放送番組審議会

第637回 放送番組審議会報告 4月20日(木) 開催

■出席者
見城  徹  委員長
田中  早苗  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
小谷  実可子  委員
小松  成美  委員
丹羽  美之  委員
野口  聡一  委員
増田  ユリヤ  委員

■欠席者
藤田  晋  委員

■ 委員の互選により、2023 年度の委員長に見城徹氏が、副委員長に田中早苗氏が就任。

課題番組

「マツコ&有吉 かりそめ天国」

【委員の主なご意見】

<番組全般について>
●テレビを見ている視聴者の代表としてマツコ・デラックスさんと有吉弘行さんがいるところが面白い。今や地上波テレビはどっぷり中に入り込んで見るものではなくて、ああだ、こうだと、突っ込みながら見るものになり、突っ込みどころ満載だと逆に見てもらえる。この番組はそういう今っぽい、本当に新しい作り方。ロケのVTRが流れてそれをきっかけに、2人が言いたい放題言っている―その構造が、
非常に面白い。

●トークのテーマがいい。2人にとってしゃべり甲斐があって、ギリギリのリアリティーでしゃべるようなテーマをよく思いつく。
実に惹きつけられる。

●20時からという編成を意識してか、MC2人は実に毒舌ではあるが、繊細さに裏打ちされた毒舌で、一定の線を超えないという、よくできた作りになっている。

●VTR明けの最初の一言がさすがの切れ味。2人の瞬発力でこの番組は成り立っている。台本なしで、VTRとフリップだけであの2人を放し飼いにするスタッフの包容力もすごい。トーク中、話題に出たことをすぐにスタッフが調べて、2人に情報を戻しているが、2人のトークのスピードについていく努力も感じる。
●旅やグルメの番組は他にもあるが、懐かしいスコッチエッグの専門店を取り上げたり、錦鯉の2人が旅先で背中を流し合うなど、普通は見られない部分をすごく面白く見せてくれている。

●愛知県蟹江町の取り組み(“蟹蟹プロジェクト”)をロバート秋山さんが現地ロケで紹介していた。報道番組であれば、小さな町の町おこしの難しさ、これはどうなんだ、と真面目に取り上げるところを、この番組では町の人の本音を嫌味なく見せていた。こういうやり方はすごくいいと思う。

●スタジオセットが以前に比べ、すごく良くなっている。色味や小物で落ち着いて見られるようになった。他の委員もほめていたイラストやセットはとても大事。アートワークが積み重なって番組の世界観を作っていく。

●VTRとスタジオのバランスが合っていない印象をもった。(前番組の)「怒り新党」では、スタジオでの雑談もVTRも強かったのに比べ、今は、VTRの作りが完璧で目を見張った一方で、雑談部分は面白いし、クオリティーも高いのだが、VTRに比べて弱くなって来ている感じがする。このままいくのか、今後の方向性を一度話し合ってもいいのではないだろうか。

●パンサーの尾形貴弘さんが旅館のロケ中、足湯に飛び込む場面があった。尾形さんの芸風を理解していれば、面白くて笑えるが、知らない人には番組で追い込まれてやってしまったように不快感を持つ視聴者もいるかもしれないので、ちょっと気をつけた方がいい。
<出演者について>
●マツコさんと有吉さんは、今、テレビで最高に才能を発揮している2人。どんな話題でも余裕をもって、自らの個性を生かし、面白さを追求している。プロの技が際立っている。

●久保田直子さんはMCと相性がよく、2人をうまく引き立てている。今、視聴者からの質問はナレーションで紹介しているが、
たとえば、久保田さんにしかできない質問や呼びかけが1つでもあると、爽やかな持ち味が生きるのではないだろうか。

●マツコさんは、他局でも沢山番組を持っているが、この番組でのマツコさんが一番表情やトークが自然体で魅力的に見える。

●有吉さんとマツコさんが旅のVTRにとても興味を示して、乗り出してコメントしているのを見ると、2人で(旅に)行くところが見たいと思う。

●タイムマシーン3号の卵料理のレポートは見事。温かいレポートに彼らの人生がにじみ出ていて、さらに料理の作り手の人生もちゃんと引き出している。

【局側見解】

●ゴールデンに移動し、どうフィットするか苦心してきて落ち着いた状態。今一つ突き抜けるために、いただいたご意見を持ち帰り、
しっかりと練り上げていきたい。

●番組の核である有吉さんとマツコさんをスタッフはよく打楽器に例え、どう打ち鳴らし、視聴者に届けるかを考えている。
これからも2人を大いに響かせて番組を盛り上げていきたい。

●気づけば、テレビのメインストリームにいる2人の今のトークがどうあるべきかは、私たちも確信がなく、常にある種挑戦している。
VTRとトークのバランス等の課題はチーム内でも共有し、議論して進んでいきたい。

【篠塚社長 報告】

●野口聡一委員ご就任
●視聴率報告
●新経営計画「BREAKOUT STATION!新しい時代のテレビ朝日経営計画2023-2025」スタート

<2022 年 10 月~2023 年 3 月に放送した番組の「放送番組の種別ごとの放送時間」の報告>
以上