放送番組審議会

第525回 放送番組審議会報告 11月25日(金) 開催

■出席者(敬称略・五十音順)
堀田  力  委員長
見城  徹  副委員長
内館  牧子  委員
川淵  三郎  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
関川  夏央  委員
田中  早苗  委員
津山  昭英  委員
中谷  巌  委員
野際  陽子  委員

課題番組

「ドラマ全般」について

<評価点>

「ドラマ全般」
●ストーリーが非常に素直で、メッセージに歪みがない。非常に素直に、ああ、よかったなと思えるような、ほんとに楽しめる番組が多い。
●スペシャルドラマ「火車」はほぼ原作に忠実に最後まで表現していた。

「相棒」
●これだけの質とストーリーでやっているドラマはない。ご都合主義は確かにたくさんあるが、全部、シナリオの力、役者の力で見事に見せている。

「科捜研の女」
●なんといっても沢口靖子さんの魅力で見ている。非常に冷静で、クールに次々と指示を出しながら捜査を展開していく。

「DOCTORS~最強の名医~」
●テレビ朝日がこれまで深夜枠で培ってきた、自由闊達なところ、深夜枠的なテイストが、台本、沢村一樹さんの演技に良い形で反映されている。このドラマは期待できる。
●沢村さんの手術の演技は非常に緊迫感があって、手術の緊迫感が実はこのドラマ全体の縦糸をつくっているのではないか。

「11人もいる!」
●キャスティングは非常によかったのではないか。加藤清史郎さんがほんとにうまく、広末涼子さんとの絡みがとても面白い。見ながら笑ってしまう。

「俺の空 刑事編」
●爽快感がある。松重(豊)さんをはじめ脇の方も、とっても伸び伸びと演じていて、それが生き生きとして面白い。

<課題・提言>

「ドラマ全般」
●これからのドラマも、今度の震災のことに向き合って、少し考えてつくっていただきたい。
●一本ぐらいはストーリーがずっと続いていくようなものがあってもバリエーションとしてはいいのではないか。1話完結物の限界というのはある。

「相棒」
●小料理屋での会話や、刑事らとのやりとり、神戸さんとのクスッと笑えるような一息つくところの場面が非常に少なくなっていて、肩の力が抜けないのではないか。

「科捜研の女」
●実験関係者や捜査側の人間ドラマが希薄で、主人公が、どういう生活を送っているのか、捜査の信条がどうなのか、生き方がどうなのかということなど、見いだすことができない。ちょっとほっとする場面が出てきてもいいのではないか。
●科学捜査で90%わかったが10%は科学の力ではどうにもわからない、というようなものをうまく絡ませることができれば、更に面白いストーリーがつくれるのではないだろうか。

「11人もいる!」
●ちょっと弾けていない。つくっているスタッフが面白がってつくっているという感じが画面から出てくると良い。

「俺の空 刑事編」
●破天荒な漫画を普通のリアルな刑事ドラマにつくっているために、やや中途半端だという感じもする。いっそのこともっと弾けて思いっきりデフォルメした演出のほうがいい。

<局側見解>

●視聴率の取れるヒットドラマをたくさん生み出していきたい。震災についても、そういうものを反映させられる、心あるドラマをつくっていきたいと考えている。

●「科捜研の女」は、1話完結というスタイルの限界でもあるが、リアリティーのあるセリフ、人間描写を取るか、スピーディーなストーリー展開を取るか、という“両刃の剣”になっている。

●「相棒」は今週見て来週は見損ねても、翌々週見たらまた面白かった、ということの積み重ねが作品への信頼感なので、お客様との信頼関係を築くため、1話完結で戦っている。その為、たくさんの作家に入ってもらい、バリエーション、振り幅の広い話を提供してもらっている。それを水谷さんがいろいろな形で補ってくれて、あの形で「相棒」というものが生まれている。

●「俺の空 刑事編」は原作が30年以上前につくられたものなので、原作自体は非常にエログロがたっぷりあったりして、それを2011年のドラマに直すに当たり、そのへんを丸めていく過程で、ちょっとぶっ飛んだ感じや、劇画タッチな感じまで丸まってしまったのかもしれない。

●「DOCTORS」はおとなの見られるドラマをつくろう、ということでやっている。テレビ朝日としては外科医物をちゃんとやるのが十数年ぶりで、美術スタッフもまるで素人な中、医療ドラマを勉強して臨んだ。手術のシーンにはとても時間がかかっているが、その甲斐もあって、その緊迫感と楽しい部分とのバランスのとれた番組にだんだん育ってきたと考えている。

●「11人もいる!」は、宮藤さんらしいホームドラマをつくろうというコンセプトでスタートした。ことしほど日本人自身が、自分たちの家族のありようを見つめ直したことはかったので、その中で家族の空気感をいかに抽出し、宮藤さんらしくエンターテインメントとして昇華していくのか考えた。ただ、ホームドラマということと、宮藤さんの良さということを両立させようとしていることが作品としての弾け感を弱めているのかもしれない。

<その他>

社長からの報告

●第3四半期の業績は、タイの洪水の影響が若干出たが、そのキャンセル枠もセールスができており順調である。

●BPOが東海テレビの「ぴーかんテレビ」問題に関する提言を出した。これに伴い、BPOの吉岡忍委員長代行を招き勉強会を開催した。
以上