社長定例会見

篠塚浩社長 社長会見(4月22日)の要旨

2025-04-22
※視聴率に関する社長所感。
篠塚社長:まず2024年度の視聴率について。個人全体は、2024年の年間に続いて開局以来初の三冠。世帯は3年連続の三冠を達成。「報道ステーション」をはじめ、報道・情報5つのベルト番組が好調だったことに加え、ドラマ、バラエティ、スポーツなど、すべてのジャンルであらゆる世代の皆様にご視聴いただき、深く御礼を申し上げる。社内外のスタッフ全員の努力の賜物で、改めて感謝したい。4月クールの新番組だが、順次スタートしている。特にセレブ一家の華やかな暮らしに密着する「プラチナファミリー」が好調なスタートを切った。そして、今晩から橋本環奈さん主演の「天久鷹央の推理カルテ」がスタートする。明後日24日からは、内野聖陽さん主演のレスキュー大作「PJ ~航空救難団~」が始まる。次に、フジテレビの第三者委員会による調査報告書について。人権意識やコンプライアンス、あるいはガバナンス、情報発信の仕方などについて重い指摘があったものと受け止めている。当社としても、引き続き人権意識やガバナンスの向上に努めていく。これに関して、当社の第二次調査の結果に関するリリースを配布させていただいた。読み上げさせていただく。「当社では、フジテレビに関する一連の問題を受けて、出演者やその関係者と社員との関係性に問題がないか実態を把握するための第一次調査を制作現場やアナウンス部を中心に行い、会食等での不適切な行為の報告はなかった旨、1 月 22 日に公表しました。その後、コンプライアンス担当部門が、アナウンサー全員および業務において取引先との会食が必要な部署の一部の社員に対して、より丁寧で広範な第二次調査を行いました。その結果、あらためて番組出演者からの不適切な言動は確認されませんでした。ただ、趣旨が分からない会食に呼ばれた、管理職から女性の役割として会食の場を盛り上げるよう言われた、会食の出席者から連絡先を聞かれたなどの報告がありました。こうした事案については、それぞれ調査対象者の意向を確認した上で、必要な対応を行っております。なお当社では人権に対する取り組みの一環として、先月、人権をテーマとしたコンプライアンスハンドブックを発行しました。今後、この冊子をもとにすべての社員を対象に研修を行うなど、引き続き人権尊重の意識を高めてまいります」以上だ。
※最新の視聴率について。
西常務:まず、個人の年間は、全日が3.6%で日本テレビと並び1位タイ、ゴールデンが5.4%で2位、プライム5.4%で1位、そしてプライム2が1.8%で2位となっている。そして、世帯の年間は、全日が6.5%で1位、ゴールデンが9.0%で1位、プライム9.2%で1位、そしてプライム2が3.3%で2位という状況だ。最新の視聴率は以上だ。続いて、主な放送予定もご報告させていただく。ゴールデンウィークの番組からご紹介する。5月1日に「昭和の名曲 秘蔵映像クイズ 答えてランキングSHOW」、2日には「ザワつく!金曜日」の拡大スペシャル、そして7日には来年50周年を迎える「徹子の部屋」スペシャル等々、様々な特番を用意している。そして、本日夜9時からは橋本環奈さん主演の「天久鷹央の推理カルテ」、こちらがスタートする。ぜひご期待いただければと思う。
※営業状況について。
橋本取締役:当社は5月13日に2025年3月期の決算を控えているため、3月の確定数字については発表を控え、本日は4月、5月の営業状況についての報告となる。4月のセールスは、タイムが前年比で101.5%、スポットが111.4%で、合わせて107.1%、この水準で着地する見込みだ。続いて5月はタイムが前年比で104.0%、スポットが115.2%で、現時点ではトータル110.0%という水準である。タイムは、4月の改編セールスが順調に進んだため、空き枠を大幅に減らすことができている。この4月、5月は全体的に順調なため、いずれの月もセールスの活動は終了している。現在は6月以降に予定している「世界水泳シンガポール2025」や「FIBAアジアカップ2025」男子の強化試合、8月にサウジアラビアで開催される予定の「FIBAアジアカップ2025」、これらのセールスに注力しているところである。一方のスポットは、CM出稿のニーズが在庫を上回る状況が続いている。この上昇圧力に乗る形で、4月は前年比110%を超える売上水準となっている。5月についても、前年同月の市況がやや弱含みであったことから、この4月に比べて前年に対しての伸び幅が広げられるのではないかと見ている。この状況に適切に対応して、なるべく多くのスポンサーのニーズに応えていきたい。
※放送外収入について。
板橋常務:手元には「ブルーロック展 EGOIST EXHIBITION the animation」「GLAM-黒柳徹子、時代を超えるスタイル-」「家政婦のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂」、そして「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2025」と4種類の資料を配布している。まずは「ブルーロック展 EGOIST EXHIBITION the animation」。放送開始以来、多くのファンから支持を受けるアニメ「ブルーロック」。この公式フラッグシップ展覧会を開催する。アニメに登場する個性豊かなキャラクターをフィーチャーし、アニメの世界観を余すところなく体感できる展覧会である。4月26日より池袋を皮切りに、5月には大阪でも開催予定だ。続いて「GLAM-黒柳徹子、時代を超えるスタイル-」。この企画は、徹子さんが今まで着用した1万点を超える衣装の中から、厳選した衣装やコレクションを彼女のエピソードとともに展示する展覧会となる。徹子さんのこれまでの活動への思いとともに、美術的価値に触れる初めての「黒柳徹子展」となる。続いて「家政婦のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂」。2016年に放送が始まった「家政婦のミタゾノ」は、2025年で記念すべき10年目に入ったところである。2022年には「家政婦のミタゾノ THE STAGE」と題して初の舞台化を行い大成功を収めた。そして今回第2弾となる「家政婦のミタゾノ THE STAGE レ・ミゼラ風呂」を5月から7月にかけて全国6会場、合計46公演で実施をする。舞台版ならではの演出で会場を盛り上げていこうと思っている。5月16日にEXシアター六本木を皮切りに、6月には石川県七尾市でも公演をする予定である。最後に「METROCK」。こちらは2013年にスタートして、毎年恒例で大人気を博している春の野外ロックフェスだ。初開催から新木場の若洲公園で行ってきたが、会場のリニューアルに伴い、今回は先月オープンした江東区の海の森公園に場所を移して開催する。会場が広くなったことで、2日間でこれまで3万5,000人だったのが、4万人へとキャパシティを広げることになる。
※TELASA、ABEMAと出資映画について。
西常務:まず、TELASA関連について報告する。サービス開始から5年が経ち、会員数は200万人を突破している。この4月には「世界フィギュアスケート国別対抗戦2025」の全種目で独占生配信を行い、大変好評をいただいている。ドラマやバラエティを含めて、オリジナル作品の配信を今後もどんどん進めていきたい。続いて、ABEMA関連について報告する。WAUは平均2,500万前後で推移していて、引き続き高い水準を維持している。
ニュース、アニメ等の定番コンテンツに加え、MLBの公式戦の生配信が大きく数字を伸ばしている。最後に出資映画だが、「映画ドラえもん のび太の絵世界物語」は週末の動員ランキングで6週連続トップを達成しており、興行収入は現在約42億円となっている。改めて、ご覧いただいた多くの皆様に感謝を申し上げたい。
※フジテレビに関して、第三者委員会から約300ページに及ぶ報告書が出て、フジテレビでも人事の刷新があったことについて改めて所感を。
篠塚社長:他社の報告書に対して私どもが何か評価を述べる立場ではないと思うが、先ほど申し上げたように、人権意識やコンプライアンス、ガバナンス、情報発信の仕方について大変重い指摘だったと思う。当社としては、人権意識やコンプライアンス、そしてガバナンスについて襟を正してしっかりやっていくことに尽きると思う。
※第二次調査に関して、調査対象は以前の会見で「アナウンス部70人くらい」と出ていたが、今回「アナウンサー全員および業務において取引先との会食が必要な部署」という記載があり、これはかなりの範囲だと思う。具体的にどういう部署の何人に聞いたのか、調査対象の概要を教えてほしい。
篠塚社長:全体で90人程度。内、アナウンサーが64人、残りはコンテンツ編成、報道、スポーツ、それからセールスプロモーション局の社員だ。全員ではなく抽出した形だ。
※結果として、「番組出演者からの不適切な言動は確認されなかった」ということだが、
「趣旨が分からない会食に呼ばれた」「女性の役割として会食の場を盛り上げるよう言われた」などは、番組出演者からではなく社内の上長なのか、このあたりを不適切な言動と考えているのか。
篠塚社長:第一に、このリリースに挙げた3つのケースは出演者からではない。それぞれ取引先だったり、取材先であったり、あるいは社内関係者ということだ。ヒアリングの対象者が快く思っていなかった、ということから言えば、適切ではないと思う。
※こういった具体的な事案があったことで、適切ではなかったと判断されていると思うが、この件で誰かを処分するなどはあるのか。
篠塚社長:リリースに書いてあるように、調査対象者の意向を確認した上で、現在必要な対応をとっている状況だ。今のところ何か処分を行ってはいないが、適切に対応をしていく。
※フジテレビの第三者委員会では、過去10年以内に不適切なことを見聞きしなかったか、というヒアリングだったが、今回の調査は時期を区切るというよりは、広く過去にこういった不適切なことを見聞きしなかったか、というヒアリングだったのか。
篠塚社長:この前の会見でも申し上げたとおり、人権デュー・デリジェンスの一環として、会食以外のことも含めて様々聞いているので、そういう意味で言うと、期限を区切ったりはしていない。それから、会食以外のことも含めて聞いて、今後の当社の人権状況を改善するために役立てようという趣旨でやっているものだ。
※第二次調査が終わったことと、フジテレビの調査報告書が出たということを受けて、新たに再発防止策など、何か具体的に講じるということはあるか。
篠塚社長:前回の会見でも申し上げたとおり、去年から人権デュー・デリジェンスのプロセスを進めている。また先月公表したように、パワーハラスメントの案件もあったので、まず「コンプライアンスハンドブック」を先月末に出した。このテーマが人権という形になっており、これを基にこの先、全役職員に対して研修を行うということにしている。それから、こちらも先月の会見で申し上げたが、新しい人権相談窓口を4月1日から稼働させた。これまで社内に2ヶ所、社外の弁護士事務所1ヶ所と3ヶ所あったが、これに加えて、社外に新たに1ヶ所、専門家が対応してくれるという相談窓口をつくって、何かあれば、より気軽に簡単に相談ができる体制をとっている。それに付随して、社内には連絡先等をかなりの場所に掲示して、何かあればこちらに相談を、という対応をしている。人権デュー・デリジェンスのプロセスは今後も進めていくので、今年度も社員アンケートはしっかり実施していく。これは外部コンサルタントを入れる形になると思う。
※石橋貴明さんについて、いま病気で療養中ということだが、毎年正月に「とんねるずのスポーツ王は俺だ!!」をやられている。フジテレビの調査の一環で過去のセクハラ疑惑が出て、ご本人も謝罪されているが、来年の放送に向けてどのような動きがあるか教えてほしい。
篠塚社長:まずは石橋貴明さんの1日も早いご回復をお祈りしたい。その上で、週刊誌に出ている事案についてはプレスリリースも出ているが、今年1月にご出演いただいていることもあり、所属事務所とも連絡を取りやりとりをしている。今のところはプレスリリースの範囲内の情報しかいただいていない。来年の正月編成については、検討するのもまだ先の話なので何も検討していないが、その時期が来れば適切に判断する。
※フジテレビの報告書で不適切な事案について業界全体の問題という指摘もあるが、どう考えるか。
篠塚社長:最初に確認しておくが、フジテレビの報告書にあったような事案、あるいは類似の事案は当社においてその報告はない。一方で、先月報告したがパワハラ案件はあった。人権デュー・デリジェンスをしっかりと進めていく。全ての社員、ステークホルダーが安心して働ける環境をしっかりと作っていく。これがまずやるべきことだと考えている。
※民放連の話になるが、業界全体で横の連携をとり、旧ジャニーズ問題も踏まえて浄化をすべきという意識や、そのための行動を取ろうという考えはあるか。
篠塚社長:民放連からは4月頭に加盟各社に対して人権尊重とコンプライアンス徹底を求める連絡が入っている。自分が聞いている限りでは、現在、次に何をすべきか、その方策をしっかりと検討しているとのことだ。その先のことに関しては民放連の方に聞いてもらいたい。
※フジテレビ問題に伴う放送各局の株高についての受け止めと、中長期的な戦略として事業ポートフォリオの見直しなどについて。
篠塚社長:株式市場の動きについては、私から何かコメントをすることはない。事業ポートフォリオに関しては、今現在も我々の経営計画を見ていただければわかるように、コンテンツを中心にしてさまざまな分野にそれを使っていくという360°戦略というのをとっているし、それをこれからもしっかりと継続していくということだと思う。
※昨年度、開局以来初めて個人全体視聴率の三冠を獲ったが、その要因は。
篠塚社長:先月の会見でも申し上げたように、三冠を取るためには一つのジャンルだけではなく、全てのジャンルが頑張らなくてはいけない。報道のベルト番組やバラエティ、ドラマ、それからスポーツ、皆が頑張ったということだと思う。
※これまで世帯視聴率が好調だったと思うが、初めて個人全体視聴率で三冠を獲れた意義について、どのように感じているか。
篠塚社長:65周年を迎えた中で初めて三冠を獲れたため、大変な快挙だという受け止めだ。
※現在の評価基準は、個人全体視聴率や世帯視聴率、それからコアや配信など局によって様々な基準があると思うが、個人全体視聴率の評価の位置づけをどのように考えているか。
篠塚社長:個人全体視聴率と世帯視聴率の両方とも大事だと思っている。最近のスポットの枠は、個人全体視聴率が中心になっていると思うので、個人全体視聴率も大事だと考える。そして、皆さんに見ていただく意味では世帯視聴率も大事だと考えている。
※CM出稿が好調の要因について、視聴率が良かったのが影響しているのか、フジテレビの問題もあるがその影響もあるのか等の見立ては。
橋本取締役:業績がいいというのは、ビジネスなので条件が揃わなければいけないと思う。ひとつは商品。もうひとつは環境。もうひとつが営業力みたいなことだと思う。それが当社の場合、まず商品というと視聴率が非常に安定して高いところにいるということ。それから環境でいえば去年の夏ぐらいから基本的には底堅い回復基調というものが維持されてきていて、それに乗る形で年明け以降のフジテレビ効果もあるという感じだと思う。フジテレビの影響をあまり過大評価しない方がいいと思うので、実際そこまでの大きな追加分が発生しているようには見ていない。ただ、底堅い環境があるということ、営業力でいえば会社全体の連携プレーみたいなところで、やはり営業現場を応援する体制があり、それを実際に交渉現場、取引の現場で収入に結びつけられる営業部隊がいる。そこがうまくかみ合っているから結果が出ていると思う。
※フジテレビの影響が少ないだろうという話があったが、フジテレビに出稿していたものが他の4局に流れ、全部流れているかといえば、もちろんそうではなく、そういう意味でフジテレビに出稿していたスポンサーがテレビに出稿すること自体をやめるのではないかという懸念を他局の営業の方が言っている。どう見ているのか。
橋本取締役:それはないだろう。どちらかというと、去年来からの動きとしては、テレビの広告媒体価値の再評価が主流だったと思う。つまり、インターネット及び動画配信の広告を、長く、特にコロナ以降続けてきた結果、ネット広告のROI(投資リターン)が、実はテレビより劣るのではないかと、それぞれの広告主がそれなりのデータを持って発見されている。去年の7月、8月以降の全体的な回復があったのも、そのことが背景、底流にあったのだと思う。フジテレビが使えなくなった、広告離れが起きて戻ってこないのではないかという悲観的な見方もあったが、今現在、取引現場の実態は、どちらかというとその逆だろうという感じだ。
※7月以降についても当面は同様か。
橋本取締役:少なくとも6月までは今のところ大きな下振れがあるという具体的な事象はない。
※夏の選挙報道での誤情報対策はどんな検討をしているか。
篠塚社長:選挙期間の短い間にこれは誤りであると断定して、放送対応をするというのは非常に難しいとは思うが、しっかり努力はするつもりで準備は進めている。それに加えて言えば、地上波だけではなくて、我々はネットメディアでもあると思っている。我々が持っているプラットフォームやオウンドメディアといったインターネットメディアでも、きちんとした情報を発信していきたい。
※選挙期間に限らず、普段からこれが誤情報であるとの取り上げ方も検討していくのか。
篠塚社長:はっきりしているものに関しては現在もやっている。ただ、何から何までできるわけではない。それは新聞もそうだと思う。例えば、ただ一人だけが呟いた話に関して、これは誤りだとはとてもできない。そういう意味でいうと、何か影響を与えているものに関しては、やれる範囲でしっかりと対応していきたいと思う。それは常日頃からやっていることだと思う。
※直近で、株式の売り出しについて適時開示されているが、この狙いについては。
角南副社長:こちらについては、コーポレートガバナンス等でも指摘されているし、東証でも指摘しているが、株式の流通、流動性を高めるということ、それから特に株主からの要請でもある自己株式の取得、こちらを機動的に行うということ、その両方を実現するための目的だ。流通株式については、プライム市場の35%以上というのがある。こういうものも余裕を持ってクリアできる範囲ということで、売り出しという形をとらせていただいた。
※他局のことだが、4月1日に、日テレ系列の4局が統合し、読売中京FSホールディングスができた。地方の再編や、地方局含めた業界のこの動きについてどのように受け止めているか。
篠塚社長:4月1日から始まったばかりなので、まずこの新しいホールディングスと株主である日本テレビさんとの関係、またこのホールディングスに入っていない日本テレビ系列の社との関係を含めて、具体的にどういう事業をやっていくのかを、我々としては注視していきたいと思っている。