会長賞の表彰式と新入社員歓迎会を兼ねた花見パーティーを開催することにした。
※最新の視聴率について。
西常務: 個人年度視聴率は、全日3.6%で日本テレビと並び1位タイ、ゴールデン5.6%で2位、プライム5.6%で1位、そしてプライム2は2.0%で2位だ。世帯の年度は、全日6.6%で1位、ゴールデン9.5%で1位、プライム9.6%で1位、そしてプライム2は3.7%で2位という状況だ。1月クールの個人は、全日3.9%で1位、ゴールデン6.4%で1位、プライム6.3%で1位、プライム2は2.0%で2位タイだ。1月クールの世帯は、全日6.9%で1位、ゴールデン10.4%で1位、プライム10.5%で1位、プライム2は3.7%で2位だ。主な放送予定は、4月5日水曜日「特捜9season6」を皮切りに、木曜21時の「ケイジとケンジ、時々ハンジ。」、火曜21時「unknown」と4月クールの連続ドラマが続々とスタートしていく。13日木曜日からは4夜連続プライム帯で「世界フィギュアスケート国別対抗戦」を放送する。WBCに続き、日本勢の活躍をぜひご覧いただければと思う。
※ABEMAとの協業について。
早河会長:ABEMAがワールドカップ64試合全部を中継し、その内容もユーザーに非常に高く評価されたということと、その認知度が格段に上昇したということで、いろいろなビジネスの広告も含めた問い合わせが来ている。私どもの営業部門とABEMAの営業部門との共同作業のようなことも幾つか始まっている。以前から報道面では報道局が全面協力してABEMA NEWSを盛り立てているのに加え、番組面ではコンテンツ編成局が「一枚岩」という合言葉で協力し合っている。今回、ワールドカップでスポーツをやったので、報道・制作・スポーツ、それからイベントのようなことも多分これからやっていけるのではないかと思うが、全面的にがっぷり四つに組んで、テレビ朝日の地上波とインターネットテレビの30チャンネルというのがうまく融合できるような歩みをしていきたいと思っている。
※営業状況について。
橋本取締役:まず2月は、タイムは前年比で90.2%、スポットは105.1%、トータル97.9%で確定している。スポットシェアは23.3%と前年を1.2ポイントほど上回っての着地となった。一方の3月だが、現時点ではタイムは前年比115.9%、スポットは88.7%、トータルでは99.7%といった状況で、この水準で着地する見込みだ。この3月は、例年のような年度末らしい市況の盛り上がりがなかった。その結果スポットが特に影響を受け、最後まで低調だった。一方のタイムは、先ほどから出ているWBCに加え、先週末の「キリンチャレンジカップ 日本対ウルグアイ」それから2夜連続ドラマ「キッチン革命」といった特番が順調に売り上げを伸ばして、タイムスポットトータルでは放送収入全体としての、前年水準をほぼ確保できたという状況だ。3月なので今年度を振り返ると、やはりウクライナショックが企業心理にずっと大きく影響し続けたのかなと感じている。そのような中でもワールドカップサッカーやWBCといった視聴者の心を突き動かすリアルタイムの大型コンテンツを放送できたこと、これを視聴者にアドバタイザーの支援を得ながらお届けできたことが、我々としても大きな収穫だったと思っている。続いて、新年度4月のセールスだが、滑り出しはまずまずかなという印象だ。現時点ではタイムは前年比95.3%、スポットは88.4%、トータルでは91.4%という状況だ。コロナ感染状況が改善されているということもあり、ゴールデンウィーク、夏休みをにらんでの交通レジャー関連のアドバタイザーからの出稿が目立って増えている状況だ。新年度に入ると、当社は4月に「世界フィギュアスケート国別対抗戦」が、7月には「世界水泳福岡2023」「全英オープンゴルフ」がある。8月には沖縄で「FIBA男子バスケットボール・ワールドカップ」が開催される運びとなっている。世界最高レベルのスポーツイベントが軒並み編成できるということで、引き続き日本選手の活躍ぶりを届けるとともに、多くの広告主に対してはよい宣伝機会を提供できるよう取り組んでいきたいと考えている。
※放送外収入について。
武田副会長:今後開催予定のイベントを3件紹介する。最初にタイの人気ドラマ「SOUTUS/ソータス」に主演をした俳優クリス(Krist)の来日コンサートを開催する。4月9日に神奈川県民ホール、16日には大阪のオリックス劇場でライブを行う。2件目はノーベル文学賞受賞者であるボブ・ディランの7年ぶりとなるツアーコンサートだ。4月11日から有明の東京ガーデンシアターで5公演を開催予定だ。最後にゴールデンウィーク恒例の恐竜体験型ライブエンターテインメント「DINOSAFARI 2023」だ。独自に開発した、世界が注目する新技術を駆使した恐竜ショーである。おなじみのティラノサウルスやトリケラトプスなどに加え、今回は新しく開発した鎧竜のアンキロサウルスや翼竜のゲオステルンベルギアが初登場する。4月27日から5月7日まで渋谷ヒカリエホールで開催する。次に配信関連の報告だが、来月開催される「世界フィギュアスケート国別対抗戦 2023」を今年もテレ朝動画で配信する。4月13日から16日まで、東京体育館で行われる。今回の配信では、新たにマルチアングル視聴を導入し、様々な角度から好きなアングルを選んで視聴したり、ライブ配信中に巻き戻して追っかけ再生もできるサービスを実施する予定だ。
※TELASAについて。
篠塚社長:TELASAは来月4月にサービス開始から3周年を迎える。これを記念し、3月1日から5月31日まで「テラサって3周年」というキャンペーンを実施している。会員登録をすれば抽選でPontaポイントがもらえるという施策である。コンテンツ面では、3周年の時期に合わせ、「相棒」のスペシャルコンテンツや「ロンドンハーツ」「キョコロヒー」等、多くの番組でオリジナル版の配信をしている。さらにスポーツでは、フィギュアスケートグランプリシリーズ・グランプリファイナルの競技映像などの配信も始めた。引き続き会員数増員に向け、幅広い施策を打ち出しTELASAの成長を加速させたいと思っている。
※ABEMAと出資映画について。
西常務:ABEMAのWAUは、現在は1600万前後と好調に推移をしている。直近のトピックスとしては、「メジャーリーグベースボール」の公式戦を今年もお届けすることになっている。侍ジャパンで大活躍の大谷翔平選手、ヌートバー選手を始め、日本人所属のチームを中心に約300試合の生中継をする予定となっている。サッカーでは、引き続き世界最高峰の「プレミアリーグ」「ブンデスリーガ」の中継をすることが決まっており、スポーツチャンネルの強化を進めていく。出資映画については、3月3日に公開した「映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)」の動員が現在220万人、興行収入が26億円を突破しており、非常に順調な推移をしている。改めてお越しくださった多くの皆様に、感謝を申し上げたい。
※4月改編の注目ポイントは。
西常務:現状の全日、ゴールデン、プライムの各時間帯とも好調に推移しているので、この4月改編もその流れをしっかり継続するというのが一番であるということで、改編作業を進めた。したがって各時間帯とも基本的にはその現行のラインナップを徹底的に強化するという方針をとっている。我々としては深夜帯に若手のクリエイターを中心とした深夜企画の拡充を進めた改編となっている。それは2020年より深夜でスタートした、総称「バラバラ大作戦」という枠があり、地上波のみならず配信や、当社が持っているEXシアターでのイベントや、番組の中で漫画をつくるといった、様々な展開を実施しており、大きな手応えを現在感じている状況だ。今回の改編ではその枠数を増やしてコンテンツの360°展開をより強力に進めるためにも、深夜の充実を図った改編といえる。
※放送法関連について。放送法が定める政治的公平の解釈をめぐる総務省の行政文書問題だが、今回のこの一連の議論について受け止めは。
篠塚社長:いわゆる総務省の行政文書を国会で様々議論されているのは当然承知しており、当社の報道情報番組も適宜取り上げている。当社としては、これまでも常に放送法に基づいて公平公正な報道に努めてきた。今後も同じように公平公正な報道に努めていく。
                                      以上