放送番組審議会

第566回 放送番組審議会報告 1月22日(金) 開催

■出席者(敬称略)
見城  徹  委員長
田中  早苗  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
内館  牧子  委員
小倉  純二  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
関川  夏央  委員
丹羽  美之  委員
野際  陽子  委員
山瀬  一彦  委員

■欠席者
藤田  晋  委員

※テレビ朝日「放送番組基準」の一部改正(民放連の「放送基準」149条の改正に伴うもの)について諮問し、「妥当である」との答申を受けた。

課題

「放送番組全般」
●「羽鳥慎一モーニングショー」は、守るべきものを守りながら、いい変革をした。羽鳥さんが自由に意見を述べ、大変おもしろくなった。

●「羽鳥慎一モーニングショー」で、羽鳥さんが今まで以上に張り切って、一生懸命やっているのが伝わってくるのがいい。宇賀なつみさんは、出過ぎず、引っ込み過ぎず、それでいて言うべきことははっきり言う。素晴らしいアシスタント。

●「羽鳥慎一モーニングショー」は本当に良くなっている。羽鳥さんが、自信がつき解放されたという気がする。宇賀さんにはポテンシャルを感じるし、このコンビは絶対正解だった。

●「報道ステーション」は、感情に流された作り方ではなく、原点に返って、問題点を抉り出すというやり方をしてほしい。古舘さんから富川さんに代わる中、固唾を呑んで見守っていきたい。

●4月から富川さんというのは非常にいい。良い番組の中でスターが出て来れば磐石では。

●「報道ステーション」はテレビ朝日の看板番組。キャスターが代わっても、できれば明るいイメージで視聴者に喜んでもらえる番組にしてほしい。

●夕方のニュース番組でグルメ情報が氾濫する陰で、“何が放送されていないのか”を考えなければいけない。ローカル局が地元情報に注力する時間に、首都圏の住民はローカル情報に触れる機会をなくしている。オリンピック、災害など首都圏の課題は多い。地元情報を足で稼ぐことが、ボトムアップで大きなテーマを発見することに繋がる。

●コメンテーターの“おためごかし”の意見が増えている。どこからも文句の出ない “小さな正義”でお茶を濁し、“大きな正義”を語れなくなっている。呼吸困難な時代。「テレビはあと5年が瀬戸際」と言われる今、大きな正義へ切り替える舵取りが必要ではないか。
●「夜の巷を徘徊する」はマツコさんの卓越したタレント性で光っている。この時間帯でアイデアとタレントを発掘することが将来につながる。

●1月4日のテレメンタリー「ママは犯人じゃない・特別編」は“東住吉事件”の長期取材の総まとめで、いい番組だった。検察の権力、司法の問題などをきちんとウォッチして、世の中を大きく動かした。引き続きこのような地道な取材活動をしてほしい。

●1月10日の「マグロに賭けた男たち2016」は、何気なく見出したら目が離せなくなった。どうしたら、こんなに溶け込んだ密着取材ができるのか。ドキュメンタリーは時間もかかるし、取材が大変だと思うが、一生懸命、誠実に生きている人の姿を見せてほしい。

●1月4日の「お坊さんバラエティ ぶっちゃけ寺 3時間スペシャル」は、情報の充実と共に、映像を撮るカメラマンの苦労も思われた。11日の「しくじり先生3時間スペシャル」の間寛平が保証人になった失敗談は若い人への教訓としても役に立つ。

●テレビはもっと「発明」が必要。その一つがスターの発掘・育成。予定調和を壊す素人が出て面白い時代から、プロが作り、プロが出る時代になるのではないか。

●納得感やスッキリ感を伴わないと、視聴者には伝わらない。ネットは印象批評で、真実かどうかは関係ないが、カタルシスを求める人はネットに行ってしまう。テレビは、ファクトを取材して裏付けすることの価値を絶対に揺るがしてはいけないが、視聴者のニーズとの乖離をどう埋めていくのかは大きなチャレンジだと思う。

●みんなが集まって、あるいは集中してテレビを見る人はほとんどいなくなってきた。スマホなど“何々をしながら”というのは、テレビの新しい使い道かもしれない。

●テレビの面白さを伝える努力が必要な時代になった。もう一度テレビを見てみようという気持ちを起こさせないとテレビ離れが進む。

●“政治的公平”についてだが、放送行政を総務省が管轄する日本のシステムは、国際的に異例の状態であること、だからこそ「放送法」の意味があることを、テレビ事業者は念頭に置いてほしい。

<局側見解>

●「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「ワイド!スクランブル」は、他局との戦いも然りだが、3番組の個性化、差別化をしっかり図ってきた。横並び1位になって初めて勝利だということで、更にいい番組を作っていきたい。

●グルメ企画は生活情報の一つとして取り上げているが、人気があるために回数が多くなってしまった。首都圏・関東の抱える様々な問題が数多くあるので、東京五輪に関する問題も含めて丁寧に取材し提起していく。災害報道、減災報道も、きちっとやっていかなければいけない。

●「報道ステーション」は、4月からも成功させていかねばならない。国民の声、思いをきちんと正しく伝え、原点に返って問題をしっかり抉り出していくことを胸に刻みたい。

●「マグロに賭けた男たち2016」では、10年位ずっと密着しているご家庭で、スタッフが空気のような存在になりつつカメラを回している。今回も半年ほど密着する中、心に迫るシーンが撮れた。

●爆発的なヒット、社会現象になるようなドラマを作ってテレビ的に循環するよう努力していきたい。
<早河会長兼CEOからの報告>
●2015年の年間の視聴率は全区分で日本テレビに次ぐ2位。しかし、12月の月間ではプライムがトップタイ、三が日はゴールデン、プライム共にトップだった。1月の新番組ではドラマ「スペシャリスト」が好発進し、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「じゅん散歩」など午前帯の数字が改善されてきている。

●「報道ステーション」の古舘キャスターが 3月いっぱいで降板し、4月以降は富川アナウンサーが担当することを発表した。引き続き視聴者に評価される番組づくりに努めていく。

●サイバーエージェントとの共同事業「AbemaTV」は、2月テスト配信、4月開局という詰めの段階。主にスマホユーザーが基本無料で楽しめるテレビ型サービスで、ニュースのほか、エンターテインメント系の10~20チャンネルでのスタートを目標にしている。

●世田谷区の一家4人殺害事件を扱った番組「世紀の瞬間&未解決事件」(2014年12月放送)が、BPOの放送人権委員会で審理入りすることが決まった。被害者の遺族が、過剰な演出や恣意的な編集があったとして申し立てていた。真摯に対応していく。
以上