放送番組審議会

第627回 放送番組審議会報告 3月24日(木) 開催

*Microsoft TeamsによるWeb会議形式で開催。

■出席者
見城  徹  委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
内館  牧子  委員
小陳  勇一  委員
小谷  実可子  委員
小松  成美  委員
丹羽  美之  委員
藤田  晋  委員
増田  ユリヤ  委員
■リポート
田中  早苗  副委員長

「大下容子ワイド!スクランブル」BPO放送倫理検証委員会の決定について

内藤報道局長より「大下容子ワイド!スクランブル」の「視聴者からの質問にお答えするコーナー」で、番組側が質問者の属性を書き換えたり質問を作成していた問題について、BPO放送倫理検証委員会が3月9日、「放送倫理違反があった」とする意見書を公表したこと、すでにテレビ朝日が進めている再発防止策について報告した。

番組審議会側から、「スーパーJチャンネル」と「ワイド!スクランブル」で連続して不適切な演出による放送倫理違反が起きてしまった。制作会社への委託について体制を整え、徹底的にチェックして、ミスが出ないよう厳重に注意してほしい、との言葉があった。

課題番組

「くりぃむナンタラ」

【委員の主なご意見】

<番組全般について>
●収録番組だが、予定調和無しで戦うライブ感があって、芸人の緊張感が伝わってくる。時にスベることがあっても、芸人の新しい一面が出て違う芸が見られ、興味深い。

●若手の芸人がMCのくりぃむしちゅーに食らいついて、存在感を示していくと、この番組から新たなスターが生まれていくだろう。

●企画がユニークなので、演者の芸人としての力量が問われる。芸人の能力そのものを問うものが多く、それができないとその芸人たちが「可哀想」に見えてしまう。

●シュールで、アートの域に達している。既視感が無く、他の局には真似できないのでは。

●企画の良さと出演者のキレのあるしゃべりで勝負している番組。今の時代は、無理に作られた過剰な演出よりも、こういう素材の良さの方が受け入れられるのかもしれない。

●お笑いの番組でMCが若手の芸人をいじるのが、嫌味やいじめのように映ることがあるが、この番組では全くそのような感じがない。MCと出演者、出演者同士のやりとりが和気あいあいとしている。スタッフがくりぃむしちゅーの2人のことを本当によく理解していて、スタジオで良い化学反応が起きているのだろう。

●リアルとシュールの間に見える人間の本質が出ている。これはもう文学。文学は売れないので視聴率はなかなかとれない。大衆性との戦いは大変だと思うが、頑張ってほしい。一つのテレビの可能性を示している。

<番組の強みと今後の課題について>
●強みは、テレビの予定調和を崩して、“型”破りなものを毎回作り出していること。バラエティーでどういうルールや約束事があるかという知識がないと、その“型”を崩す面白みを理解できないので、一般の人は入ってこられない。これが課題。
お笑い好き、芸人好きだけが理解できる“型”だけを扱っていくとどんどん縮小再生産になり、ついてこられる人はマニアックに楽しめるが、他の人たちは置き去りになっていく危険性がある。

●この時間帯の笑いは、皆が笑っていなくて、自分はわかるという共犯意識で成立する。
子供からお年寄りまで皆が笑える、最大公約数の笑いは刺さらない。ターゲットだけに本当に刺さった、ハマったというものがコンテンツとしては強い。その加減が難しい。ターゲットとしてどこを狙うかが今後の課題。

●「絞り出しアンケート選手権」は、お笑いに詳しくない人には、何がテーマで何が言いたいのか、わかりにくいだろう。お笑いをあまり知らない人も笑えるようなコンセプトの番組にするなら、こういうルールでこう展開している、というのがもう少しわかりやすいといい。そうでないと、視聴者は固定化されてしまうのではないだろうか。

●「絞り出しアンケート選手権」は、最初見た時には、内容がよくわからなかった。
出演者が次々と高いテンションで話しているのが聞き取りにくく、自分の年代にはついていくのが難しいと感じた。

<1時間枠になることについて>
●今の面白さは30分だから色濃く出ている気がする。1時間でどう作っていくのかは、スタッフの力量にかかっている。水増しではなく面白い1時間にするのは大変なこと。

●1時間に格上げされるが、テレビはインターネットと違い枠が限られている。
番組編成の新陳代謝をしないと、視聴者が固定化され、高齢化して、結局視聴者が減少していくのではないか。テレビ事業の将来を見据えて中期的な視点を含め、編成を考えてほしい。

【局側見解】

●フォーマット化された番組ではなく、毎回違った笑いを届けていきたいと、MCとスタッフが一緒に練り上げながら作っている番組。4月からも、今の番組の個性を変えず、ぶれずにやりながら、かつ間延びしない1時間にできるよう挑戦していきたい。日曜日のフィナーレを飾るにふさわしい番組になるよう、これからも頑張っていきたい。

【早河会長・CEO 兼 社長・COOからの報告】

●ウクライナ情勢の報道等について
●視聴率報告
●4月改編について
●リアルタイム配信について
●小陳勇一委員ご退任


以上