放送番組審議会

第492回 放送番組審議会報告 7月11日(金) 開催

■出席者
堀田  力  委員長 (弁護士、さわやか福祉財団 理事長)
石坂  啓  副委員長 (漫画家)
川淵  三郎  委員 (日本サッカー協会キャプテン)
北城  恪太郎  委員 (日本アイ・ビー・エム最高顧問)
黒鉄  ヒロシ  委員 (漫画家、イラストレーター、エッセイスト)
見城  徹  委員 (幻冬舎社長)
駒野  剛  委員 (朝日新聞社論説委員)
関川  夏央  委員 (作家、神戸女学院大学 客員教授)
菅谷  実  委員(慶応大学メディアコミュニケーション研究所教授)
田中  早苗  委員 (弁護士)

課題番組 「放送番組全般」について


ご意見のポイント


☆ 「TVタックル」「朝まで生テレビ」はテレビ朝日の個性がよく出ている。
あと3つ4つ、この様な番組が欲しい。

☆ 「地球危機2008」は称賛する。今後も良質なドキュメンタリーの制作を!

☆ 「いきなり!黄金伝説」など、テレビ朝日は独自のバラエティを見事につくりあげた。

☆ 「朝まで生テレビ」は、違う時間帯でも見られるよう検討を!

☆ 北京オリンピックをどう見せるか。テレビマンの力量が問われる。

< 番組関連 >

【報道・情報系番組】

●「TVタックル」「朝まで生テレビ!」「報道ステーション」は特にテレビ朝日の個性が出ていて、センスがある。あと3~4、こういう番組をつくって欲しい。

●「ワイドスクランブル」「サタデースクランブル」「サンデースクランブル」はテレビ朝日の看板番組になりつつある。

●古舘さんは舌鋒鋭くなった。市民の中の弱者にしっかり足場を据えてニュースを斬っていこうという心意気や腹構えが出てきて、ずいぶん深まったと思う。全般として非常な進歩。今後もその線で続けて欲しい。

●テレビ朝日の強みはやはり「報道ステーション」だろう。古舘さんに対する批判とか、叱咤激励とかあると思うが、それも彼の個性なので、古舘効果というのがわかる。足りないときは、補うような工夫を見せると奥行きがでる。

●刑事裁判報道などすばらしい。埋もれているような事件を地道に掘り起こし、一つ一つ真面目に検証している。「サンデースクランブル」など、テレビ報道があったことによって冤罪が晴れ、無罪になったというような事件も何件か出てきている。

●「スーパーモーニング」は税金の無駄使いの摘発など、地道な形だが、ジャーナリズムとして非常に重みのある、社会的な特集を取り上げていて感心する。

●「ブロードキャスター」が終了する。あの番組では1週間分のニュースを落ち着いて見られた。ポスト「ブロードキャスター」をどこが放送するのか注目したい。テレビ朝日だと嬉しい。

●「報道ステーション」の松岡修造氏がリポーターとしてもナレーターとしても優れていると思う。非常に抑制がきき、心に入ってくる。テレビ朝日の資産であるアナウンサーがもっと活躍できるようになって欲しい。ネット上の番組など工夫し、成長できる機会を増やして欲しい。

●ニュースの扱い方で、権力に対してはお金の使い方や、いい加減さなどをどんどん取材して斬り込んでいって欲しい。一般人のニュースについては一度出てしまったら、イタリアの聖堂の落書きなどタテマエの世界での評価にならざるを得ない。そこに怖さがある。その報道、その題材を出すか出さないかについて慎重に考えて欲しい。

【ドラマ】

●「ロト6で3億2千万円当てた男」は内容として面白い。が、あまりにも現実にないようなことを入れると、つくり話になってしまう。実際にあったことなので、そのまま見せた方がいいのではないか。

●「ゴンゾウ」はテレビ朝日のまた別の特徴が出ている。柳の下のドジョウが何匹いるか、2匹目をとるのがあまり上手ではない社風が現れている。手直しをしながら挽回して欲しい。
【バラエティ】

●テレビ朝日独自のバラエティを見事につくった。称賛すべきことだ。「いきなり!黄金伝説」など、テレビ朝日特有の出演者の素の姿を見せたり、他の要素も全部からめて面白くなっている。

●テレビ朝日に期待しているのは、深夜のお笑い番組。非常に安上がりにつくっていてさらに視聴率が取れるという、この局の強みではないか。

< 提言 >

●「スーパーモーニング」は日テレ「スッキリ!!」、CX「とくダネ!」との差別化はよくできているが、技量のある局なのだから、特集などもう少し工夫がほしい。

●「報道ステーション」の古館さんのコメントの言い切りは軽率だったり、思い込みだったりするときがある。視聴者にはいいかもしれないが、ニュース番組としてはどうか。今は視聴率が取れているから許せる範囲だと思う。

●開局50周年記念企画「地球危機2008」は、視聴者からも称賛の声を多くもらっていた。これからもこういったドキュメンタリーに取り組んで欲しい。できればいい時間帯に放送してもらいたい。NHKが自局だけではなく、民放の優秀なドキュメンタリーも放送している。せっかく賞を取っても、見る機会がないのは寂しい。

●「朝まで生テレビ!」は、少し違う時間帯でも見られるように、検討して欲しい。

●北京オリンピックをどう見せるか。テレビマンの力量がこれほど問われるものはない。テレビ朝日らしいつくり方で見せて欲しい。

●サッカーの解説は今の方々もよいが、パッション系だけではなく、ロジック系の解説も聞きたい。理知的なところで知りたいので、質的な多面性みたいなものも努力してもらえれば嬉しい。

< 局側見解 >

●「報道ステーション」について、徹底して弱者の視点に立ってニュースを放送している。それは古館さんの真面目な姿勢に強く影響されている。スタッフに大事なのは複眼的な視点を提示して、古舘さんをフォローしていくことが必要だ。

●ドキュメンタリーについて、プロダクションだけではなく、報道にいる人間がつくっている。去年から力を入れ、国際賞をいただいた。少しずつ成果が出てきた。どんどん新しいジャンルに挑戦していきたい。

●「地球危機2008」の12.2%という結果に、愚直に真っ直ぐつくったものがこういう数字の結果でも見てもらえたのは、本当に素晴らしい仕事だった。

●「相棒」の映画がついに44億を超えた。「相棒」を次にどうつなげていくか、ドラマ制作の全体としての課題だ。

●「ゴンゾウ」は非常に可能性のあるコンテンツ。「相棒」の第2弾となるべくブラッシュアップしていきたい。

●われわれの持っている一つ一つの番組がキラーコンテンツだと思っている。それらのコンテンツを編成が中心となって、どうクロスメディアしていきながら収入につなげていくかということも直近の大事な使命だと思っている。

●北京オリンピックは、他局との演出の戦いになると思うが、松岡修造さんがメインキャスターで、武内アナウンサーと一緒に全社で盛り上げてやっていきたい。

●サッカーの2010年ワールドカップ出場権をかけた最終予選が独占放送でスタートしていくが、どのような演出でやっていけばいいか検討して頑張りたい。

< その他 >

●社長から、次の報告があった。
6月に公正取引委員会からテレビショッピングの「ロデオボーイII」に関して警告を受けた件につき、7月1日にショッピング担当常務以下5人に社内処分を行った。
放送外収入の拡大に伴い事業局・編成制作局も含め、景品表示法や薬事法の研修をすでに始めている。

● この日は、新人研修の一環として、新入社員24人(35人中)が傍聴した。
以上