放送番組審議会

第563回 放送番組審議会報告 9月18日(金) 開催

■出席者(敬称略)
見城  徹  委員長
田中  早苗  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
内館  牧子  委員
小倉  純二  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
関川  夏央  委員
野際  陽子  委員
藤田  晋  委員

■欠席者
丹羽  美之  委員
山瀬  一彦  委員 (リポート提出)

課題

「テレビ朝日に求められているもの」

●制作者が本当に作りたいもの、見せたいものを作っているか。そこに視聴者が望んでいるであろうというおごりはないか。好きなものを好きな時間に見る時代に必要なのは独自性。視聴者を想定せず、自分が面白い、必要だと思うもの、メッセージしたいことを提供していく“コンテンツのソムリエ”になってほしい。

●中高年向きの番組が非常に多くなってきている。視聴率はそこそこ取れるだろうが、若い作り手は、高齢者向けの医療問題などを本当に作りたいのか。各自の心の自由、編集権の独立がなければ、テレビ業界は“産業の突然死”に遭うのではないかと不安になる。

●高齢化、経済状況など、自助努力では解決しようがない問題が増えている。それを克服していく前提になるのが、問題に関する共通の理解や知識であり、不特定多数に発信するマスメディアの役割は必要不可欠。一人でも多くの人たちに届く、魅力ある発信をする努力が一層必要になっている。

●短期的には、テレビ朝日の特徴である深夜番組の強化。早い夜の番組に昇格させるのもよし、そのまま尖(とんが)ったもので流し続けるのもよし。自分たちが面白いと信じたものを丁寧に、破天荒に作って提供することが必要なのではないか。

●ものづくりは、“不良”でなければできない。“不良”とは、オーソドックスな常識を分かりながらズレていて、いつでも元に戻れる人。集団で考えながら拡散し収縮して、これを繰り返す心臓の動きのようなものがテレビ局の強み。胸襟を開いて意見交換をする場、結束する場が必要だ。
●「リビングのテレビ」だけでなく、スマホやタブレットなどに対応しなければならない。同時に良質なコンテンツを作るために、他の端末に配信する時も十分な収益を確保するビジネスモデルを構築しなければならない。

●平穏な時には、思い切り楽しくて感動的な、でも、品のある上質な番組を作ってほしい。テレビでは正しい美しい日本語を伝えてほしい。

●視聴率をちゃんと取るものも作りつつ、テレビにしかできない、力のこもったドキュメンタリーなどを、局の総力を挙げて作ってほしい。

●長時間スペシャルのバラエティーは大事な視聴習慣をテレビ自体が壊しているのではないか。また、例えばドラマを毎日続けて放送するなど、編成を工夫してみたらどうだろうか。

●テレビの影響力はやはり非常に大きい。不滅だと思う。そのために、公平性、公共性については考えていかねばならない。速報性、信頼性も重要だ。

●どんな圧力にも威しにも屈せず、真実に基づいた報道や情報を正確に、きめ細かく分かりやすく視聴者に提供すること、これに尽きる。報道の分野で「一番確かで間違いがない」と思われれば、他のジャンルにも波及する。沢山の情報や映像の中から、何を切り取っていくかということは、テレビ局に与えられた権利であり、問われている良識でもある。

●やわらかい番組で、硬いことをやわらかくやることを考えてほしい。国民に説明し議論を尽くさせることは、テレビの役割であり、民放の役割。賛成派・反対派両方の意見を真っ向から伝えることで、もっと国民の議論を起こせるはず。
●災害は多様化し、拡大化し、全国化していく気がする。素早く正確な情報をキャッチして、多様な映像を分かりやすく、説得力のあるリポートで伝えてほしい。

●自然災害の課題などについて、起きたことを伝えるだけでなく、警告を発する番組を作る必要がある。地域の状況をよく知る系列局から情報を集め、テレビ朝日がまとめて、提案するという形になるといい。

●かつて世界水泳をあれだけ面白い番組に仕立て、きちっとプロモーションしたのがテレビ朝日の躍進の始まりだった。スポーツ番組を充実させてほしい。

●メディアの選択が自由になったことで、ローカル局の、放送局・メディアとしての役割、影響力は、当面は縮小に向かっていくと考え、関係を定義し直す必要があるのではないか。

●ローカル局で評判になった番組や、視聴率のいい番組を、1年に1本でもいいから取り入れていく必要がある。

<局側見解>

●今年度は災害報道を強化するため、系列をあげて取組んでいる最中である。一人一人の熟練度をあげ、効率的でしっかりとした体制を早急に作りたい。

●テレビが激変している中で、突き抜けていくものを作らなければならない。テレビ朝日ならではのものを熱いエネルギーで作っていきたい。

●コンテンツ企業として求められているものは何か、強みは何かを考えながら、新しい収益モデルにチャレンジしていきたい。
<吉田社長からの報告>
●インターネット事業について
(1)在京民放5社の「TVer(ティーバー)」が、10月スタート。
(2)KDDIと業務提携。共同企画制作の第一弾が、AKBグループ主演のオムニバスドラマ。深夜の地上波で放送し、ビデオパスでは、オリジナルのエピソードも配信する。
(3)「Abema TV」「Abema News」のサービス開始に向け、検討を重ねている。

●10月改編で「モーニングバード」が「羽鳥慎一モーニングショー」にリニューアル。

●「SUMMER STATION」が無事終了。来場者数は昨年を上回り、463万人を超えた。
以上