放送番組審議会
tv asahi「放送番組審議会」からのお知らせ
第88回 テレビ朝日系列24社 放送番組審議会委員代表者会議 報告 |
2019年10月17日(テレビ朝日 特別会議室) 議題『“少子超高齢時代”における テレビの使命』 【委員代表者の意見・提言】 <シニアの見たい番組・必要とするコンテンツ> ●シニア層はテレビで世の中と繋がっていたいという意識がある。他の視聴者の存在を身近に感じるような番組を作ってほしい。 ●高齢者にとってテレビは生活のリズムになっている。外に出て何かをしてみたいと感じる番組が必要。 ●高齢者をアクティブに地域の活動に呼び出す番組は、地域の活性化につながる。 ●シニア向けの健康や旅、お笑い、純愛ドラマなど感動や活力を生む番組が求められる。独り暮らしの高齢者が多いので、考えさせ、声を出させ、体を動かさせる番組は、体と脳に刺激を与える。 ●全国でアクティブに元気に活躍している高齢者を紹介する番組は、同世代を勇気づける。 ●アクティブなシニアが増え、ニーズはますます多様化し、経験を蓄積した世代はより上質な情報を求めている。専門性が高く信頼性の高い報道や情報の発信が重要。 ●自分が若いころに好きだった番組は今でも見たい。高齢者向けの番組ではなく、それぞれの世代が好む番組を作れば、その世代が年をとっても見てくれる。 ●制作者の熱い思いが伝わってくる番組がいい。多くの人が同時に同じ番組を見ているという一体的共同体を作るのが本来のテレビの役割。 ●「ドクターX」など最近のテレビ朝日のドラマは非常にいい。視聴者層に関係なくみんな見ている。こういう番組作りをすると、視聴者はテレビに戻って来る。シニア層を意識するなら「人生の楽園」のように「自分もやってみるか」という活力を与える番組を今後も作ってほしい。 ●「ポツンと一軒家」のように、そこに暮らす人の生き方や自分自身の生きる意味を感じさせる番組は、高齢者にとって大事。 ●「やすらぎの刻~道」はテーマ、20分という長さ、時間帯等、シニアの心と体に合わせたコンセプトで作られていて、安心して見られる。 ●「関ジャム 完全燃SHOW」は音楽の構成など内容も深く、シニア層と孫の世代が一緒に盛り上がることがある。テレビは一緒に見たとか同じ番組を見ているということにより共鳴できる。 ●20代の制作者が、高齢者の気持ちを本当にわかって番組が作れるのか。制作者にシニアの登用を。 <“ターゲット”の考え方> ●“高齢者はテレビ、若者はインターネット”という世代論は古い。世代論でターゲットを絞るのは問題。ネットとうまく棲み分け、うまく結びつき、それぞれの利点を生かす関係に。テレビの利点は高品質と専門性の高さ。培ってきたプロのノウハウと制作力を大事にしてほしい。 ●AIの時代と超高齢化の時代はぴったり重なる。テレビの原点は高齢者、病人など弱者に寄り添うこと。新しいニーズを掘り起こし、社会現象になるような番組を考えていけば、個人視聴率にも耐えられるだろう。 ●ターゲットにこだわり、ある世代に向けて番組を作るとテレビはつまらなくなる。チャレンジングに制作した番組がある層に刺さると、他の世代にもドミノ倒しのように広がる。 ●若者のテレビ離れをことさら意識せず、どのような年代にも対応できる多種多様な番組を提供するのがテレビの在り方。番組の信頼性、専門性の向上が非常に重要。 ●現代の社会は年齢、地域など色々な分断がある。テレビにはその分断をつなぐ架け橋という役割を果たしてほしい。「信頼」を深めた「真実味」は世代を超えて一致できる。 <災害報道> ●台風19号は北に進み、災害も北に動いたが、報道は首都圏に留まった印象があった。全体を俯瞰する役割の人が、災害の進行をフォローし、情報を切り替えてもらえるとよかった。 ●千曲川水害のヘリ中継で、インパクトのある映像を追い、被災者が欲しい情報を十分に伝えていない局もあった。長野朝日放送は、地域を熟知するベテランアナウンサーが被害状況をくまなく的確に伝え、状況が把握できた。日頃から地域をサポートするという意思の下で報道していることが如実に伝わる。 ●今回の災害では、個人がSNSに写真などを上げ、どの地域でどんな被害があったという情報が入り、その後全体像をテレビのニュースで確認した。特性の違いをうまく使うことの重要性を感じた。テレビの報道は、住民が災害を理解し、どのような行動をとればいいか導く役割がある。 ●災害報道ではローカル局の果たす役割が大きい。全国放送では取り上げなくなった後も、ローカル番組は被災地のことを追いかけて放送してくれる。ローカル局は細やかにきちんと伝えることで生き残る。 <これからのローカル局のあり方> ●北海道テレビ放送の開局50周年ドラマ「チャンネルはそのまま!」はローカルの力を集結した作品。Netflixを通じて190を超える国や地域に配信されている。ローカルとグローバルは一見相容れないように思われるが、実はそうでもない。地域の魅力ある「ヒト・コト・モノ」がローカル局の強みで、それを凝縮させたコンテンツには突破力がある。挑戦を続けることこそがローカル局の生き残る道。 ●九州朝日放送では、「ふるさとWish」という番組で、県内全市町村に1週間ずつスポットを当て、テレビとラジオで30~50の企画を紹介している。また各市町村と「防災パートナーシップ協定」を結び、防災意識を高めていくことにも取り組んでいる。 ●東京中心の情報が多い中、ローカル局には、地方の知らないところを丁寧な取材でわかりやすく伝えてほしい。 ●この県に生きて良かったと思わせるような番組を作ることがローカル局の役割。 <その他> ●AI、5Gによって、インターネットは成熟に近づく。テレビは、時代の変化に応じて、新たな技術、メディアに対して新たな種まきをするべき。長年培った技術とノウハウに磨きをかけてほしい。 ●各局が作った番組を、テレビ朝日がアーカイブとしてリスト化し、全国で見られるようにするとよい。 ●テレビメーカーと協力して音声でチャンネルが替わるなどの技術開発を進めてほしい。 【局側見解】 ●一人でも多く、幅広い年齢層に見てほしいという思いで番組を作っている。視聴者との間に信頼感を作ることが、テレビ局が残っていくための絶対条件。個性を失わず、純粋に面白いもの、心に刺さるものを作っていく。 ●ターゲットについては、思い込みが過ぎるところもあった。普遍的な面白さとは何なのか、制作者の真価が問われる時代であると改めて感じた。 ●災害に対しては、テレビ朝日と系列各局のスタンバイをできるだけ早く広く備えたい。広範囲に及ぶ情報をきちんと整理してわかりやすく伝え、特に命に係わる情報はより迅速にしつこく伝えていく。高齢化が進む中で、情報格差によって被害が拡大しないよう、何をするべきか丁寧に伝えていきたい。 <吉田HD社長> 今回の災害はテレビ局が果たさなければならない役割を改めて浮き彫りにした。テレビ愛好層の核でもある高齢者が、災害時でも安心して安全に過ごすため、テレビはもっと何ができるか、何が望まれるかといった議論も期待したい。 以上 |