社長定例会見

早河洋会長兼CEO 角南源五社長 会見(9月25日)要旨

2018-09-26
※上期の振り返り、10月編成への意気込み。
早河会長:まず視聴率だが、4月からの年度平均は9月24日現在、全日が7.6%、ゴールデンが10.0%、プライムが10.2%といずれも2位だ。1月からの年間平均も2位で推移している。特に上期の全日帯は自己最高ペースで、25週のうち10回トップを獲得した。これは「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」が半期平均で自己最高ペースで貢献しているのに加え、ドラマの「特捜9」「未解決の女 警視庁文書捜査官」「警視庁捜査一課長」「刑事7人」「遺留捜査」などが、民放連続ドラマの上位で貢献してくれた。特筆すべきは4月クールの「おっさんずラブ」と7月クールの「dele」が大きな話題を呼び、高い評価を受けた。特に「おっさんずラブ」はDVDの予約がテレビ朝日のドラマ史上最高で、最終回の見逃し配信の再生回数が139万回を記録して、全7話累計633万回だ。若い女性の視聴が多く、ユーザー全体の8割を占めている。オフィシャルブックの発行部数も異例の16万5000部。「おっさんずラブ」展の前売り券も即完売という大盛況だ。視聴率4%だから必ずしも成功とは言えないが、配信、DVD、SNS、出版、リアルイベントが好成績で、金曜ナイトドラマに加えて、土曜ナイトドラマを編成した目的を十分に達成してくれた。続編への要望も多数寄せられ、その期待に応えたいとは思っている。営業状況だが、広告収入は低調でタイムは前年水準に届かない見込み。スポットの東京地区は昨年9月以降、前年水準に届かず、13カ月連続で前年割れとなる見込みだ。ここ数年、売り上げをけん引してきた情報・通信関連のアドバタイザーの出稿減が大きな要因だが、ネット広告市場の拡大の影響もありそうだ。キャッチアップやAbemaTVなどデジタル広告と地上波広告の連動セールスを積極的に提案しており、増収に努力している。収益拡大の取り組みを行うとともに、利益確保のためにコストコントロール策を実施している。戦略的、効率的な費用投下、メリハリの利いたコスト管理を徹底するつもりだ。「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭りSUMMER STATION」だが、7月14日から8月26日まで開催し、524万4000人が来場した。本社7階屋上の50メートルのジップラインは人間がワイヤーにぶら下がって空中散歩する。「ドラえもん」のARアトラクション、最先端のデジタルスポーツ、3Dスキャンを使ったアトラクションなどが人気を呼んだ。記録的な猛暑、度重なる台風に見舞われたが、大きな事故もなかった。都心部で開催する夏のリアルイベントとして完全に定着したと思う。開局60周年の来年、それから東京オリンピックと重なる2020年の夏祭りをどのように発展、進化させていくか構想を練り始めている。またAbemaTVだが、放送開始2年を経過してサイバーエージェント、AbemaTVとの関係を一枚岩にしようというポスターを相互で作成し、番組の連動性の推進も打ち出している。当社のバラエティスタッフが制作する「バラエティーステーションpresented by テレ朝」も始めている。今後さらに連携を強化すべく年末年始にトライアルを行い、来年4月の3周年に臨むつもりだ。最新のアプリのダウンロード数は3380万、WAU(ウィークリーアクティブユーザー)は恋愛リアリティショー、あるいは将棋などに力を入れた結果、500万台から600万へと着実にベースアップをしている。目標は従来から申し上げているように1000万WAUだが、頑張れば到達できるところまで来たのではないかと聞いている。それから、北海道胆振東部地震では、地元のユーザーは3倍に増え、全体でも2倍になった。全道停電という状況だったが、停電となると情報源として頼りにされているということが改めて確認できた。AbemaNewsでは緊急チャンネルを設け、テキスト情報などを流して対応した。最後は10月改編の意気込みだが、この下期は来年1月からの60周年記念期間に入るのでスタートダッシュをかけていきたい。「相棒season17」「科捜研の女」は安定した視聴率を期待しており、米倉涼子さん主演の新ドラマ「リーガルV~元弁護士・小鳥遊翔子~」も楽しみにしている。弁護士資格をはく奪された元弁護士が法廷、訴訟の指揮を執るという設定が面白いと思う。「ドクターⅩ」同様、米倉さんのスカッとした演技に期待する。ヒットメーカー橋本裕志さんの脚本にも注目している。バラエティでは日曜夜の「ナニコレ珍百景」「ポツンと一軒家」に頑張ってもらいたい。スポーツでは1月のアジアカップを始め、サッカーの日本代表戦、「世界体操2018」、フィギュアスケートでは「グランプリシリーズ 世界一決定戦2018」における羽生結弦選手、宇野昌磨選手や女子では今シーズン、シニアデビューでいきなり世界第2位の高得点を出した16歳の紀平梨花選手らの活躍に期待している。プロ野球の日本シリーズはどういう対戦になるのか、まだ未確定だ。クライマックスシリーズまで一喜一憂して見守りたいと思う。
※視聴率状況について。
亀山専務:年間平均視聴率は全日7.6%、ゴールデンが10.3%、プライム10.4%、プライム2が5.4%で、全区分2位という状況だ。年度も全区分2位という状況で、全日が7.6%、ゴールデンが10.0%、プライムが10.2%、プライム2が5.4%で推移している。7月クールも全日が7.6%、プライムが10.2%、プライム2が5.4%で2位、ゴールデンが10.0%で3位という状況だ。全日帯では、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」を始めとする平日のベルト番組や週末の各番組が好調で、6時から19時の区分ではトップで推移している。7月クールの番組では、連続ドラマの「刑事7人」「遺留捜査」がともに平均11.8%で7月クールの民放連続ドラマでは同率2位となった。バラエティでも「ザワつく!一茂良純ちさ子の会」の15.0%をはじめ、単発番組等が好成績を残した。スポーツでは「パンパシ水泳東京2018」の中継をゴールデンで4日間やったが、平均10.1%と前回を上回って健闘してくれた。続いて今後の主な放送予定だが、連続ドラマは「相棒season17」が10月17日、第18シーズンとなる「科捜研の女」は10月18日、木曜ドラマ「リーガルⅤ」は10月11日、金曜ナイトドラマ「僕とシッポと神楽坂」が10月12日、土曜ナイトドラマの「あなたには渡さない」は11月10日のスタートだ。バラエティでは「ポツンと一軒家」が10月7日に2時間半のスペシャルでスタートし、「ナニコレ珍百景」は10月14日からだ。
スポーツは「キリンチャレンジカップ2018 日本×パナマ」が10月12日、「日本×ウルグアイ」が10月16日だ。「フィギュアスケートグランプリシリーズ 世界一決定戦2018」も、いよいよ10月20日のアメリカ大会からスタートする、「世界体操2018」は10月29日にドーハで開幕する。
※営業状況について。
角南社長:8月の営業売上は、タイムは前年比99.1%、スポットは97.1%、トータルでは98.1%で確定した。タイムは、レギュラー番組のセールスには苦戦をしたものの、日曜プライム「君の膵臓を食べたい」「高校野球総選挙」といったコンテンツで売上を積み上げることができた。単発番組では「パンパシ水泳東京2018」での増収があったが、昨年あった「ロシアW杯最終予選 日本対オーストラリア」の反動減などがあり、タイム収入は前年水準に僅かに届かなかった。スポットについては、東京地区は引き続き低調で99.4%で終了した。当社もセールスに苦戦し、97.1%と減収となった。9月の営業売上は、タイムは前年比96%+α、スポット89%+α、トータル92%+αで推移している。タイムは、バドミントン「ダイハツ・ヨネックスジャパンオープン」や「ミュージックステーション ウルトラFES」などが増収となったが、昨年あった「ロシアW杯アジア地区最終予選 日本対サウジアラビア」などの反動減もあり、減収となる見込みだ。スポットだが、東京地区は前年94%程の見込みだ。引き続き厳しいセールス環境だが、最後までプロモートに努めている。10月の営業売上は、タイムが前年比76%+α、スポットが51%+α、トータルでは62%+αで推移している。タイムだが、単発では「キリンチャレンジカップ」が2試合予定されていることなどから増収となる見込みだ。そのほか、「日本シリーズ」「世界体操」などに加えて「フィギュアグランプリシリーズ」も開幕するなど、スポーツ単発が目白押しとなっている。レギュラー番組はもちろんの事、単発番組のセールスにも注力していく。スポットだが、依然東京地区は低調だ。下期のスタートということでアドバタイザーの動きが鈍いことに加え、9月の台風や地震等の影響もあり、発注ラップが遅くなっていると考えられる。今後の市況については不透明なところも多いが、引き続き積極的なプロモートで増収に努めていく。
※放送外収入について。
武田専務:Abema関連だが、AbemaNewsは災害に強い頼りにされる情報源ということで、今後もしっかりと頑張ってやっていきたい。KDDIとのビデオパスにおける協業について、7月クールドラマでは、「遺留捜査」「ハゲタカ」「dele」「ヒモメン」の見放題独占配信を実施し、すべてのタイトルがビデオパスデイリーランキングで1位を獲得した。「おっさんずラブ」関連だが、9月6日から渋谷で開催した「おっさんずラブ」初めての公式展示会も、極めて大盛況のうちにきょう最終日を迎える。イベント関連だが、今週末29日からは黒柳徹子さんが主演される海外コメディシリーズのファイナル公演「ライオンのあとで」がEXシアターで開幕する。1989年に始まり今年で32回目で、非常に歴史ある公演だが、今回で一つの区切りとなる。もうひとつ黒柳徹子さん関連では、本日から日本橋高島屋で「もっとSU・TE・KI!展」が開幕した。その他イベント関連では、毎年秋に新宿・大久保公園で開催している「秋のグルメ祭り」のトリとして、来月10月4日から、「大つけ麺博」を開催する。開催10年目となる今年は、「ラーメン日本一決定戦!!」と題し、出店者をWeb投票で決定した。予選参加106店のうち、厳選した36店舗がラーメン日本一の座をかけて、自慢の一品をお客さんに提供する。
亀山専務:出資映画の状況だが、8月4日に公開した「仮面ライダービルド/ルパンレンジャーVSパトレンジャー」劇場版は、9月24日までの累計で動員数が84万5580人、興行収入が10億460万円と5年ぶりの10億突破となった。
※「仮面ライダービルド/ルパンレンジャーVSパトレンジャー」が5年ぶりの10億突破となった要因は。
亀山専務:今シリーズも出だしが凄く良かったということが劇場版にもつながったのではと思う。夏祭りも良い形で連動したのかと思っている。
※10月から「報道ステーション」に徳永有美さんが復帰するが期待するのは。
早河会長:「報道ステーション」の初期に番組に関わって、その後ここにきて2年前くらいからAbemaNewsの昼の番組のキャスターをやってもらっていた。以前に比べて安定感も出てきたし、なかなかコメンテーターと2人で番組進行するのはそう簡単ではないが、そういう技術も向上したので、編成、報道、アナウンス部等の協議によって、起用しようということになった。いろいろな記事が週刊誌などにあるが、私どものアナウンサーは60人くらいいるものの、自前の陣容でメインを含め報道系の番組はなかなか充足できないので、フリーランスやタレントの方にお願いするということにならざるを得ない。朝の羽鳥慎一さんや週末の高島彩さん、長野智子さんなどの経験者に助けてもらっているという事情もあり、徳永さんにお願いした。番組のコンセプトが“親しみやすく、目線を低く”という対視聴者との関係で、“中学生でもわかるニュース”というのが私がやっていたころのキャッチフレーズだ。そういうコンセプトでやっていく中で、彼女に出演を依頼したと聞いている。
※「ワイド!スクランブル」に出演されている橋本大二郎さんが卒業されるが。
早河会長:メインキャスターを4年半務めていただいた。橋本さんは、NHKの記者の経験があり、その後は高知県知事をやられて、長年の経験と幅広い見識、知見をお持ちで、ニュースや社会的関心事に対して多角的な視点で問題の本質を突いたコメントをしていただいた。あの時間帯に落ち着きとある種の奥行き、安定感をもたらしてくれたことに対して、大変感謝をしている。災害の被災者や事件、事故の被害者への、なんとも言えない心優しいコメントが印象に残っている。他局と伍して、番組を堅持していただいたと思う。
※「おっさんずラブ」のDVD、イベントが絶好調とのことだが、続編の要望など、視聴者の声はどれほど来ているのか。具体的な数字は分かるか。
早河会長:具体的な数字は公表していないが、DVDの初回出荷数はテレビ朝日のドラマ史上トップなので、おそらくそのような要望もトップクラスだと思う。「土曜ナイトドラマ」は元々、視聴率10%、15%を取ろうと思って放送したわけではなく、動画配信に転用できるようなゾーンにしようというのが狙いだ。この番組は女性スタッフがけん引してくれた。このような成果を生んだという手ごたえはあった。「もっとやれ」というのは常識的なことだ。そのような意向を持っていることをご理解いただきたい。
※若い女性からの支持が高いということだが。
早河会長:意外な状況だ。必ずしもそうでもないと思うが、女性の感性があのような真剣な、独特のラブストーリーを作り上げた。そこに共感した人が多いのかもしれない。
※会長から見た、あのドラマの魅力的なポイントは。
早河会長:シナリオに嫌味がない。田中圭さん、吉田鋼太郎さん、林遣都さんの熱演。三文芝居のようになる恐れもあったが、本当に真剣なラブストーリーになっているので、出演者に相当な技量が必要だと思う。よく頑張ってくれたなと思う。
※会長も続編や映画化を希望しているか。
早河会長:もちろんだ。
※先程AbemaTVとの連携強化という話があったが、北海道地震や西日本豪雨などの災害報道を、AbemaTVで重点的にやったという話があった。AbemaTVは災害時の重要な伝送路としての役目を担っていくのか。そうなると、テレビの災害報道との量的なバランスはどうなるのか。
早河会長:東日本大震災の時に感じたが、あれだけの大地震になると、東北全体などが広域の停電になる。停電になると、地上波のテレビは見られない。今回の北海道の地震や西日本豪雨もそうだ。地上波も緊急特番を放送するが、実は肝心の被災されている方は見ることはできない。(電源が)生きているのはラジオとネットだ。そのため、西日本豪雨や北海道地震をAbemaTVで配信している。非常に特徴的なのは、例えば大阪ローカルで災害番組を放送する時に、東京では別の番組をやっているのだが、そのローカル番組をAbemaTVに送ってくれる。各系列局ではローカルで災害の特番を放送しており、系列局の協力により、AbemaTVで配信できる。それを(停電でローカルの災害番組を見られない)当該地域の方々が見る。また先日の北海道地震では緊急チャンネルで文字情報をもう1チャンネル増やして2日間配信した。このような配信がライフラインだと思い、我々も頑張っている。インターネットの機能はそういうところに生きる。この異常気象、いつゲリラ豪雨になり、いつ台風が来て、いつ地震があるかわからないというような時に、非常に頼りになる。被災地でスマートフォンなどのバッテリー充電の場所に長い行列ができた、ということをニュースにした局があったと聞いている。これからの日本の自然災害に対しては、良い役割が果たせると思う。AbemaNewsはテレビ朝日が仕切っているので、良い教訓になったと思う。