放送番組審議会

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PROGRESS賞

■第20回 PROGRESS賞決定!

「第20回 PROGRESS賞」の最優秀賞、優秀賞、および奨励賞が、10月24日にテレビ朝日で開催された「テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議」で正式決定し表彰式が行われました。

○最優秀賞

「知る重み ~出生前診断 家族の葛藤~」(46分)

制 作 朝日放送(P. 藤田 貴久 D. 漁野 紗希)

放送日 2013年11月24日

(番組内容)

去年日本で新型の出生前診断が導入された。出生前診断とは、生まれるまで分からないとされてきた胎児の病気や障害を超音波や羊水の検査で調べるもので、去年4月に始まった新型は血液検査のみというリスクのない検査のため受診者の増加が予想された。ただ、この出生前診断は、“命の選別”を生み出しかねない技術であり、安易な命の選別は起きていないのか、現実を伝える必要があると感じた。妊娠・出産は個人情報(プライバシー)の中でも最もレベルの高いもので、それでもこのタイミングで実態を明らかにして、命の重さをみつめなおすきっかけになればと考えた。
取材を開始すると、胎児の障害を指摘された妊婦の9割が中絶を選択していることがわかった。事実を“知ったこと”で、おそれていた“命の選別”が現実のものとなっている可能性が明らかになった。しかし妊婦は我々が想像する以上に深く悩んでおり、産まない決断(中絶)をした夫婦の思い、わが子に障害(ダウン症、心臓疾患)があると知ったうえで産む決断をした夫婦の思い、どちらにも、多くの人に知ってもらいたい人間の葛藤があった。

○優秀賞

静岡朝日テレビ開局35周年記念特別番組
「たけしの富士山大研究 大噴火20XX」(70分)

制 作 静岡朝日テレビ(P.渡辺 一史 D. 吉田 尚弘)

放送日 2013年9月22日

(番組内容)

静岡朝日テレビ開局35周年記念として制作した、テレビ朝日系列全国ネット番組。『世界の北野』ことビートたけしが総合司会を務め、世界文化遺産である富士山の活火山としての側面に迫った。
富士山の過去の二大噴火を取り上げながら、いつ、どこで、どのように噴火するのか、最新の化学分析を元に再現。また現時点では最後の噴火である江戸時代の宝永噴火と同規模の噴火が起きた場合の被害状況をシミュレーションすると共に、家庭でできる噴火対策などを紹介した。

○奨励賞

「土門拳を伝える」(46分)

制 作 山形テレビ(取材・構成 庄司 勉)

放送日 2014年3月16日

(番組内容)

透徹したリアリズムで、人間と日本の美の本質を見極めようとした写真家、土門拳。
土門が世を去って、二十年あまり。彼とともに過ごした人たち、親交のあった人たちが土門を語る時間はもう、残り少ない。数々の証言をもとに、時代を超えて私たちの心を深く揺さぶり続ける作品の魅力。そうした作品はどのようにして生まれたのか、撮影の技法、鋭い眼で現実を射抜いたジャーナリストとしての精神、そして、多くの人に愛された人間的な魅力を伝える。
デジタル技術の進歩、写真文化が変容する中においても、土門作品は、時代を超えて、国境を越えて、見る人の心を強くとらえる。海外には断片的にしか紹介されてこなかった土門作品の全体像をヨーロッパに紹介しようという動きも始まった。若い世代と土門作品との接点は年々少なくなってきている。土門拳との出会いの場となるような入門編的な要素も盛り込みながら番組を構成した。

○奨励賞

「そのとき山が割れた 大正大噴火100年 桜島からの警鐘」(48分)

制 作 鹿児島放送(P. 原之園(はらのその) 幸太郎 D. 山野 洋介)

放送日 2014年1月4日

(番組内容)

1914年、大正3年1月12日桜島は大噴火島全体が猛火に包まれた。噴火が始まった夜に起きた地震による被害も含めると、死者は50人あまりを数える。流出した溶岩は8つの集落を呑みこみ、桜島は大隅半島とつながった。国内最大級とも言われる大正噴火から来年1月で100年を迎える。私たちのもっとも身近にある火山桜島。番組では大正の大噴火を再現検証し、コンピューターグラフィックスで再現。火山の噴火という鹿児島にとってもっとも身近な自然災害について考える。また活動が活発化する昭和火口の下で暮らす人々、火山の被害に苦しみながらも明るく、力強く生きる人々の姿を追っていく。