放送番組審議会
tv asahi「放送番組審議会」からのお知らせ
第81回テレビ朝日系列24社放送番組審議会委員代表者会議 報告 |
平成24年10月25日(テレビ朝日 特別会議室) ~第1部 系列委員代表者からの意見発表~ <評価点> ●報道の内容は1年前よりははるかに幅広く、質的にも高くなっているのではないか。 ●テレビ朝日の報道について、冷静さが感じられて全体としては市民のニーズに応えたものになっていたのではないか。 ●被災地に寄り添って報道しているか。この視点もぜひ大事にして欲しい。その中では、テレビ朝日が他局よりも特色を出して非常にいい報道をしているのではないか。 ●被災地で日常起こるようなぎくしゃくした問題、そこから一歩踏み出す取り組みや心のつながりを支援する視点の報道など、被災者の心の変化を丁寧に追いかけて報道していたのではないか。 <課題・提言> *震災全般 ●テレビはマスに対しての発信が主であり、被災地の外に暮らす人向けにならざるを得ないところがあると思う。故に、メディアは事実を淡々と流すのではなく、現場で記者が何を感じ、何を伝えたいのかをもっとアピールすべきである。 ●岩手県の場合、いまだに2500名ぐらいの行方不明者がまだ見つかっていない。その中で、地震に対するテレビ報道は一般の方々にとって、ありがたい存在、ここから得る情報がいかに大切であり、いかにありがたいかということが身に沁みた気がする。 ●原発に対する風評被害を少なくできるのもメディア、風化させてはならないと警鐘を鳴らすことができるのもメディア。 ●被害を直接受けている被災地の復興は最も重視すべきであり、それを長期にわたって支えるための報道のあり方、およびネットやソーシャルメディアとの共存のあり方について、配慮が必要不可欠である。 ●震災・原発報道についての提案、要望として、例えばがれき処理の促進など全国を動かすような報道、視聴者たちが自分でできることは何であるかと考えさせる報道というものが非常に重要ではないか。 *原発報道について ●原発被災者が知りたいことは、今は安全なのか、ここは安全なのか、そしてこれからどうすればよいのかという、常に心の奥にある不安への具体的な答えである。 ●脱原発について、将来を考える素材をぜひ提供してほしい。冷静に具体的にぜひ提言、報道をしてほしいと思う。 *エネルギー問題について ●原発の再稼動問題などでは、必要性、危険性、多様な代替エネルギーなどの複数の多角的な視点を持つ材料を伝え、視聴者の判断の幅を広げる役割をしてほしい。 ●国のエネルギー政策やそれに伴う科学技術の将来像、そして国民の安心・安全を守るという1点において自分たちは一体何ができたのか、これから何ができるのか、何をしなければならないのかについて真剣な議論を重ね、自然災害の多い日本の国土で生きていく国民の防災・減災に関する情報リテラシーの向上に資するような、よりわかりやすいコンテンツづくりを目指して欲しい。 ~第2部 全体討議~ <局側見解> ●震災後も折につけ震災関連の報道は行っている。こうした報道を通じて、専門知識がない、人材がいない、体制面の不備などに関して、ゆっくりではあるが着実に、特に原発に関して専門性を身につけていると思う。各番組に所属するディレクターも懸命な勉強を続け、その成果を生かしながら番組を作っている。 ●地震・津波の被災地についても繰り返し取材を行い、様々な人間関係、土地勘などを構築し、復興の現状なども検証している。ただ、問題になるのは、これ以降、我々がどう伝えていくかということ。起こったことの問題追及だけでなく、今後は、被災者、被災者以外、その双方に向けた視点を大事にしながら、さらに風化させないよう、取材を続けていきたいと思う。 ●原発問題については、これまでは事故原因の検証、政府発表に対する疑義、そういうところが中心になってきた。今後は、日本のエネルギー政策について、どのような選択肢が取り得るかということを例示し、視聴者の判断材料を示す視点が必要だと思う。 ●今後の災害報道に対しての準備についても大変大事な論点だと思う。現状、南海トラフの地震が発生が喫緊だといわれているが、一番被害の大きいと想定される地域の取材をどうするのか、人的資源、金銭面でも厳しいが、何とか系列を挙げ、ヘリや情報カメラ、衛星携帯電話など、様々なインフラについても現在、整備を進めている。 ●3.11当時も、その後も含め、ソーシャルメディアの爆発的な拡がりの中、個人の情報発信がものすごい勢いで進んでいる。その中には不確定な情報も沢山ある。これにどう対応するか。私どもは昨年、クロスメディアセンターを立ち上げ、ここが個人発信の情報を取り込み、その確かさを確認した上で報道機関として伝えていく方法を検討するための体制づくりをした。 ●記憶の風化がテレビメディアから始まっているのではないか、という指摘は現場への痛烈なアドバイスとして、しっかりと受け止めたいと思う。ただ現場のディレクターや記者は今も震災報道に熱い思いを抱いており、現実と向き合おうとしているのも事実。 |