放送番組審議会

第478回 3月開催・火曜21時「ロンドンハーツ」について

今月の放送番組審議会の概要 : 第478回 (3月開催・火曜21時「ロンドンハーツ」について)
第478回 放送番組審議会報告 2007年3月23日(金) 開催

■出席者
桂  敬一  委員長
石坂  啓  副委員長
内館  牧子  委員
川淵  三郎  委員
黒鉄  ヒロシ  委員
見城  徹  委員
越村  佳代子  委員
菅谷  実  委員
中井  貴惠  委員
堀田  力  委員

■課題番組 火曜21時「ロンドンハーツ」について

☆芸人の素の姿をいろいろな角度でうまくさらけ出している番組だ。

☆この番組の中からギャグが生まれるぐらいの番組の強さが欲しい!

☆バラエティというのは、俗悪で下品であるということもすべて肯定した上での面白さであり、一つの文化というものを見せないとつまらない。

☆笑いは強力なメンタルヘルス対策だ。これからも質のよい笑いを引き続き提供してもらいたい。

< 各委員発言要旨 >

【評価される点】

●芸能人や芸人さんたちの素の部分・表情が見られるというところが、若者に親近感を持たれ人気のところなのだと思う。

●芸人の素の姿をいろんな角度でさらけ出しているというのが、非常にうまくいっている番組だなと思う。今後は、この一点をもっと極端化し、もうちょっと鮮やかにやれるものを考えに考え抜いてやったらいいのではないか。

●昔はもっと危なっかしいというか、もっと品がなかった気がするのだが、今回見て、深夜から企画を変え、コーナーを増やし、現場での工夫や色々な試みがわかり、非常に努力しているなと思った。

●長い時間をかけて、いろんなアイデアを出してきて、そんなに深く考えることなしに馬鹿笑いするというか、呵々大笑できればいいという思いで見ていると結構楽しい。

●「男の着こなしグランプリ」では涙を流して抱腹絶倒した。つらいことや悲しいことがあっても、あそこを思い出したらしばらくは乗り切れる気がする。久しぶりに笑った気がする。

●「男の着こなしグランプリ」は面白かった。女性審査員が結構まじめに評価しており、参考になるところもあるかなと思った。

●「男の着こなしグランプリ」、このコーナーはセンスがいい。お笑いの5人の男性、それをツッこむ女性も非常にキャラというか、役どころがはまっていて嫌味がなく、楽しませてもらった。

●「格付け」が面白い。出演者が、非常に人間味豊かな素を出しているということで人気が上がったり、この番組に出演することでカムバックを果たした人もいる。そう言う意味で、テレ朝の貢献度は随分高いなと思う。

●笑いは強力なメンタルヘルス対策だ。笑いというものが世の中に与える影響というのは計り知れないものがある。今後とも質のいい笑いを引き続き提供してもらいたい。大事に育てて、いい番組を作ってもらいたい。
【課題点・他】

●タレントを対象にしてああいうことをやっていると、資源が限られているので、いつしかタネ切れになってしまう。その前に新しい企画をどんどん作っていかなくてはいけない制作現場は、かなり大変なのではないか。

●「アメトーーク」も「いきなり!黄金伝説。」も「ロンドンハーツ」も、基本的にはあまり変わらない。同じような企画をお互いに競争してやっていて、どの番組でやってもいいのかなという感じだ。

●テロップだが、最近のバラエティは話していることを全部字幕にする傾向がある。文字は笑いを増長させ強調することによく使われるが、多用しすぎると押しつけがましく、番組自体がはしゃいでいるというのが出ると、視聴者は引いてしまうので、惜しい。

●ちょっと危なっかしい。笑えるところと、やや不快というところの、すれすれをあえてねらって冒険しているというふうにも見えず、ちょっと無防備でいて、危うさがあるので、スタンスの取り方を自覚していないと難しいのではないか。

●この番組の中からギャグが生まれるぐらいの強さが欲しいと思うが、それがない。それでちょっと面白くないかなと思う。

●バラエティというのは、俗悪で下品であるということもすべて肯定した上での面白さであり、一つの文化というものを見せないとつまらない。やはりもうちょっと毒を入れるとか、何か考えるということが制作者サイドに必要なのではないか。

●ドラマよりバラエティを作ることが一番難しくなっている時代かもしれない。結局、温燗であって、ほのぼのとしているかというのは、そこに強烈な毒もない。大体、いつでも若者にウケるものというのは、世の中から俗悪と言われる。それは底力があるから言われるわけで、それはかまわないと思う。「ロンドンハーツ」は毒と文化を感じないという気がする。

●悪ふざけでも下品でもいいのだが、それが進むと、良識というか寸止めが行われていてどうも釈然としない。こういう番組が増えているということは、世の中が要求していてそれ以上先へ進むのを止めている感じがする。つまり、携帯の情報・雑誌もそうだが、全体的に薄まってきていて、野暮ったい。

●過去の人気があったバラエティ番組は、あの当時のVTRを今見たら、その時代のにおいが香ってくる気がする。その時点では俗悪だとか色々、大人たちにすごく言われたかもしれないが、それは力を持っていたから、時空を超えて今見ても大丈夫なんだろう。この番組が30年後にどうなってるか考えると厳しいと思う。

●この番組は、芸人の芸を見せる番組じゃなくて、人間性を見せるということだと理解している。その人間性を見せるということだとすれば、素の姿を見せる手法、演出に制作者側の手つきが見えてきちゃうとわざとらしくてダメだと思う。

●抜本的に制作者サイドが一度ゼロから考えてみて、温燗は温燗でそれを徹底したらそれはそれでひとつあるのかもしれないと思う。

●ホームページで視聴者の書き込みを見ると、録画して見ているという人も多く、再放送・DVD販売はないのかと言っている。今後はテレビ放送だけでなく、それ以上の多角的展開を期待したい。

< 局側見解 >

●初心に帰るとお笑い番組の中では、毒がある番組として認知していただいてここまで来たが、ロンドンブーツの2人のキャラクターを活かしながら何かエッジの効いた、斬新な企画をまた新たにつくらないといけないということを痛切に感じた。どんどん企画を考えていきたい。

●ゴールデンタイムで許される範囲の内容というのはどれくらいなのかを考えながら、新しい企画にトライしていきたいと思っている。

●ワースト番組にあげられたこともあり、もっと広く多くの方に見ていただきたい、家族で見ていただきたいというところもあって、ファッションをいじったり、芸能人の素を見せていくというところにこだわってきた。そこで良くも悪くも角がとれて丸くなってしまったのかなとは感じている。いい意味での毒を取り戻し、本来の良さを生かしながら頑張りたい。

■その他

3月13日、高知空港でおきた、全日空機胴体着陸事故の報道体制について話し合われた。
以上