放送番組審議会

第565回 放送番組審議会報告 11月20日(金) 開催

■出席者(敬称略)
見城  徹  委員長
田中  早苗  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
内館  牧子  委員
小倉  純二  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
関川  夏央  委員
丹羽  美之  委員
野際  陽子  委員
山瀬  一彦  委員

■欠席者
藤田  晋  委員

課題番組

「じゅん散歩」

<評価点>

●高田純次さんというキャスティングが素晴らしい。視聴者の世代交代を的確に捉えている。

●地井さんから加山さんに行って、高田さんに行くというのは、本当によく出来ている。ドラマチック。散歩とは、つれづれなるままにするもので、深く考えない、その感じがとってもいい。“テキトー”“その場しのぎ”“表面的”それが心地いい。

●“テキトー男”“平成の無責任男”と言われるが、今は、誰もがどこかで高田純次になりたいと思っている時代。その人に目をつけたのは素晴らしい。

●高田さんの起用は大正解。彼の持つ日本人離れした毒素がまだ足りないが、バランスを考えればこの程度が良いかもしれない。

●高田さんが大変楽しそうなのが何より一番いい。長いキャリアの中で築いてきた芸風が随所に出ている。ふざけすぎかなと思うところもあるが、「ハハハ」というちょっと心のこもらない笑いで許せてしまう。

●“いい加減男”と周知されているので、出会った人が、構えず気楽に話している。壁がないのがいい。時にセクハラめいた発言やビビッとした本音が漏れても、オシャレに見え、いやらしく感じない。

●きまじめな気遣いの人だという感じが伝わってくる。自然で不快感を与えないというのは、歩いている人の人柄そのものなのかもしれない。

●オープニングの高田さんの絵が素晴らしい。優しくて、一目で番組の内容も分かり、懐かしい感情が湧いてくる。「見よう」という気持ちにさせてくれる絵だと思う。

●似顔絵がよく特徴を捉えている。高田さんは人間をちゃんと見ているすごい人だと思う。

●高田さんの絵は最大のコンテンツ。描きたい人を1日1人描く方が興味がわくのでは。

●純粋な『散歩』に焦点を当てているところがいい。予定に入っていない出会いがあり、その後にスタッフが取材し、場所を紹介して追加情報をきちんと入れるというのもいい。

●低予算で、ゆるく作って、そこに通販が入ってくる。いい流れ。こういう力の抜けたものを、編成上どこかに配置することは必要。

●散歩をなんとなく見ていて通販につながる。散歩と通販の親和性が非常に高い。

<課題・提言>

●朝から駄洒落を弾丸のように連発されると疲れることもある。

●今後高田さんのテキトー感をどこまで番組にできるかが求められる。まだ散歩番組のフォーマットの中で、ぎりぎりギャグをやっている感じがある。“高田純次がやる散歩”が全面的には出ていない。隙間や遊びが、番組として上手く出て来るような作りになるといい。

●高田さんは、何にも興味がない人で、そこが逆にいい。ナレーションを高田さんとの掛け合いにして、「興味なさそうですね」など本音を入れると高田さんもすごく生きる気がする。

●このまま高田さんを放し飼いにするか、それとも消極的、引っ込み思案の背中をスタッフが押して、もう少し厳しい状況に追い込むか分かれ道。

●この番組は、この時間帯で1週間、同じ地域を歩くというのが特徴。そこをどう表現していくのか、どう生かすのかが勝負。

●自動販売機のマスキングが気になった。普通の映像が撮れるような努力をしてほしい。

●情報量が足りない。ナレーションで、地域の歴史などを盛り込んではどうか。

●馴染みのある場所でも、歴史軸を入れると深みが出る。知らない所を見せるには引っ掛かりが必要。

●オシャレな高田さんが1週間、同じ服・鞄・靴なのが気になる。

●前半と後半のつながりがあまりにもなさすぎて、違和感が残る。つながりをどう作っていくかが今後の課題のひとつ。

●通販部分が散歩コーナーと上手く連動するよう一工夫ほしい。

<局側見解>

●地井さん、加山さんとは、違う世界感を持った人を起用したかった。高田さんが持っている世界は、自由にやるということ、興味のないところは興味ないというところ。今後も自由に、放し飼い的にやっていきたい。

●視聴者から大変好評だが、逆に通販コーナーに対する違和感のようなご意見が増えている。折角パワーの上がっている番組を、いかにビジネスへ自然につなげていくのかが課題。 
<吉田社長からの報告>
●10月23日、テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議が開催された。「地域のためにテレビができること~信頼される局であるために~」をテーマに、見城委員長の進行の下、活発な意見交換が行われた。

●在京民放5社による無料動画配信サービス「TVer(ティーバー)」が始まり、ユーザー数も順調に伸びている。当社は、ドラマ「科捜研の女」、「遺産争族」やバラエティーなど10番組を配信中。

●年間、年度の視聴率は、ともに全区分で2位。11月に入り、「相棒」などドラマの好調、「フィギュアスケート」と「世界野球プレミア12」2つの大型スポーツ番組で上昇気運に。
以上