放送番組審議会

第551回 放送番組審議会報告 6月20日(金) 開催

■出席者(敬称略)
見城  徹  委員長
田中  早苗  副委員長
(五十音順)
秋元  康  委員
市村  友一  委員
内館  牧子  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
関川  夏央  委員
丹羽  美之  委員
野際  陽子  委員
藤田  晋  委員

■欠席者
小倉  純二  委員 (リポート提出)

課題番組

「林修の今でしょ!講座」

<評価点>

●“勉強バラエティ”と聞くと鼻持ちならない印象だが、見てみると、さにあらず。 林先生は学ぶことの本当に好きな人。これが自慢に聞こえないところが快感につながる。 家庭で老若男女みんなが見ても全然不快感がない、本当に珍しい番組。

●テンポもよくセットも派手で、観覧者がいるなど、様々な制作努力によって「さあ勉強しよう」という気の重さがない。教養的な内容で、かつエンターテインメントになっている。

●うるさくなく、すっきりとしてシンプル。それでいて知的好奇心も満たされる。林先生の質問や、ちらっと話す薀蓄(うんちく)がさすが。

●林先生を生徒役に抜擢したというのが、何よりもこの番組の新しいところ。聞き手としての彼の才能を掘り起こしていくという、作り手の目の付けどころが良かった。

●林先生は、学びの喜び、楽しみを見つけるためのガイドが自分の役目なのだと常に感じているのではないか。知識だけではなく、様々な事象から根源的なものを拾い上げ、それがさらに広い世界でも使えるということを言いたいのではないかと思う。

●林先生の、難しいことを平易に解説する力は大したものだ。特に、会話の中での例示の仕方が素晴らしい。テレビ朝日の看板番組の1つとなる可能性大である。

<課題・提言>

●すごくまとまった番組で、多分、今のテレビ界では最高点を得る構成であり、作りだと思う。ただ、そこがどうなのか…。体脂肪1桁台の人の肉体のように、すべて余分なものが省かれ、その分味気ないと感じた。もっと“カロリーが高くて、悪いもの”があった方が美味しいのではないか。

●次々に情報が与えられ、考える・感じる余裕がない。徹底的に無駄のない構成演出をされているが、見ている側としては窮屈で、知識をどんどん注入されている感じになる。

●「視聴者が見たいのはこの程度だろう」というようなマーケティング的な作りになっていることがある。作り手の、これを面白がっているのだという熱が伝わってこない。

●林先生が上手すぎるということが予定調和を作り、ワクワクしてこない。わかりきったことを林先生に聞かせるのはもったいない。林先生はもっとトンチンカンな方が面白い。

●“分かっていない”ということが大事。分かっていることを情報としてどんどん伝えるよりは、林先生と一緒に、分からないことの楽しさを追求していくということが、テーマとしては面白いのでないか。

●林先生の言っていることには、難しくない哲学が入っている。先生が学びたいこと、会いたい講師を呼んでくる、体験させる、ということをどんどんやっていったほうがいい。

●もう一人の生徒役のタレントが試される。知識があるかどうかではない。提示された知識にどんな意味があるのかを、穏やかに問い返すような客観性があるかないか。キャスティングはしっかりしなくてはならない。

●バラエティ番組では、映像自体の美しさが少し軽視されている気がする。テロップや見出しが相当過剰になり、映像の美しさを損なっている。スマホで見る映像と差別化する意味でも、テレビで流す映像の美しさというものをもっとテレビ局も意識し、目を引くような映像を沢山用意するなど、テレビの映像という強みを生かした方がいいのではないか。

●観覧席の「へえ~」とか「はあ~」の声が耳障り。番組の雰囲気からして異質。効果音になっていない。

●講師が「野菜を炒めてあげる」のように「あげる」を連発。出演者は仕方がないが、そのままテロップで出すことに関しては、やはり制作者側が反省すべき。

<局側見解>

●「テレビ的にはよく出来ている」と言っていただいたが、「もっといかなければダメだ」と言われているのだと、つくづく感じた。教える立場である林先生が授業を受けるという原点に帰り、先生がどういうことに興味を持ち、どういう人の話を聞きたいのか、ということを徹底的に突き詰める必要がある。

●予定調和に見えるのは、我々スタッフの作りの拙さ。あくまで林先生は生徒となって、視聴者の代表として学び、知りたいことを知っていく番組なのだと、再認識し作っていければと思う。

●19時、3世代が見ている番組ということで、テーマ選びも、若い層はどうやったら見てくれるかというところが課題。難しいテーマも噛み砕いて見せる方法など、これから模索し、改善していかなければいけない。

<社長からの報告>

●視聴率については目下2位のレベル。営業の売上は、このクール、前年比・予算比ともプラスになる見通し。

●開局55周年記念 山田太一ドラマスペシャル「時は立ちどまらない」が、『第40回放送文化基金賞 テレビドラマ番組部門 最優秀賞』、『第51回ギャラクシー賞 テレビ部門優秀賞』、『放送人グランプリ2014 グランプリ』をそれぞれ受賞した。
※2014年度新入社員13人が傍聴
以上