社長定例会見

篠塚浩社長 社長会見(9月24日)の要旨

2024-09-24
※社長所感。
篠塚社長:今年の年間視聴率だが、個人全体・世帯ともに全日・プライムが1位、ゴールデンが2位で推移している。まもなく締まる7月クールは、個人全体では全日・プライムが1位、ゴールデンが3位、世帯では全日・プライムが1位、ゴールデンが2位で推移している。7月クールの中では特にパリ五輪だが、全時間帯平均で個人・世帯ともに当社が全局トップ、それからプライム帯平均でも個人・世帯共に民放トップを獲得した。続いて、コロナ禍を挟んで9回目の開催となった「テレビ朝日・六本木ヒルズ 夏祭りSUMMER STATION」は、先月25日をもって、予定通り37日間の会期を終了した。今年は「人気番組が集結!体験型の納涼イベント」をコンセプトに、本社会場の入場を無料にした。猛暑日が続く中だったが事故なく、昨年を遥かに上回る、のべ280万人のお客様にご来場いただいた。深く感謝申し上げる。来週から10月クールとなるが、日曜夜に有働由美子さんがキャスターを務める「有働タイムズ」がスタートする。エンターテインメントを包括した創造的なニュース・情報番組として、「視聴者をもてなす、歓待する」という精神を大切に、有働さんと共に挑戦していきたいと思う。それから、現在月曜から土曜まで放送している「グッド!モーニング」を日曜朝にもスタートさせる。平日や土曜日と同じフォーマットにすることで、1週間を通して選んでもらえる番組を目指していく。連続ドラマは「相棒season23」はじめ人気シリーズがスタートするほか、スポーツでは「FIFAワールドカップ2026アジア最終予選」「世界野球プレミア12」など、大型中継を予定している。最後に、7月23日に発生したマスターの障害について。まずは視聴者やアドバタイザーの皆様、関係者の方々に大変ご迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げる。不具合があった機器を既に交換し、その後は問題なく放送を継続している。機器故障の原因については、メーカーとともに精査を続けている。
※最新の視聴率について。
西常務: 最新の状況を細かくご報告させていただく。まず、個人の年間、全日3.5%で日本テレビと並び1位タイ、ゴールデンが5.2%で2位、プライムが同じく5.2%で1位、プライム2は1.8%で2位となっている。そして世帯の年間。全日6.4%で1位、ゴールデンが8.8%で民放1位、プライム8.9%で1位、プライム2が3.5%で2位という状況だ。続いて年度の個人だ。全日3.4%で1位、ゴールデンが5.0%で民放2位。そして、プライムが5.0%で1位、プライム2が1.8%で2位。年度の世帯は、全日6.2%で1位、ゴールデンが8.5%で民放1位。プライム8.7%で1位、プライム2が3.4%で2位という状況になる。続いて、今後の主な特番をご報告させていただく。今週末28日土曜日に「内村プロデュース復活スペシャル」、そして来週1日火曜日には「芸能人格付けチェック3時間スペシャル」を予定している。また、スポーツでは10月15日火曜日に「FIFAワールドカップ2026アジア最終予選」のオーストラリア戦があるので、ぜひご期待いただければと思う。
※営業状況について。
橋本取締役:前回の定例会見から2ヶ月ほど間があいているため、7月・8月・9月と、足元の状況についてお知らせする。まず7月のタイムは前年比の90.3%、スポットは107.8%、トータルで98.1%だった。続いて8月は、タイムが前年比で102.9%、スポットは104.4%で、トータル103.6%だった。9月は未確定だが、タイムは前年比で101%程度、スポットでは108%台が見えてきており、トータルでは104.5%以上と見ている。上期全体では、タイム・スポット合わせて前年比で101%台に乗る見込みだ。タイムのセールスは堅調に推移しており、前年の大型スポーツ単発による売上の反動減があるものの、パリ五輪の売上が当初の計画よりも大きく上振れたおかげで、全体としては当初の計画どおりに推移している。一方のスポットだが、市況が着実に回復していると見ている。東京地区の取引高は、4月~6月は前年比で99.6%だったが、7月~9月は105%台になる状況で、当社はさらにこれを上回って着地できるだろう。最後に10月の状況だが、タイムについては改編セールスもひと段落して、目下のところ「サッカーW杯アジア最終予選」や「世界野球プレミア12」のセールスに注力しているところだ。スポットについても、セールス環境は良好と言えると思う。自動車や情報通信、トイレタリーなどが出稿意欲を強めており、今後は出稿需要がCM在庫を上回る、いわゆる需要過多の状況が続いていくと見ている。
※放送外収入について。
藤本取締役:スマートフォンアプリゲーム「メテオアリーナ」が9月18日にローンチした。テレビ朝日、株式会社でらゲー、株式会社ファンクルーの3社で共同開発したオリジナルのスマートフォンアプリゲームで、「モンスターストライク」をはじめとした、様々なヒットタイトルの開発に携わられたゲームクリエーターの岡本吉起さんに総合プロデューサーを務めていただいている。ローンチ段階では、10万人を超える方々に事前登録をしていただいている。レギュラー番組「アイ=ラブ!げーみんぐ~〇〇さんがオンラインになりました~」とのコラボをはじめ、様々な番組コンテンツや弊社固有のIPと連携していくことで、このゲームの魅力をより多くの人々に伝えていければと思っている。続いて3件イベントを報告する。まずは今年で5年目を迎える、黒柳徹子さん主演の朗読劇「ハロルドとモード」だ。19歳の少年ハロルドと、黒柳徹子さん演じる79歳のおばあちゃんモードが恋に落ちる、心温まるラブコメディだ。ハロルドにはtimeleszの松島聡さんをお迎えして、そのほか豪華キャスト陣が脇を固める。EXシアター六本木と大阪、全17公演の開催予定だ。次に、2021年に初開催して今年で4年目となる「ザワつく!金曜日」の番組イベント、「高嶋ちさ子のザワつく!音楽会2024」を紹介する。昨年はトータル5万人の方にお越しいただいた。今回は東京、大阪、福岡に宮城を加えた4都市6公演の全国ツアーとなる。また、新メンバーとして柳沢慎吾さんを迎えて生演奏に挑戦していただく。続いて「YOSIGO写真展 Holiday Memories -旅の瞬間-」について紹介する。YOSIGOはスペインのフォトグラファーで、若者に絶大な人気を博しており、韓国では年間40万人を動員するほどの写真家だ。今年9月にオープンした東急プラザ渋谷の特設イベントスペースでのこけら落とし企画として、10月1日より、日本で初めてイベントを開催する。アンバサダーには、小説家などマルチな才能で活躍されているNEWSの加藤シゲアキさんに就任いただいた。入口には加藤さんが撮影した写真を展示させていただき、皆さんをお迎えしたいと思っている。最後に、海外での共同事業についてご報告する。1989年よりテレビ朝日で放送されていたアニメ「おぼっちゃまくん」が現在インドで大人気だ。その人気を受けて約30年ぶりの新作プロジェクトをSony Pictures Networks Indiaと進めてきた。来春からのインドの放送開始に向けて、原作者の小林よしのり先生監修のもと、現在シナリオ制作をシンエイ動画株式会社、アニメ制作をインドにて行っている。放送開始に先立ち、10月にフランス・カンヌで行われるヨーロッパ最大の番組見本市MIPCOMでの完成披露イベントを実施することが決定した。
※ABEMAと出資映画について。
西常務:TELASAでは、この夏、木曜ドラマ「スカイキャッスル」、金曜ナイトドラマ「伝説の頭 翔」、「青島くんはいじわる」の3作品において、オリジナルスピンオフ作品を続々と配信している。バラエティでは地上波で放送する「内村プロデュース復活SP」に連動して、過去作品から厳選した30本を先行して配信しており、好評だ。ABEMAのWAUは、5週連続で2,800万を超え、大きく数字を伸ばしている。ABEMA NEWSやアニメ、恋愛リアリティーといった定番コンテンツに加え、ドジャース公式戦の生中継、大谷翔平選手のハイライト動画、そして大相撲が好調の要因と考える。出資映画については、8月に公開した「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」が動員200万人、興行収入は25億円を突破した。ご覧いただいた多くの皆様に改めて心から感謝申し上げたい。
※パリ五輪振り返って。
篠塚社長:開幕後は大変盛り上がったと思う。まずは、やはり日本選手の活躍だ。メダルの数、金メダルも海外大会としては過去最高というのが一つの大きな要因と考える。また久しぶりに観客が入ったスタジアムの熱気がテレビを通じて伝わったのも要因と思う。オリンピック期間中のPUTが去年に比べて全日で0.8ポイント、ゴールデンで1.8ポイント、プライムで2.0ポイント上昇した。テレビを通じて大変多くの方にご覧いただいた。またTVerでほぼすべての競技を扱ったが、予想を上回る視聴を得ている。再来年2月にミラノ・コルティナ五輪が開催されるが引き続きしっかり準備をして対応していきたい。
※ロンドン大会に比べて下がったパリ五輪の視聴率の受け止めは。
篠塚社長: 全体的にPUTが落ちている状況なので、昨年、オリンピックがない時期に比べれば上がっている。相対的にオリンピックの魅力を視聴者の皆さんが感じているのかなと思う。今回に関して言うと、まだ数字的なことはわからないが、TVerを通じてご覧いただいている方々がいるので、そのトータルリーチということから言うと、そんなに減っているのかどうかというのは改めて分析が必要だと思う。
※マスターの障害について。今回BS朝日とも連動したトラブルだったと思うので、その辺について原因など説明できることがあれば。加えて行政指導があったのかどうか。もしあったのなら、どのような指摘を受けたのか。スポンサーへの補償、向き合いをどのように進めたのか。
篠塚社長:故障したその機器に関しては既に交換を済ませ、現状は問題なく放送が継続している。機器の故障の原因はメーカーと共に、今、精査している最中だが、非常に高度に専門的で技術的には大変複雑なものなので、検証には時間がかかっている。BS朝日は、番組に影響が出たということもあり、総務省から重大事故という認定をされ、定められた期限までに報告書を提出している。またアドバタイザーへの補償に関しては、個別の取引になるので、ここでは詳細を控える。
※マスター機器の障害について、テレビ朝日への重大な事故の認定はなかったということか。
篠塚社長:そういうことだ。
※10月改編について。「有働タイムズ」が始まり、日曜日で「グッド!モーニング」が1週間つながる。改めて期待を。またそれに伴い「サンデーステーション」「サンデーLIVE!!」が終わることへのコメントを。
篠塚社長:まず「有働タイムズ」に関して。エンターテインメントを包括した新しい創造的なニュース情報番組を目指す。有働さんの実績は皆さんも大変よくご存じだと思う。有働さんの力が必要だとお願いをしたというところだ。地上波テレビの可能性を追求するような新しいタイプのニュース情報番組に挑戦したいと思っている。前身の「サンデーステーション」は、スタートしてから7年半、多くの視聴者の皆様にご覧いただき、大変感謝をしたいと思っている。その「サンデーステーション」が築いた基盤・ベースの上に、まさに新しいテレビの可能性を追求する挑戦をしていきたいと思っている。
※旧ジャニーズ事務所の件で、何点か伺いたい。廃業の表明をして、10月頭でそろそろ1年経つ。先日の会見でも人権デューデリジェンスに着手した等のご説明があったが、一方でTBSが統合報告書の中で、人権リスクはこういうものがある、制作コンテンツについてはこういう指針を打ち出すという表明をしたが、テレビ朝日として何かしら公表する目処があるかどうか、その進捗をご教示願いたい。
篠塚社長:現在申し上げられるのは、2月に人権方針を公表し、それ以降一歩一歩進めているということだ。その1つとして、人権相談の窓口を設置し、全てのステークホルダーに向けて受付を始めた。更に現在、会社としての人権リスクを特定するため、全役職員に対するアンケートと、各部署に対するヒアリングを実施している最中だ。この結果を見ながら、人権侵害の防止や軽減、あるいは救済に向けた対応策を検討していきたい。そして、2月にお伝えした全社の勉強会も既に行い、定期的にこの先も続けていきたいと考えている。こういったことを継続し、アンケートやヒアリングの結果を受けて先に進めたい。
※先日、ジュリー藤島氏が関連会社の会長職を退任したという報道もあったが、現在の経営分離の進捗や、補償の進捗について、テレビ朝日としてどのように評価しているのか。
篠塚社長:補償の進捗については、定期的にSMILE-UP.社の方で数字を出していらっしゃるが、その数字を見てもかなり前に進んだという認識をしている。当然手続きは続いており、あまり年数の区切りは関係ないと思うが、引き続き被害者の方々に寄り添って、誠実な補償を行っていただくようにお願いしたい。ジュリー氏が関連会社の会長職を退いたという件について、報道では聞いている。去年8月の再発防止特別チームが作成した調査報告書が最初のきっかけだと思うが、その中に「同族経営の弊害の防止」が打ち出されており、その提言に則ったものだと理解している。これも1つの前進だと捉えている。
※中丸雄一さんのホテル密会が報じられて、MCを務める「家事ヤロウ!!!」への出演を見合せているが、中丸さんの扱いについて新たな決定事項や見通しがあったら教えてほしい。
西常務:まだ何も決まっていない。
※いつ中丸さんの扱いが決まるのか。まだわからない状態か。
西常務:まだ何も決まっていない状況だ。
※なぜ今「おぼっちゃまくん」がインドでウケているのか。
藤本取締役:テレビ朝日では約20年前からインドに向けて「ドラえもん」、「クレヨンしんちゃん」、「忍者ハットリくん」や「おぼっちゃまくん」のようなアニメコンテンツを中心に、番組コンテンツの販売を継続している。なぜ今かといわれると、インドで起きている日本のアニメブームが要因として大きいのではないかと思われる。
※なぜ「おぼっちゃまくん」なのか。「おぼっちゃまくん」のどこがウケていると分析しているか。
藤本取締役:主人公がお城のようなお屋敷に住んでいる等、物語の文化的背景がインドの文化と親和性があったと聞いている。加えて、屈託ない彼の言動がインドの現地の方々に刺さったと思う。インドでは「おぼっちゃまくん」がコロナ以降、継続して大人気だったため、その人気に対してやっと今回新作シリーズで動き出すことができた。
※10月クールのドラマに関して、ゴールデンはシリーズの連続ものばかりだが、それ以外の時間帯はオリジナル新作も放送する。今後、ゴールデンやプライムでもオリジナル作品を作っていく考えはあるのか。。
西常務:視聴者の皆様から様々なご意見をいただく中で、シリーズものとしてパート2を見たい、パート3を見たいというご希望があった作品が今回は並んでいる状況だ。ゴールデンも深夜に関しても、新作含めいろいろな企画を考えている。今後も新作が入ることはある。
※先日「SHOGUN」がエミー賞を獲り、「侍タイムスリッパー」がヒットするなど、時代劇に対してちょっと風向きが変わってきたのかなという気がする。これまで東映と一緒にやってきた中で、今後の時代劇をテレビ朝日としてどのように捉えているか。
西常務:もちろんエンターテインメントの中の非常に大事なコンテンツの一つだと思っている。単発になるが、我々も定期的に新作を制作している。深夜では、今、若年層をターゲットにした時代劇も放送している。今回の「SHOGUN」もそうだが、海外の皆様に観ていただけるような、そんな新作にもチャレンジをしている。今後もこのような展開は続けていきたい。
※8月、9月の営業状況が好調で、10月もかなりいい線だということだが、その後11月以降の見通しは。
橋本取締役:10月の現状を見ると、広告機会が制限されてきている状況だ。しばらくは、アドバタイザーが自社の価格観と予算、それとどこで放送できるかの見合いの中で露出機会を探っていく展開になると思う。そうすると、当然10月に入らない、こぼれてしまう会社が出てくるので、それが11月、12月の別の場所・タイミングで出稿機会を探るという構図だと思う。11月は少なくとも10月の流れを汲んだ格好で続くのではないかと見ている。通例だと、11月がそこまで市況が活況だということになると、12月中旬ぐらいまではそのままの勢いでいくというのが、大体今までの相場だ。
※そうすると下期として計画よりもかなり良くなりそうだという手応えか。
橋本取締役:当初は、前年並みの市況前提で見ていたので、全体的にまず市況が回復しているということと、当社の視聴率が安定的に高い水準で推移しているので、これを掛け合わせると、常識的に考えれば上向いていくだろうという感じだ。決算前なので踏み込んだ発言はできない。