放送番組審議会

第490回 放送番組審議会報告 5月23日(金)開催

■出席者
堀田  力  委員長 (弁護士、さわやか福祉財団 理事長)
石坂  啓  副委員長 (漫画家)
内館  牧子  委員 (脚本家)
北城  恪太郎  委員 (日本アイ・ビー・エム最高顧問)
見城  徹  委員 (幻冬舎社長)
駒野  剛  委員 (朝日新聞社論説委員)
菅谷  実  委員 (慶応大学メディアコミュニケーション研究所教授)
関川  夏央  委員 (作家、神戸女学院大学 客員教授)
田中  早苗  委員 (弁護士)

課題番組 毎週月~金曜日 21時54分~23時10分「報道ステーション」について


ご意見のポイント


☆ 一番の魅力は、視聴者の立場にたって作っている!

☆ 古舘キャスターの血を注ぎ、骨を削る情熱は素晴らしい。

☆ 国民の苛立ちや怒りをよく反映している。

☆ 大きな影響力のある番組だけに、兜の緒を引きしめて!

☆ 感情的発言、断定的見方には十分注意を!

< 評価点 >

●夜の他のニュースショーに比べて、抜群に「見たい」という気にさせられるのは、見る人の側から描いているということが一番だと思う。見る人がわかりやすくきちっと把握できるという視点にたってつくっている。

●はっきりと客のほうを向いて、大衆のほうを向いてつくっているというのが、この番組を面白くしている一番の要因だ。

●非常にオリジナリティにあふれている。見る側にわかりやすく理解させるために独自の取材、他のニュース番組では考えられない独自のVTRをつくっている。

●ここまでのニュースショーをつくりあげるのは大変なことだと思う。ほかの「NEWS23」「ZERO」に比べて非常に厚みがあり、素晴らしい。

●夜10時というのは、ビジネスマンにとってプライムタイムだと思う。サラリーマンや経営者が見る番組としてよくできている。

●古舘さんの血を注ぎ骨を削るというような、あれだけのエネルギー、情熱はすごいものだと思う。大事にしていくべきだ。

●河野(明子)さんは、クールで、古舘さんと非常にいいコントラストで、冷静に、感情も見せず、たしなめるわけでもなく、マイペースで淡々としている。このコントラストがいい。

●国民の怒りや苛立ちを反映して、まさに代弁者として古舘さんがいて、それをよく受け止めて、政治や経済の側の力を持っている人たちにぶつけていく。非常に正確な鏡であるような気がする。

●視聴率以上に中身の濃い反響がある。社会的に影響力が強い人は非常に関心を持っているという、大きな影響力がある番組。それだけ兜の緒を締めなければいけない。

< 課題・提言 >

●最近ちょっと気になるのが、特集で何か取材をして報道をするときに、思い込みが激しく番組をつくっているのではないか。トータルな視点から取り上げて、今どうなっているかということを考えるという形にするべき。

●道路予算を凍結し、全部福祉に回してはどうかという、コメントが気になった。道路と福祉のどちらが大事か、優先順位を考えるべきではないかという言い方の方が共感を呼ぶと思う。

●キャスターのコメントが断定調だが、それを支えるのがスタッフの方かなと思う。どのあたりまでデータや情報の打ち合わせをしているのかが疑問になるコメントがある。今は、いろいろな形で放送を規制しようという動きもあり、何か対策を講じる必要もあるのではないか。

●コメンテーターが硫化水素を使った自殺の方法についていろいろな情報が流されていることで、「有害情報と言わざるを得ません」と断定発言をしたが、言論機関として軽々に有害情報ということを使うべきではないと思う。

●視聴者自身にも溜飲を下げるとかということだけではなくて、考えさせるというような機会が必要なのではないか。そういうものづくりも考えてほしい。

●怒りとかおそれはあるが、感動が足りない。見ていて、人の営みの中にこういう素晴らしいことがあるんだというようなホッとするところがない。唯一ホッとするのはスポーツのところで、スポーツ以外の分野でも担ってもらえたら、より番組の奥行きが深くなるのではないか。

< Q&A >

Q.スポーツに関して、松井秀喜やイチローが大リーグで大活躍した日は放送してくれるが、他の選手も見たい。大リーグが薄いのが残念。

A.大リーグは1~2分しか試合の映像放送権利がない。その中で工夫して、権利のなさを逆に利用して面白く見せていこうと考えている。

< 局側見解 >

●今起きている現象をただ伝えるだけでは夜10時のニュースとしての意味がない。そのニュースの裏側には何が隠されているのか。本当にそうなのか、ちょっと疑ってみよう、「正直にニュースに向き合おう」というのを合言葉にしてやってきた。放送直前までこのニュースはどうなんだと話し合っている。その方針を続けていければと思う。

●我々の番組からのメッセージ、提言もしていかなければいけないのではないか、スタンスというのもある意味旗幟鮮明にしていかなければいけないのではないかということで、やや断定的なコメントにもなっていると思う。

< その他 >

●社長からテレビ朝日社員の不祥事(5/15テレビ朝日報道記者が公然わいせつ容疑で逮捕された)について、説明があり、厳正な対応をしていきたいとの話があった。
以上