放送番組審議会

第577回 放送番組審議会報告 2月17日(金) 開催

■出席者(敬称略)
見城  徹  委員長
田中  早苗  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
内館  牧子  委員
小倉  純二  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
小松  成美  委員
関川  夏央  委員
藤田  晋  委員
山瀬  一彦  委員

■欠席者(敬称略)
丹羽  美之  委員(リポート提出)

課題番組

「スーパーJチャンネル」

<番組全体・出演者について>

●クオリティーが高い。映像コンテンツが豊富でテンポがよい。画面越しに貫祿すら感じる。

●一定の深さで、変動、波がない。シニアに特化し良識ある発言でまとめている。

●その日に起きたニュースから多彩な特集まで、硬軟織り交ぜたラインナップが全体的にテンポよく構成されている。キャスターの渡辺宜嗣さんはソフトな語り口の中にも、一本筋の通ったところを感じさせ、抜群の安定感、信頼感がある。女性アナウンサー陣も落ち着いていて、安心してニュースを見ることができる。

●渡辺さんは信頼感、清潔感があり、好感度が高い。時には渡辺さんの視点で現場を取材し、自身の意見・考えを述べてほしい。ジャーナリズムに斬り込んでいくような姿も見たい。

●女性アナウンサーはきちんとしているが、個性を出すことを自重しているかもしれない。コメントなどでそれぞれの個性をもっと出してもよいのではないか。

●コメンテーターが非常に鋭く、正確に黒白付けて発言していて信頼できる。

●コメンテーターは安定感や信頼感があると同時に、少しフラットな印象を受ける。多様な視点や専門性においてバリエーションがあっても面白いのではないか。

●何かを伝えるということは定点観測で、同じ目線が大切。渡辺さんの淡々とした的確な話には好感が持てる。「“正義”の反意語は“もう一つの正義”」と結ばれているブログを読んで、なるほどと思った。個人的な見解を切り離さなければならないのが報道なのかと学んだ。

●コメンテーターやキャスターが、偏向のない報道をするのは非常に難しい。「自分の意見をハッキリ言ってくれ」という視聴者が多いが、自分の意見をハッキリ言うと、「それは違う、もう見ない」となったりする。あまりおもねることはないと思う。

●気象予報士の今村涼子さんの低音の声、姿勢がいい。年を重ね、経験を重ね情報が深くなり、お天気も一つの魅力になっている。

●今村さんは全然媚びない、ちゃらちゃらしない。ピシッとお天気を伝え、キャスターにも負けていない感じが非常にいい。

●今村さんと渡辺さんのやりとりがいい。渡辺さんがもっと質問するなど、さらに絡むとお天気コーナーは売りになる。

●番組後半で竹内アナと堂アナが窮屈そうに2人並んで、最新ニュースを読み上げる絵面には違和感がある。

<ニュースについて>

●以前は同じニュースを何回も繰り返していたが、今はほぼ全て違うニュースをテンポよく報道している。地方に関するものなど、バリエーションもある。ただ、ラインナップがランダムで、新しいニュースが次々に流れると満腹感が出てくる。もう少しまとめて、傾向や特色など解説を加えてもいいのではないだろうか。

●ニュースが脈絡なく並んでいる。個々のニュースをあえて価値づけせず、フラットに並べているのかもしれないが、それでは番組全体としてのストーリー性や個性は弱くなってしまう。作り手が何を大事な問題だと判断しているかを、ニュースの並び順によって明示していくことが必要ではないか。

●為政者の発言が真実ではない場合、それは違うと何らかの形で伝える必要がある。今は臆面なく嘘を言う為政者が現われているが、特にストレートニュースの場合は解説も加えられないため非常に難しい局面にある。どう報道していけばいいのか真剣に考えてほしい。

●ツイッターなどを使って発信されるものをどう扱うかという問題があるが、本人の書いたものは紛れもない一次情報。今回、トランプ大統領や、石原元都知事のツイッターを、客観的な事実として適切に取り上げていた。

●世の中にインパクトを与えるものは、物議を醸すが、メディアが賛否両論のうち批判的なものにのみ重きを乗せ報じると、自粛に繋がる。目配りしていくことが大切。

●データの使い方が上手い。データがあるとニュースに奥行きが出て、気づきがある。

<特集について>

●特集が色々チャレンジをしていて、意味を持っている。警告を発するような、また注意を喚起するようなものが多く、視聴者にとって大変役に立つ。

●特集には力を入れるべき。思い切って硬いテーマに特化してみたらどうだろうか。

●特集は、基本的に老人が主人公で、日本社会を、“社会派”ではなく明るく反映している。老化は必ずしも悪いことではないという態度を貫いているので、後味が悪くない。短いドキュメンタリーのあり方を示唆されているような思いがした。

●スポーツの話題は明るい気持ちになるし、スポーツ競技の裏側を丁寧に描くことは、視聴者にとって非常に有益。普段取り上げられない競技にもドラマがあるので、視野を広げて報道してほしい。

●東京オリンピック・パラリンピックに向け、一般視聴者が来日する外国人をどう助けてあげればいいか、喜ばせるにはどうすればいいかなど、啓蒙が出来るのではないだろうか。

●横並びから抜きんでたいと思うのであれば、差異化を図る必要がある。渡辺さんが感情移入して涙してしまうような企画を試してみるのも、一つの手。渡辺さんの人柄のよさはもはや才能なので、泣いてしまっても不快感は残らず、むしろ好感が残るのではないか。

<局側見解>

●ほとんどの事案について賛否両論があるが、量的公平性ではなく質的公平性で、丁寧に解説する。我々の役割は視聴者にきちんと判断材料を提示すること。これからも決して逃げずに、きちんと取り組みたい。また、わかりやすいニュース編成に努力していく。

●スタジオ演出や特集のVTRに、新しい仕掛け、発見という目線を常に持つよう心がけている。女性アナウンサー2人が並んでいるのは、他局との感覚的な差別化がある。

●番組の主張、メッセージをどう伝えていくか。渡辺さんに実際取材に出てもらい、お天気コーナーの構成も工夫するなど、番組を進化させていきたい。

<角南社長からの報告>

●新経営計画「テレビ朝日360°2017-2020」が完成し、13日に発表した。テレビ朝日グループの全ての価値の源泉はコンテンツであることを再確認し、中心に据えた上で、地上波、衛星波、インターネット、メディアシティに全方位、360°でメディア展開していく。

●テレビ朝日ホールディングスの第3四半期の連結決算が確定。広告収入やインターネット関連収入が好調に伸び、増収増益。通期の業績予想を売上高、利益とも上方修正した。

●AbemaTVは2月初めに1400万ダウンロードを超えた。

●「相棒-劇場版-Ⅳ」が11日に公開され、シリーズ歴代最高となる好スタートを切った。

●BPOの放送倫理検証委員会が、昨年の参院選と都知事選をめぐるテレビ各社の放送について意見を公表した。
「政治的に公平であること」を求める放送法第4条は、法規範ではなく、放送事業者が自律的に守る倫理規定であると指摘し、求められる公平性は、“量的公平性”ではなく、“質的公平性”であると強調した。
その上で、「臆することなく放送することが求められる」とし、有権者に判断材料を提供するため、「表現の自由と番組編集の自由を存分に活用し、創意工夫によって、質・量とも豊かな報道と評論がなされるよう期待する」としている。
テレビ朝日としては、この意見を真摯に受け止め、今後の選挙放送に生かしていきたい。
以上