放送番組審議会

第487回 2月開催・毎週水曜日 20時00分~20時54分「クイズ雑学王」について

今月の放送番組審議会の概要 : 第487回 (2月開催・毎週水曜日 20時00分~20時54分「クイズ雑学王」について)
第487回 放送番組審議会報告 2月15日(金)開催

■出席者
桂  敬一  委員長
石坂  啓  副委員長
内館  牧子  委員
大島  ミチル  委員
川淵  三郎  委員
北城  恪太郎  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
見城  徹  委員
駒野  剛  委員
菅谷  実  委員
関川  夏央  委員
田中  早苗  委員
堀田  力  委員(リポート)

■課題番組 毎週水曜日 20時00分~20時54分「クイズ雑学王」について

☆テンポが良く途中からでも素直に楽しめる健全な番組。

☆司会の爆笑問題は、余計なツッコミが無くて良い。

☆番組がエキサイティングになる工夫を!

☆番組に目玉が欲しい。

< 評価点 >

●この番組はどこから見始めてもすぐに入っていける。途中からでも番組をそのまま素直に楽しめる。

●問題一つ一つを20分も30分も掘り下げるのではなく、テンポのよさが「雑学王」というタイトルとぴったりなのかなと思う。そういう意味では、マメ知識というのか、番組としてみていて楽しいし、何も不満がないというぐらいのよくできた番組だと思う。

●司会の爆笑問題が、他の局の番組司会の時のように、変なツッコミがなくてすごくよいと思う。あのままの司会が続いたら、大変いいのではないか。

●芸人さんたちにとっては、正しい答えであれ間違った答えであれ、間を持たせる能力を問われているので、こういうのは芸能番組として非常に厳しい場所で辛いが、やりがいがあり、見ていてスリリングだ。

●「4択問題」は、とても人間性が出るのでよいコーナーだと思う。これからも続けて欲しい。

●“ニッポンのしきたり”は、社会生活を営むのには必要な知識であり面白い。

●番組の2次利用、3次利用の工夫をして、DVDを作るのもよいのでは。その辺の工夫も是非チャレンジして欲しい。

< 課題・提言 >

●視聴者には、「爆笑問題なのだからこういうことをしてくれるのではないか」という期待がある。その期待を裏切ってしまうような番組だと思う。

●雑学王たるべき、爆笑問題の太田さんをサボらせていると思う。山が無く、どこから見ても緊張感の無さにつながってしまっているのではないか。だから、太田さんをしてうならせるような番組展開というものが一番求められているのではないか。ネタを探すのは大変だと思うが、小ダネだけではなくて、特ダネを持ってこなくてはいけない。

●司会者に1回くらい解答者になってもらうと面白い。司会者になるとなにかちょっと強気になってしまう。それだけでも目玉になるのではないか。

●出演者が多すぎるのではないか。出演者それぞれの魅力が発揮できないし、表情も見えないのではないか。

●答えを紹介する解答者が絞られているので、他の人はどういう意見なのか知りたい思うことがある。

●もう一つエキサイティングではない。緊迫感が出ない。一つは、解答者の数が多すぎるような気がする。この時間帯にふさわしい解答者にしたらよいのではないか。もう一つは、順位についての緊迫感がない。「4択問題」を最後にして、点数を与えて一発逆転があるなどの刺激があったほうが面白い。賞品は、何か「面白さ」があったほうがいいかなと思う。

●最終的に点数だけ発表になるが、点数だけでなく、もう少しポイントがあるとか、賞品があるとか、プラスα、解答者が燃えるものがあってもよいのではないか。
●クイズのネタが面白くない。どっちでもいいようなことがあげられ、感心したり、なるほどと思うことがないのでは。

●目玉が無い。「腹が立つほど難しいクイズ」、「誰も知らないクイズ」は、目玉になる。どこかのコーナーでやれば、それだけでも見たくなってしまう。あとは、知識や情報というのは使えないほど面白いということをめがけて是非やって欲しい。

●雑学というのは本当は、役に立たないことが雑学なのであって、これを見ると役に立ちますよというのは、売りにならないのではないか。番組名のわりには、どこにねらいがあるのかなということがよくわからない。

●「雑学」とは本来、すごくくだらないこと、知っていて役に立たないというところを遊び心でやるのがよいのであり、最初にネタをばらして皆で感心するというような形になっているところがトーンダウンする原因ではないか。

●テーマだが、「ご当地編」が面白いと思う。いろいろなクイズがあるが、テーマ的に非常に散漫だというところを逆に、テーマをマニアックに、オタク的にしぼるといろいろ出てくると思う。ちょっとマニアックにやれば、知らない人が見ていたらすごく驚くことがあると思う。掘り下げていくべき。

●視聴率が今一つ取れない原因の一つは、古典的なクイズ番組だということなのではないか。最近のゲーム世代の若い人たちというのはCGを使ったり、スタジオの中に動きがないと食いついてくれない。もう少しスタジオ内の見せ方の工夫をすればよいのではないか。ネタが少なくても見せ方で面白さを出せるのでは。

●ゴールデン枠は、1時間にこだわらず、30分番組にすれば、集中力が続くというところもあると思う。30分ならではの面白い番組作りができるのではないか。

●参考作品として「はねるのトびら」や「クイズ!ヘキサゴン」などで、作品の構造や狙い、あるいは高視聴率の理由などを探ってみたい。

●イラストが30年前ぐらいの絵で、凄く古い。ちょっととんがっている人に描いてもらうだけでも、雰囲気が変わると思う。

●良質な番組であり、健全な番組と言えるが、なぜ数字が出ないのかと考えた時、良質で健全なプラス面が実はマイナスに出ているのかもしれないという気がした。幾つかの良いと思われる部分というのは、若年層にとっては全然よくないことなのだろうと思う。今は明らかに若年層も含めて民度が落ちている。楽屋オチみたいなことが若い世代は好きだが、それはやらないほうが良いと思う。このタッチを残してなんとか数字が上がる方法は「緊迫感」を入れるべきだろうと思う。他局にはない緊迫感を工夫して取り入れていけば、このままの70年代のタッチで逆に面白いかなという気がする。

●雑学王の場合は、制作者側がある一つのアンチテーゼというものをぶつけるためにも、爆笑問題にもそれ以上出るなという部分も含めて、あえて70年代っぽい部分を含めてやっているのではないか。妙な微調整みたいなものを重ねていって「ヘキサゴン」的になっていくというのは、かえってまずいのではないかという気がする。ハラハラドキドキさせる緊迫感を加えるということは当然であってもいいと思うが、妙な形で迎合してほしくないと思う。

< 局側見解 >

●「ヘキサゴン」や「はねるのトびら」もレギュラー開始当時は10%前後でやっていたので、出された意見を含め、色々な形でやっていけば、数字は安定して伸びるものだと確信している。堂々と作っていければという風に思っている。裏がなかなか厳しい中にあえてぶつけて、どうやって固定視聴者を引っ張ってくるかという作業をまさにしている最中。

●1月からゴールデンに移り、模索している最中。制作者側が疑問に思うことからスタートし、問題ができればというところから始まった。本来は「推理できる問題」がベストだが、指摘された通り、知識の部分と混在しているところもあり、そこは反省点だ。実際、日常生活の中で当たり前のことが、番組を見てそこから新しい視野ができる一要素になればという部分を含めてやっている。

●クイズのネタが枯渇していくのではという心配があるようだが、今、日常生活で気になる疑問を中心にやっている。これから先は、「歴史」や「名前の由来」や「人物」に関するものだとか、雑学の種類の部分での幅を広げていこうと模索している最中。

< その他の番組について >

●2月11日(月)の建国記念の日に放送した(民教協スペシャル)、RCCテレビ(中国放送)制作の「失くした二つのリンゴ」は、力のこもった作品だと思う。

●「スーパーモーニング」で始めた“前略 裁判長 異議あり”というコーナーがあるが、ああいう形で裁判の問題を取り上げていこうというのは非常に評価できるのではないかと思う。

●「報道ステーション」で、徳島県の上勝町の「いろどり」を取り上げたが、上勝町以外にもこういうことはあると思う。地方の活性化の例を探し出してもらうと面白いのではないか。

●「報道ステーション」で道路特別会計について、問題点の指摘が非常に的確で、最近ではサブプライムの解説も一般の人にわかりやすく解説されており、大変良かった。

●「報道ステーション」で、牛肉のBSE問題を取り上げた。日本人はもう終わった問題だと思っているが、もう少し科学的な情報などを入れ、報道でもう一度取り上げて欲しい。そうすれば、今、食品の安全が議論されているだけに意味があるのではないかと思う。

< その他 >

●社長から、民放連の会長人事について、広瀬会長の再任が内定したとの報告があった。

●社長から「報道ステーション」の中でのマクドナルド問題の一連の報道について、BPOの放送倫理検証委員会から意見書が届き、公表されたとの報告があった。
以上