社長定例会見

早河洋会長兼CEO 角南源五社長 会見(3月27日)要旨

2018-03-28
                        2018年3月27日 定例会見要旨


※2017年度を振り返っての所感と新年度の抱負。
早河会長:2017年度の連結業績は増収増益で売上高は過去最高の3000億円になる見込みだ。3000億円は実現すれば、これは一つの目標にしてきたし、コンテンツと、コンテンツまわりの本業重視を掲げてきただけに一定の達成感がある。しかし、売上では上位局ははるか彼方で、戦略投資やAbemaTVを中心としたインターネット事業や「テレビ朝日・六本木ヒルズ夏祭り SUMMER STATION」を始めとしたメディアシティ事業を今後の成長のエンジンにしたいと考える。これが本業のテレビ事業とかみ合えば、広告収入は2番手になりそうなので、新しい時代のテレビ局としてステークホルダーに評価されるだろう。視聴率は上期のゴールデンが不調で苦しんだが、下期で反発できた。現場が結束して、よく立ち直ったと思う。災い転じて福とまではいかないが良い経験をしたと思う。特に1月クールは全日7.8%と高いレベルにあり、ゴールデン、プライムも大きく反転し11%台に乗る週も増えた。年度視聴率も残すところ6日だが、全日とプライムが2位、ゴールデンは民放2位タイという状況だ。4月2日に確定するが、ゴールデンは神のみぞ知るという感じだ。新年度も現在の上昇基調を継続したい。ニュース情報系のベルト番組はトップレベルで頑張っているし、ドラマもずっと好成績だった。帯ドラマ劇場は貴重な経験則、知見を得たし、「ドクターX~外科医・大門未知子~」の大ヒット、シリーズ300回全平均16.2%の「相棒」、しり上がりに数字を上げ続編の要望が殺到した「BG~身辺警護人~」、こうした良い流れ、勢いを大事にしていきたい。スポーツも節目節目で爆発力を見せた。これからはサッカー、水泳、体操など楽しみだ。バラエティさえ復調すれば、楽な展開になるが、思い切って若手を登用し、いろいろな番組に挑戦させており、明るい兆しが出てきたので、答えを出してくれるものと期待している。さらにAbemaTVとの連動などで拡散させる取り組みを本格化させる。AbemaTVは来月開局2周年を迎えるが、現在まで2800万ダウンロードと順調に視聴数を伸ばしている。2周年を機に番組の共同制作、相互乗り入れ、夏祭りやコンテンツなどいろいろな分野で連動性を強める。営業活動も協力体制を強化することを確認した。動画配信は、テレ朝動画、TVer、AbemaTV、KDDIとのビデオパスを俯瞰しながら柔軟かつ戦略的に展開していく方針だ。来年度の抱負としては、現在、営業はあまり良い出足ではないが、ここ2年はスタートの低空飛行を克服してきたし、グループも大きくなったので、全体で頑張っていきたい。番組はゴールデンタイムのドラマが今期の流れを受け継ぐことを期待している。金曜・土曜ナイトドラマもエッジの効いた「家政夫のミタゾノ」をはじめ、動画配信を含め楽しみにしている。月曜の19時に昇格した「帰れマンデー見っけ隊!!」、多彩なラインナップの「日曜プライム」、これらにも今期より上昇してもらいたい。
※視聴率について。
亀山専務:年度平均だが、全日が7.4%で2位、ゴールデンが9.9%で民放2位タイ、プライムが10.0%、プライム2が5.4%でいずれも2位という状況だ。全日が6年連続、プライムが4年連続の2位で終了するものと見込まれる。続いて、下期平均だが、全日が7.8%、ゴールデンが10.7%、プライムが10.6%、プライム2が5.3%で全て2位だ。1月クール平均だが全日7.8%で2位、ゴールデンが10.9%で民放2位、プライムが10.9%、プライム2が5.5%でいずれも2位という状況で、全日とゴールデン、プライムが前年を上回り推移している。1月クールの番組だが、「相棒season16」がプライム帯の民放連続ドラマで2位、「BG~身辺警護人~」が3位、「科捜研の女」が4位と3作品がトップ5に入っている。先月の平昌オリンピックの当社の中継枠の平均は、プライム帯が14.6%、全日帯が10.6%だった。朝の「羽鳥慎一モーニングショー」、夕方の「スーパーJチャンネル」が好調を継続している。日曜日の「路線バスで寄り道の旅」「帰れまサンデー・見っけ隊」といった旅バラエティが好調で前年を上回り推移している。今後の放送予定だが、来週からいよいよ4月改編の番組がスタートする。スポーツでは来年のFIFA女子ワールドカップサッカーの出場権をかけた「AFC女子アジアカップ2018」が4月7日からヨルダンで開幕する。
※営業状況について。
角南社長:2月の営業売上は、タイムは前年比106.6%、スポットは93.8%、トータルでは99.6%で確定した。タイムは、「平昌オリンピック」が牽引し、前年を大きく上回る結果となった。スポットは、逆に「平昌オリンピック」の影響もあり東京地区は91.7%と低調な結果となったが、当社は積極的なプロモートで、93.8%と地区を2%上回ることができた。3月の営業売上は、タイムは前年比83%±α、スポットは107%±α、トータル96%±αで推移している。タイムだが、昨年度に「WBC」「ロシアワールドカップ最終予選」2試合といった大型単発があったことの反動で前年水準並みの市況となっているが、当社は需要を上手く取り込み大幅なシェアアップが見込める状況となっている。4月のセールス状況だが、タイムが前年比89%+α、スポットが68%+α、トータルでは77%+αで推移している。タイムだが、4月改編セールスではアドバタイザーの固定費削減傾向から苦戦を強いられた。また単発でも「AFC女子アジアカップ」があるものの、昨年の「世界フィギュアスケート国別対抗戦」の反動で減収となっている。スポットは、期の始まりということもあり動き出しが鈍くなっている。引き続き積極的にプロモートを行い需要を掘り起こしていく。
※放送外収入について。
平城常務:まずデジタル関連で、AbemaTV、AbemaNewsについて。AbemaTV が4月11日に開局から丸2年を迎えるにあたって、3月24日から2周年期間と題して、記念のレギュラー番組を順次展開している。また2周年を機に、アニソンLIVEや深夜アニメに加え、人気声優が毎日レギュラー出演する帯番組などを展開する「アニメLIVE」チャンネルをスタートさせるなど、アニメチャンネルをリニューアルする。スポーツコンテンツとしては日本ゴルフツアー機構が開催する男子下部ツアー「チャレンジトーナメント」を「AbemaTVツアー」へ名称変更し全戦生中継するが、今週金曜からの開幕戦「Novil Cup2018」には、元賞金女王・横峯さくら選手の出場が決定している。男子選手に交じって、予選突破を狙う。また、同じくこの金曜から開幕するプロ野球・横浜DeNAベイスターズの今シーズン主催公式戦全72試合を、昨年に続き生中継する。
AbemaNewsでは、生中継に力を入れており、一連の森友問題に関して当事者らの会見や野党合同ヒアリングの模様を伝え、軒並み高い視聴者数となっている。また、本日国会で行われている佐川前国税庁長官の証人喚問の様子も生中継を含めて詳しく伝えている。今後も視聴者ニーズに的確に応えられる存在を目指していく。
続いてKDDIとの協業、ビデオパスについて報告する。金曜ナイトドラマで放送した「ホリデイラブ」の全8エピソードが、3月19日の時点で、初回配信時のビデオパス全体デイリーUU数ランキングで1位を獲得し、ビデオパス国内ドラマジャンルウィークリーUU数ランキングでも8週間連続1位を獲得している。「ホリデイラブ」はTVerにおいてもランキング上位にランクインし、AbemaTVオリジナルでお届けした番外編も高視聴者数を獲得するなど配信でも非常に好評だ。
その他協業関連としては、テレビ朝日、幻冬舎、ピクシブの三社が主催した小説コンテスト「ピクシブ文芸大賞」にて大賞を受賞した「Q&A」を3月24日土曜深夜に地上波にて放送した。さらに放送終了後からはディレクターズカット版を「GYAO!」にて無料配信している。なお、その書籍を当社の本間智恵アナウンサーが朗読したオーディオブックをアマゾンが運営する「Audible」及び「テレ朝動画」にて配信するなど、360°展開を行っている。
続いて、新日本プロレスリングとテレビ朝日が共同で行っている動画配信プラットフォーム「新日本プロレスワールド」について報告する。現地時間3月25日ロサンゼルスでの大会を生配信した。新日本プロレスのアメリカでの人気は非常に高まっており、興行は即日完売だ。3月に入ってからの新規入会者数は約5000人を数え、その6割がアメリカを中心とした海外からの入会者となっている。大会の前日にはロサンゼルス道場の道場開きも行われ、アメリカ発の新日本プロレス所属レスラーも近い未来に登場することになる見込みだ。また、大会中には7月7日にサンフランシスコでの興行も発表され、この大会の生配信も決定した。続いてイベント関係。平昌オリンピックで66年ぶりの2大会連続金メダルを獲得した羽生結弦選手が、これまで応援してくださった皆様へ感謝の気持ちを込めて行う凱旋公演「Continues ~with Wings~」を4月13日から3日間、武蔵野の森総合スポーツプラザで開催する。羽生選手本人はリハビリ加療中のため、スケーティングでの出演予定はないが、本人がこれまで影響を受けたトップスケーターたちが登場する予定だ。チケットについて先行予約分は、予定数を大幅に超えた応募をいただいた。一般販売は4月1日から
※AbemaTVが4月で開局2周年を迎えるが、あらためて会長から一言お願いしたい。
早河会長:2年で2800万ダウンロードまでくると、順調に推移してきたかなと。それから、将棋の藤井聡太六段や野球の清宮幸太郎選手など、そういうスポーツや将棋、麻雀は、そんなに視聴されるとは想定していなかった。意外にも、将棋と麻雀はある意味で大変な視聴数になっていることに驚いている。もちろん「ホリデイラブ」や、大人向けの「只野仁」のようなエッジの効いたドラマも受けている。最近では、恋愛リアリティーショーも非常に視聴数を増やしている。ただ、20数チャンネルを継続して見てもらうというのはなかなか大変な作業だ。ここまで道半ばというところには来られたので、これからコンテンツとチャンネルの魅力的な構築に全力を尽くしたい。ただ、AbemaTVに関する皆様方の取り上げ方を含めて、非常に多くの反響を呼んでいて、我々としても、いま手応えを感じている。2周年を機に、視聴数をさらに増やしていきたい。
※安倍総理が放送事業の見直しの検討を進めているとの報道があるが。
早河会長:規制改革推進会議の改革案は正確には承知していない。皆さん方の新聞報道によれば、「NHK以外は不要」との見出しもあり、民放は不要ともとれる考え方がうかがえ、正直驚いている状況だ。特に民放の実情、実態、これまでの歴史的な歩みを踏まえた丁寧な議論を強く求めたい。テレビで言うと、1953年からNHKとの二元体制で戦後の復興期から65年、娯楽や文化といったコンテンツを発信し視聴者にも支持され親しまれてきた。報道機関としても取材制作体制を整備し、大きな設備投資も行って、各系列間で切磋琢磨してきた。特に災害報道、地震や台風、最近では噴火、豪雪など、ライフラインとして公共的な役割を担ってきたという自負もある。また、耳や目の不自由な方への字幕放送や解説放送にも経営資源を投入してきた。7年前のデジタル化は、行政あるいは自治体、NHK、民放は協力し合って巨額な投資を行って、いわゆる「インターネットの時代」にも対応できるような、時代の要請に応えてきた。NHKとの共同作業で言えば、つい最近の平昌オリンピックでも、権利を共同で購入して、共同で制作して放送することにより、多くの感動を伝えることができたと思う。民放で言うと、高度成長期の頃から企業の商品やサービスのCMを流す広告宣伝媒体として、経済活動そのものを支援した形だったと思う。こうした歩みを広告主や視聴者は総じて評価して信頼してくれていると私は思う。規制を撤廃するという話があるが、目を背けたくなる過激な暴力や性表現が青少年や子供に直接降りかかってしまう。それから外資規制がなくなれば、外国の資本が放送局を設立して、その国の情報戦略を展開することになると社会不安にもなるし、安全保障の問題も発生する。こうしたことに、いずれも視聴者から強い拒否反応を招くのではないかと思う。主要の先進国では、政治的公平という記述は全て存在するし、撤廃したアメリカでも「イコール・タイム・ルール」(候補者の同等機会の提供)というのがある。性表現やわいせつ放送の禁止規定は、今ほとんどの国に存在している。そうしたことを鑑みると、慎重かつ丁寧に、特に実情実態を踏まえた判断というか、議論を強く望みたいと思う。
※規制改革の件の中に、放送法第4条の番組準則の撤廃も入っている。第4条の必要性についてはどう考えるか。
早河会長:第4条は、今申し上げたように、公安および善良な風俗を害さないという第1項、それは主に性表現、暴力表現を抑制せよという意味だと思う。それから第2項の政治的公平というのは、我々が政治マターを放送する際に、バランスをとって偏らないような放送を心がけよ、ということだと思う。第3項は“やらせ”はだめだということ、第4項は多角的な論点を明示しなさいということなので、放送人は基本的にはこれを入社したときからかなり教育されるし、一つのガイドラインとして定着していると思う。時に、表現上のミスや問題を起こしてしまうケースも歴史的にないわけではないが、おおむねやはり(放送法第4条の)番組準則の4項目というのは、放送に関わる者にとっては非常に大事なガイドラインと受け止めている。
※このような規制改革案が出ている背景についてどのように捉えているか。
早河会長:今申し上げたように、(規制改革案について)何か具体的なものを入手して見ているわけではないので、何とも答えようがないが、一つ言えることは、インターネット時代におけるいろいろな認識があるのかなということはうかがえる。
※ネット会社などが自由に参入することは、競争を招くので良いことではないかという意見もあるが。
早河会長:ハードとソフトの分離のことを言われていると思うが、個人的な考えで言うと、そんなに参入する企業がある