放送番組審議会

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PROGRESS賞

■第14回 PROGRESS賞

第14回PROGRESS賞の最優秀賞、優秀賞、および奨励賞が下記の通り、10月23日岩手朝日テレビで開催された「第75回テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議」で決定、表彰式が行われました。

○最優秀賞

「消したい過去 消せない真実 ~文科省 疑惑の教科書検定~」(55分)

制作 琉球朝日放送


琉球朝日放送 報道制作局 島袋夏子ディレクター、
右はテレビ朝日 堀田委員長

(番組内容)

「これは私達に対する強制、圧力、それに負けたという事は筆を折った事に間違いない」涙ぐみながら語るのは教科書執筆者の一人である。2008年度から使用される高校歴史教科書の沖縄戦・集団自決の記述から「日本軍の強制」が削除された。これまで定説となっていた集団自決に関する“日本軍の強制”。それがなぜ今になって書き換えさせられるのか、多くの執筆者たちが疑問を抱き、複雑な思いに揺れていた。「文科省に騙された」「集団自決の体験者達に申し訳ない」執筆者たちの後悔が深まる。番組では、今回の教科書検定問題を検証し、今後の課題について考える。

(受賞理由)

時宜に適した緊急課題に真正面から取り組んでいること、問題提起が明確でアピール力が高いこと、検証が丁寧で説得力が豊かなことから、最優秀と評価。戦争の事実を伝えることの大切さが教科書検定という場で鋭く問題提起された!

○優秀賞

「炎の記憶 ~革命家が見たヒロシマ、そして・・・~」(55分)

制作 広島ホームテレビ


広島ホームテレビ 報道局 石川健朗ディレクター、
右は岩手朝日テレビ 増子委員長

(番組内容)

福岡県星野村に、62年間守られてきた「火」がある。62年前、広島を一瞬に焼き尽くした、原爆の残り火である。そして、今、この原爆の残り火が、遠くキューバに送られようとしている…。なぜ、遠く離れたキューバでヒロシマが語り継がれるのか?その大きなきっかけは、キューバ革命から半年後にヒロシマを訪ねてきたチュ・ゲバラの存在だった。原爆資料館を訪ねた彼は、想像以上の衝撃を受けた。復興の早さにも驚いた。そして写真に収め、カストロ議長をはじめ国民にも報告された。以来、8月6日はキューバでも特別な日となっている。

(受賞理由)

一見、広島と関係のない国で広島の思想が受け継がれているという、意外性が面白い。時代検証当時の人々のコメントを集めるなど制作が丁寧で、貴重な映像も沢山見ることができる。構成も素晴らしい。

○奨励賞

メ~テレドキュメント「幻の第13話 ~翻弄された中国報道~」(55分)

制作 名古屋テレビ放送


名古屋テレビ放送 報道局 村瀬史憲ディレクター、
右はテレビ朝日 石坂副委員長

(番組内容)

完成していたのに、32年もの間放送されなかった番組「中国の顔 第13話」。1976年、中国は政治の時代だった。周恩来、毛沢東が相次いで死去。毛沢東の文化大革命を引き継ぐと思われていた「4人組」の逮捕、そして「走資派」として排除されていた鄧小平の復権…。第13話は、中国の政局の変化をまともに受けて放送は「幻」となってしまった。中国の政局が変わると放送できなくなる番組とは一体何か?現代と1970年代の中国の姿を重ねながら「第13話」を検証、当時の中国報道の問題点、そして35年後の今、私たちメディアの果たす役割について考える。

(受賞理由)

メディア自身が過去の報道番組を振り返り、再検証し、報道のあり方を再認識するという意味をこめた大変有意義な番組であった。構成自体もしっかりしていて高く評価したい。

○奨励賞

テレメンタリー2007「命の教室 ~8万匹の捨て犬を処分した男の出前授業~」(30分)

制作 秋田朝日放送


秋田朝日放送 報道制作局 綿引光隆ディレクター、
右はテレビ朝日 石坂副委員長

(番組内容)

秋田県動物管理センターの職員、保坂繁さんは38年間に渡って棄てられた犬や猫の処分に携わってきた。これまで看取ってきた命は8万匹を超える。保坂さんは「家族であったはずの犬をなぜ棄てるのか!」と憤る。定年を前に保坂さんは秋田県内の小中学校を訪れる出前授業を始めた。動物管理センターでの処分という事実を隠すことなく、自身が感じてきた「命の大切さ」を子供たちに伝えている。

(受賞理由)

命の大切さを、一つの事実を通して静かに、そして確実に我々一人ひとりに問いかける秀作。通常ある大人目線ではなく、犬や子供の代弁者になりきって迫っている感じがした。本来影の部分として処理されるテーマから、生きる意味を追い求める姿勢に感動を覚える。