放送番組審議会

第507回 放送番組審議会報告 2月26日(金) 開催

■出席者
堀田  力  委員長(弁護士、さわやか福祉財団 理事長)
石坂  啓  副委員長(漫画家)
内館  牧子  委員(脚本家)
関川  夏央  委員(作家、神戸女学院大学 客員教授)
見城  徹  委員(幻冬舎社長)
駒野  剛  委員(朝日新聞社論説委員)
田中  早苗  委員(弁護士)

■欠席者
川淵  三郎  委員(日本サッカー協会名誉会長)
北城  恪太郎  委員(日本アイ・ビー・エム最高顧問)
黒鉄  ヒロシ  委員(漫画家、イラストレーター、エッセイスト)

■局側欠席者
早河  洋  社長
三雲  薫  スポーツ局長

課題番組

「ミュージックステーション」について
 毎週金曜日 20時00分~20時54分

<評価点>

●23年間続いているテレビ朝日の貴重な歌番組である。テレビ局が放送する音楽番組で音楽業界にもこれほど影響力のある番組は他にはない。

●登場するミュージシャンがよく考えられている。旬の人、企画にマッチした人、その回ごとの特色を出すための人などすごくよく考えられている。

●外国のアーティストを含め、なかなかテレビに出ないミュージシャンをこの番組では登場させている。大変な努力だと思う。

●司会のタモリさんが「笑っていいとも!」とはまた違うテンションで、非常に過不足なくミュージシャンの生の言葉を引き出そうとしている。そして、歌いやすいようにムードをつくっていて、とてもよい雰囲気になっている。

●生歌番組の緊張感でも、タモリさんの話術で安心して見ていられる。

<課題・提言>

●民放全体の視聴率が下がっているので仕方がないが、民放の冠たる音楽番組なのでいつも14%~15%の視聴率は取ってほしい。

●「ミュージックステーション」に出ることでCDがものすごく売れたり、ヒットしたりという現象が起きている。そんな中でなぜこの人が出なければいけなかったのかとあまり説明できないようなことは避けてほしい。

●進行の段取りがうま過ぎて、生放送の良さが出ていない。生放送だから起こりうるハプニングや、生の臨場感を醸し出すことで、視聴者に今見なければと思わせるのだろう。

●セットが非常に豪華だが、時にはもう少しシンプルなセットであったり、少し変わった背景づくりをすると、また違った「ミュージックステーション」の楽しみ方ができるのではないかと思う。

●テレビの前で生で音楽をじっくり聴くということが、時代と合わなくなってきているのではないだろうか。過去の番組にあった誰がベストテンの一番になるのか、誰が賞を取るのかなどサスペンス色が非常に強く出ていて、数字も取っていた。トークとじっくり生で聴かせるという構成だけでは、もう時代とずれているのかもしれない。

●「ミュージックステーション」の伝統を守りつつ、より一層見てもらうためにはどこを変えて、どこを守り抜くべきなのか、保守のための変革を今一度考えてみるべき節目に置かれているのではないか。

<その他の番組>

●「報道ステーション」のトヨタのアメリカ議会の公聴会をめぐる報道で、日本政府は何かできないのかと言ってみたり、朝鮮学校の高校の授業料無償化問題についてマニフェストの変化について検証していきたいと言ったり、どちらも少しピントが外れているのではないか。

●1月30日の深夜帯で、北海道テレビの「ミエルヒ」という2時間のドラマが放送していた。東京でつくる番組とは違い、ゆったりと時間が流れていくような内容だった。仕事を失った報道カメラマンが衰退する北海道の自分の町に帰って、生きる意味を問い直していくようなストーリーで、このような番組をぜひ放送していただきたい。

●最近の報道は、政策に焦点があたるようになってきた。しかし、お金の問題が出てきて、実際の政策がやれなくなってきている。今一番大事な問題は、なぜその政策が必要なのか、そしてそれにかかるお金は大丈夫なのかというとこに絞られると思う。国民にとっては政策の必要度、優先度が情報からまったく伝わらないので、その政策をどうするか、お金をかけていいのか判断できない。報道する側もそこをはっきり伝えられないのは大きな責任ではないか。

<局側見解>

●ハプニングも含めて、そのとき1回だけのパフォーマンスが大事なのではないかと感じている。この番組で、なぜ今この人の歌を聴く意味を視聴者にもっと丁寧に伝えることが必要になってきていることを、あらためて思った。音楽を取り巻く環境が変化している中で、そこにどう合わせ、どこを変えていくべきなのかが大きな課題である。

●今、一番考えるべき点は、生放送のドキドキ感をどこに出すかだと思っている。過去の映像を見ると、もっと、とがっていた。生放送でそのときのパフォーマンスしかできないドキドキ感を出していきたいと考えている。

●タモリさんは番組の精神的な支柱だと思っている。ミュージシャンの方々にすごく信頼されており、あまりテレビに出ないミュージシャンが出てくれたりする。そしてタモリさん自身がミュージシャンに対して敬意をはらっている。

●「ミュージックステーション」は、テレビの金曜8時で音楽を伝えるという意味においては、ポップス、流行歌というところがどれくらい盛り上がっていくかが再生への道だと思う。若い世代からご年配の方まで含めて、みんなで楽しめるような音楽を紹介していければと思っている。

会長からの報告

●第3四半期の利益が増となり、減収増益となった。広告収入などの減が大きく響いているが、放送外収入は堅調で、制作費や営業費用の削減により増益となった。

●藤田まことさんが亡くなり、特番を何本か放送する予定。藤田さんは「はぐれシリーズ」で444回というすばらしい長寿番組に育ててくれた。「必殺シリーズ」でも全31作のうち16作に出演していただいた。

●BPOがバラエティー番組のブックレットを発行する予定。内容は、BPOの意見に対する新聞やテレビの報道内容や雑誌などの論評、テレビ各社のさまざまな取り組みをまとめたものになる。

●民放連の会長に広瀬テレビ朝日顧問の再任が内定し、4月から新しい体制でスタートする。
以上