放送番組審議会

第654回 放送番組審議会報告 2月20日(木) 開催

■出席者
見城  徹  委員長
増田  ユリヤ  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
小谷  実可子  委員
小松  成美  委員
丹羽  美之  委員
野口  聡一  委員
藤田  晋  委員

■リポート
LiLiCo  委員

課題

「フジテレビのトラブルから学ぶべきこと」

【委員の主なご意見】

<組織・ガバナンスについて>
●個人だけでなく組織にも「現状維持バイアス」がある。できれば明日も同じ運用を続けていきたい、「大した事ではない」と思いたい。
フジテレビは被害者が報告をした時点で「性被害事件」として扱い、動くべきだった。正確なリスク評価が大事である。

●フジテレビのトラブルは「上司が最終的に判断する」というテレビ局独特の形で1人が判断したのではないか。テレビ業界ではこれまで複数での確認・判断作業はあまりされてこなかったが、これからは必要ではないか。

●せっかく調査をしても新しい事実が出るまで発信しないと「テレビは不都合なことを隠している」と不信感が高まる。難しい時代になった。「ここまでは取材したがまだ事実は出てこない」とプロセスを伝えていくことが必要。

●テレビ朝日の社内調査は通り一遍な「何もありませんでした」の一言で済ますのではなく、「こういうことはありました」といくつかの事例を出したうえで「それ以上のことはなかった」とはっきり言うべき。そうしないと何かを隠しているのでは、との憶測を呼ぶ。

●フジテレビは初期対応が著しく拙かった。中居氏に事情を聴かず番組を継続したのは「女性の人権を理由に隠ぺいした」と思われても仕方がない。組織が機能不全を起こしていた。組織・ガバナンスを健全に機能させないといけない。その1点につきる。

<マスコミへの信頼回復>
●テレビ局は性加害の疑いのある人を起用し続け、週刊誌はスキャンダラスな記事をしれっと修正した。フリージャーナリストは執拗な糾弾を続けた。一般庶民が見た時に、「結局マスコミって信じられないじゃないか」と、マスコミに対する信頼性の圧倒的な瓦解が起きることを危惧している。

●カメラを向けて取材をするテレビ局が静止画の会見を行うのは「隠ぺいしている」と思われる。テレビ局こそ、コソコソせずに、起きてしまった間違いをすぐにテレビで訂正しないといけない。それをできるか、できないかだ。
<これからの対応について>
●犯罪や人権侵害がないか、しっかりと見ていく。「問題をあらわにしてください」と言う空気が社内に満ちることが抑止になると思う。
迅速な情報公開がなされてこそ、次の新たな道が開けると思う。

●誰もが安心して働ける社会を作るために、まずはテレビ局が率先してそのような職場を作っていくことを目標にするべき。人権というのはどんどん進化していくので、その進化に追いつくようにアップデートしていくことが必要である。

●ピンチは最大のチャンス。今回の事件がきっかけで「アナウンサーや女性を守る」と言う意識や行動がより高まり、「あの時からテレビ界がとても安全でクリーンになった」と言われるようになることを祈っている。

●人権や性に関する問題に対して、発信する側にいるテレビ局は1番敏感でなければならないし、問題があった時にきちんとした手順を踏むことが必要。責任を持たなければいけないという覚悟でテレビを作っていかなければいけない。

<その他>
●テレビという事業を行う会社が上場している以上は、ガバナンスやコンプライアンス、四半期ごとの決算など、常日頃から一般株主との向き合いというのを対策していないと、トラブルが起きた時に非常に厳しい状況まで追い込まれる。

●「黙っていればそのうちになんとかなる、或いは揉み消せる」時代は終った。トラブルの当事者同士が示談しても、どちらかの知り合いが勝手に情報を発信したらネットで広がってしまう。テレビがそれを取り上げると、ことの重大さが増してしまう。

【局側見解】

●早河会長
今回の特徴は事件の詳細に守秘義務がかかっているためにみんな手探りで論評していて、トラブルの悪質性がよくわからないことにある。
中居氏に事情を聴かなかったため、色々な事が拡大した。発生した事象の詳細を把握する事が1番大事だったのではないかと実感した。

●篠塚社長
去年2月に人権方針を定めて人権デューデリジェンスを進めているが、制度を整えてもそこにどうやって魂を入れていくかが大事だと改めて思った。誰もが安心して働ける職場を作っていく。マスコミに対する不信感がこれ以上高まる事態にならぬよう、しっかり考えないといけない。

【篠塚社長 報告】

●フジテレビの問題と当社の対応について
●視聴率について
●西田敏行さん緊急特番について
●第3四半期決算について
以上