社長定例会見

早河洋会長・CEO 亀山慶二社長・COO 会見(9月24日)要旨

2019-09-24
※上期の総括と10月改編の意気込みについて.
早河会長:まずは視聴率だが、上期終了まで1週間を切った。年間・年度ともに、全日、ゴールデン、プライムいずれも2位を堅持している。前年対比ではゴールデン、プライムは0.3ポイント上回っている。5月には開局60周年記念の目玉である「白い巨塔」を5夜連続で放送した。視聴環境が多様化する時代において、テレビコンテンツのスケール感、面白さ、魅力をしっかりと伝えることができた。この5月4週は5年半ぶりの四冠であった。バラエティでは月曜日の「帰れマンデー見っけ隊!!」から「10万円でできるかな」、「クイズプレゼンバラエティーQさま!!」への流れが非常にいい結果をもたらし、日曜日も「ナニコレ珍百景」平均12.6%、「ポツンと一軒家」が平均18.8%と視聴者に支持された。ドラマでは4月クール、「緊急取調室」「特捜9 season2」がいずれも上位にランクインした。全日帯は「グッド!モーニング」の7時台が平均10.1%と自己最高のペース、「羽鳥慎一モーニングショー」も民放トップ、「報道ステーション」も堅調で、全日帯の週平均では25週のうち10週トップを獲得している。4月2週から開局以来最多の8週連続トップという記録もこの中に含まれている。また、5月の月間では全日、プライムの二冠と、4月クールは大変勢いがあった。7月クールに入ってその勢いがやや止まった感じだが、数字的には良かったと思う。10月改編については、実績十分の「ドクターX~外科医・大門美知子~」と「相棒 season18」がタイムテーブルの真ん中に位置して、ある意味で心強く楽しみである。「ドクターX」は2年ぶりで、さらにパワーアップして復活してくれると思う。「相棒 season18」も映画並みのスケール感ある内容でスタートする。どちらも長いシリーズものなのでスタッフと出演者は新鮮な魅力を付け加えようと現在、一生懸命に取り組んでいるところだ。このほか、「時効警察はじめました」「おっさんずラブ Season2(仮)」のナイトドラマも結果が楽しみだ。金曜日タテの改編は、「ザワつく!金曜日」「マツコ&有吉 かりそめ天国」「ミュージックステーション」の移動。土曜日「サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん」。週末に新風を吹き込んでくれると楽しみにしているところだ。この秋は各局、大型スポーツ番組の競争になっているが、テレビ朝日としては「世界野球プレミア12」「フィギュアスケートグランプリシリーズ世界一決定戦2019」「世界体操2019」などの番組で高視聴率を獲得し全体を引っ張ってくれるのではないかと期待している。視聴率はまずまずだが、営業状況は非常に厳しい状況となっている。9月は増税前の駆け込み需要が期待されていたが、ほとんどその影響はなく、東京地区は90%を割り込む見通しだ。上期の広告収入がこのように弱含みで、下期も楽観できない状況になっているため、営業、総合編成、総合ビジネスの収益部門3局を一体的に運用していく「業績対策本部」を設置した。私が本部長で、亀山社長が本部長代行となり、コストコントロールの徹底、増収策を早急に取りまとめ迅速・柔軟に対応していきたい。明るいニュースとしては映画「劇場版おっさんずラブ~LOVE or DEAD~」がヒットしたことだ。目下、興行収入25億円が見えている段階だ。女性層中心でリピーターもいると聞いている。10月スタートの土曜ナイトドラマでのパート2への最高のバトンタッチとなりそうだ。もう一つはAbemaTVで、開局3周年を迎えて現在4200万ダウンロードを突破しているが、これまで5週で、目標のWAU(ウィークリー・アクティブ・ユーザー)をクリアしている。明らかにユーザーの増加があるということだ。オリジナルの恋愛リアリティショー、災害報道や各種の記者会見、これらがけん引している。また、有料のAbemaプレミアム会員も45万人を超えた。テレビ朝日の深夜帯での番組連動も行った。相互の集客につなげたいと思う。もう一つ明るい話として、「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭りSUMMER STATION」が今年も来場者が延べ500万人を超えた。夏休みの都心のイベントしては完全に定着したと思う。来年の開催は東京オリンピックと全く重なる。国際色も必要になると思われるが、これから知恵を絞っていきたい。
※視聴率について。
西取締役:まず年間平均だが、全日7.6%、ゴールデンが10.5%、プライムが10.6%、プライム2が5.3%、全区分2位という状況で推移をしている。続いて年度平均だが、全日7.4%、ゴールデン10,3%。プライム10.5%、プライム2が5.1%と、こちらも全区分2位で推移している。7月クールも全区分2位で推移している。全日が7.4%、ゴールデンが10.1%、プライムが10.3%、プライム2が4.9%となっている。9月の月間平均だが、こちらも全区分2位だ。全日が7.4%。ゴールデンが10.2%、プライムが10.4%、プライム2が4.7%という状況だ。7月クールで振り返ると、「刑事7人」「サイン-法医学者 柚木貴志の事件-」「科捜研の女」の連続ドラマがいずれも堅調な結果となった。バラエティでも、月曜と週末の日曜日は堅調に推移しており、最近投入した新しいバラエティが順調に育ってるのではないか。それからスポーツでは、7月に「世界水泳 韓国・光州2019」があり、プライム帯で8夜連続放送ということで、最終日の視聴率が11.9%。8夜の平均が10.2%となった。8月は「第43回全英女子オープンゴルフ」の中継があり、渋野日向子選手が日本勢として42年ぶりに海外メジャー大会優勝という瞬間をお届けすることができた。非常に良かったのではないかと思う。
※業務対策本部とは、具体的にどういう想定か。
早河会長:一般的には営業が広告収入の最前線にあるが、増収ということを考えると、タイムテーブルに沿ってというよりも、企画やイベントなど新しいものを、現場が立案して総合編成と営業、あるいは総合編成と総合ビジネスが一緒になって営業活動を展開していく。営業、総合編成、総合ビジネスの3つの局が一体的にアドバタイザーに向き合おうという考えで、この3局の担当役員や局長を経験した、亀山社長に先頭に立ってもらおうということだ。
※「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」といった国民的アニメの枠移動について、視聴者の反応は。
早河会長:タイムテーブルの改革で、月曜日から日曜日まで、悪いところがあれば直し、改善し、強化し、とやっているが、テレビ朝日は正直言って火曜日と金曜日がシングル基調で、日曜日と月曜日は逆に改善しているが、大きく視聴率が低下すると週平均に影響してくる。特に金曜日は、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」は6~7%に落ち込んでいる。かつて金曜よる7時というと、「ドラえもん」は1981年から1681回で平均視聴率14.7%、「クレヨンしんちゃん」も1992年から1088回。平均視聴率が12.8%。これは長い期間の平均なので、良い時は20%を取っていたし、この6~7%というのがタイムテーブルへの影響が非常に大きなものがある。なんとか、そこを脱却したい。より見られる時間帯をいろいろ探して、土曜日の夕方に移行することとした。もちろん、これを長い間支えていただいている広告会社、アドバタイザー、あるいは権利者、関係者の皆さんには私が申しあげているような事情を説明して理解を得た。これだけ長期間放送しているので、視聴者からも移動については違和感があったと思うが、イベントや映画など、今までやってきたことを強化したい。新しい試みもいま作業中で、視聴者、特に子供たちの期待を裏切らないように努めていきたい。
※営業状況について。
亀山社長:8月の営業売上は、タイムは前年比96.5%、スポットは92.8%、トータルでは94.7%で確定した。タイムは、「世界バドミントン スイス・バーゼル2019」の増収があったが、昨年あった「パンパシ水泳東京2018」の減収もあり、前年水準には届かなかった。スポットは、東京地区が94.7%と低調な状況だった。当社も苦戦をし、前年比92.8%で終了した。9月の営業売上は、タイムは前年比87%+α、スポット86%+α、トータル86%+αで推移している。タイムは、昨年あった「ミュージックステーション ウルトラフェス」、バドミントン「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」がないことで前年水準には届いていないが、期末単発のセールスに注力しているところだ。スポットについては、厳しい市況となっていて、東京地区は前年88%程度の見通しとなっている。セールス期間は短くなっているが、最後まで粘り強くセールスしていきたい。10月の営業売上は、タイムが前年比82%+α、スポットが現状のところ52%+α、トータルでは66%+αで推移している。タイムについては、「ZOZO Championship」「世界体操」「2022FIFAワールドカップカタールアジア地区2次予選」2試合、「フィギュアグランプリシリーズ」カナダ大会、「侍ジャパン強化試合」など、多くのスポーツ単発が予定されており、前年を超える売上を目指している。一方スポットは、引き続き低調で、アドバタイザーの動きが鈍い。需要の掘り起こしに努め、これから売上を積み上げたい。
※放送外収入について。
武田副会長:まず最初に開局60周年記念のイベント関連を4件報告する。うち2件は既に終了している。1件目は「ブルーマングループ ワールドツアーIN JAPAN-東京公演」。5月から6月にかけてEXシアター六本木で42公演を行った。目標を超える約3万9千人を動員し終了した。2件目は20周年を迎えた「SUMMER SONIC 2019」。これは8月16日~18日、幕張メッセとZOZOマリンスタジアム、その周辺で3日間開催。チケットは完売し、18万人を動員し大盛況のうちに幕を閉じた。10月12日~14日、幕張メッセで開催する「テレビ朝日ドリームフェスティバル2019」があり、初日は関ジャニ∞の冠番組「関ジャム完全燃SHOW」の特別企画として「関ジャムFES」を開催する。券売は非常に好調に推移している。記念イベントの最後を飾るのは、世界中で大ヒットした映画「ボヘミアン・ラプソディ」の成功を受け、ついに日本に上陸する「QUEEN+ADAM LAMBERT-THE RHAPSODY TOUR」公演が2020年1月25日、26日にさいたまスーパーアリーナで、28日は京セラドーム大阪、30日は名古屋ドームで開催される。チケットは既に全公演完売している。次に、「劇場版おっさんずラブ」は国内で好評上映中だが、海外では9月6日に台湾で上映開始された。今年台湾で上映された日本の実写映画では、「マスカレードホテル」に次いで、初週3日間の観客動員数が第2位を記録した。9月12日からは香港、マカオで上映が開始された。最後は麻雀プロリーグ戦「Mリーグ2019」の開幕について。第2期のシーズンが9月30日から始まる。今回は新しいチームが加わり8チーム総勢29人のMリーガーによる戦いが始まる。今シーズンからは10月6日から地上波でもMリーグのダイジェスト番組を放送予定。
※AbemaTVと出資映画について。
西取締役:AbemaTVは開局から3年2カ月で4200万ダウンロードを突破している。6月3日の週のWAU(ウイークリーアクティブユーザー)が目標であった1000万を突破したのを皮切りに、これまでに5回、1000万突破を記録している。オンデマンド視聴も増加傾向にあり、有料の「Abema プレミアム」の会員が約45万人となっており、リアル視聴、オンデマンド視聴共に数字が伸びている状況だ。これはAbemaTVの恋愛リアリティーショーとオリジナルの企画が好調に推移していることに加え、AbemaNewsがインターネットでの24時間ニュースとしてしっかり根付いてきたことや、地上波のネオバラエティとのコラボ企画なども一因になっているのではないか。7月からAbemaTVにおいてテレビ朝日の人気番組の見逃し視聴ができるサービスも始まっており、さらに多くのユーザーにご利用いただけると期待している。AbemaNewsはここ数カ月、緊急会見、参院選の特番等注目を集めており、さらに九州北部豪雨や台風15号のニュースも入ってきて、その都度、レギュラー番組などで詳細を伝えている。特に台風15号による千葉県内の停電では、避難所や給水所、携帯電話などの充電可能場所等の文字情報をL字の字幕で24時間表示し続けるという新しい取組も実施しており、被災した方々への情報提供にも注力した。今後も普段のニュースはもちろん、「災害時にも頼りになるAbemaNews」を目指して行きたい。出資映画の最新情報について報告する。8月23日公開の「劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~」は昨日までの累計で、動員数が166万916人で、興行収入が22億4615万円。7月26日公開の「劇場版 仮面ライダージオウ Over Quartzer/騎士竜戦隊リュウソウジャー THE MOVIE タイムスリップ!恐竜パニック!!」は昨日までの累計が、動員数94万2539人、興行収入が11億5477万円という状況で推移しており、こちらは6年ぶりに11億円突破という状況だ。
※報道ステーション内のハラスメント行為について。
早河会長:昨年、財務次官による当社女性記者へのセクハラ事件があったが、この時会社としての対応、女性記者の訴えを受け止められなかった。これが大きな反省材料だったので、役職員全員にコンプライアンス研修を実施した。にもかかわらず今回の件が発生したことは非常に残念であり、極めて重く受け止めている。再発防止のため新たに「ハラスメント問題対策会議」を設置し、私がこの議長になって、社員のさらなる意識改革と安心して働ける職場環境を作るための施策を講じていく。具体的には特に管理職、部長クラス、番組のプロデューサー、デスク、キャップやチーフクラス、これらを対象に研修を強化する。また各職場にはコンプライアンス担当者を配置している。それによりハラスメント情報の察知、速やかな情報の収集を図る。また行為者には厳正な処分が待ち受けているということの徹底、就業規則違反ではあるが、そういう処分の徹底に全力を挙げていきたい。今回のケースはコンプライアンス統括室が情報を7月の初めには察知して調査を始めてきたが、事実関係を確認するまで時間がかかった。これは非常にデリケートな案件だし、風評など色々なものが職場の中にあるので、そのために慎重を期した結果で、この辺はもう少し早くすべきだったと反省している。報道番組で起きたことなので会社としても重く受け止めて、改めて再発防止をより一層徹底していきたい
※NHKの常時同時配信の件で、先週NHKがインターネットの実施基準案を発表した。民放連がまとめていた2.5%という上限を超えるような案が出てきたが、どのような受け止めか。
藤ノ木専務:受信料の2.5%というのは、従来NHKが設けた上限で、今回“公共性の観点から積極的な実施が求められる”業務として、新たに4業務を挙げている。単純に足し上げると90億円にもなる。それが本当に公共性の観点から実施するものであるのかどうか、今後注視していかなければならない。NHKの肥大化につながることを懸念している。