放送番組審議会

tv asahi「放送番組審議会」からのお知らせ

PROGRESS賞

■第12回 PROGRESS賞

10月12日「テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議」 (於 山口朝日放送)が開催され、「第12回PROGRESS賞」の最優秀賞、優秀賞、および奨励賞が決定しました!

○最優秀賞

「私を探して~ロシアで育った日本人残留孤児~」

制作 九州朝日放送


九州朝日放送
(手前から)臼井 報道部長・
持留ディレクター

放送日 2005年 5月28日

(番組内容)

ニーナ・イヴァーノブナ・ポリャンスカヤさんは、27歳で身体障害者と認定され、障害者年金で生活している。小学校高学年の頃自分が日本人と知り、両親はどのような人間だったのかを調べようとするが、冷戦時代の彼女をとりまく環境は大変厳しく、不可能だった。しかし、ある日本人と出会ったことがきっかけとなり、日本人と認定された。初めて見た祖国で彼女は何を考えたのか?およそ一ヶ月間ニーナさんに密着することで、彼女の心の動きを追った。

(受賞理由)

ニーナさんの過酷な60年の人生を刻明に追って、見る人の心を揺さぶる秀作。二つの故郷をもつ結果となった彼女は、国家と戦争を超越した人の生き方こそ大きな価値があることを、この作品で証明している。胸に迫る丹念な仕上がりの作品。取材クルーの粘り強さを評価したい。

○優秀賞

テレメンタリー2005「自立へのストローク~手足に障害があっても~」

制作 静岡朝日テレビ


静岡朝日テレビ 峰島ディレクター

放送日 2005年 5月22日

(番組内容)

静岡県浜松市の聖隷クリストファー高校3年、鈴木孝幸君(17)は、生まれつき両手両足に大きな障害を抱えています。そして、両親の愛情を受けられず、「おばあちゃん」と呼ぶ里親の小松洋さん(70)に育てられました。2年前に始めた競泳。アテネ・パラリンピック日本代表選手に選ばれ、見事リレーで銀メダルを獲得!「水泳を始めて、自分が障害者と気付いた」という孝幸君と、心温かい「おばあちゃん」の愛情溢れる物語。

(受賞理由)

手足に障害を持ち、里親に育てられたという二重苦を持ちながら、それを明るく克服しようとする本人の努力と、里親の人間的な大きさが深く感動をよぶ。多くの障害者に生きる勇気を与える出色の作品である。大きな共感をよぶヒューマンドキュメント。

○奨励賞

「白神の心~ブナの森が育むもの~」

制作 青森朝日放送


青森朝日放送 成田ディレクター

放送日 2006年 1月22日

(番組内容)

世界最大規模のブナ原生林を抱く白神山地(青森県・秋田県)が、世界自然遺産に登録されて以来13年。今では白神山地には多くの観光客・登山者が訪れるようになった。それに伴い、生態系への影響・マナー違反なども取りざたされるようになった。番組では、いくつかのテーマを通して白神山地の存在意義を伝える。さらに白神山地と深い関係にある人々を取材し、自然との接し方や本来の白神山地の姿について考える。

(受賞理由)

またぎの生活や生き方、文明から離れたスローライフの豊かさに共感する。白神山地の雄大な描出に感心。その中で生かされている人間の自然と共生の意義をつぶさに証し、20世紀の人間社会が忘れてきたものを見直させてくれる。世界遺産に指定された後の問題を説得力あふれる映像で明示した点も評価される。

○奨励賞

テレメンタリー2006「置き去りの難病認定~幸美21歳 命見つめて~」

制作 北陸朝日放送


北陸朝日放送 鈴木ディレクター

放送日 2006年 3月 4日

(番組内容)

北岡幸美さんは、筋肉や腱が骨に変わっていく200万人に1人の病気「進行性化骨筋炎(FOP)」におかされている。インターネットを通じて同じ病気を持つ仲間と出会い、そしてホームページを立ち上げた。難病認定の署名活動を行い、わずか半年で37万人分を集めることができた。それを持って自ら厚生労働省へ届けに行ったが、幸美さん達の「難病認定」への切なる思いの前には、厚い壁が立ちはだかっていた。番組では、幸美さんの命を見つめる一日一日を通して「難病認定」の現状に迫る。

(受賞理由)

200万人に一人という難治性の病気「進行性化骨筋炎(FOP)」を広く世に知らしめる意味がある番組だ。主人公の北岡幸美さんが全国の患者に呼びかけ、厚労省に難病認定を求めていく前向きの姿勢に感心した。署名に応じる庶民の温かさが良く、全国放送する社会的価値と必要性は大きい。