社長定例会見

吉田慎一社長 社長会見(5月31日)要旨

2016-06-01
※最新の視聴率について
吉田社長:4月クールで言うと全日はNHKと同率で2位タイ、ゴールデンは民放3位、プライムは民放2位、プライム2は2位という状況だ。他局のスポーツ番組などの健闘もあり今まで以上に接近戦になっていると思っている。ただベルト番組が引き続き健闘していて、全日帯は今7.1%だが昨年比で言うと0.4ポイント上昇している状況だ。あとはドラマに苦しんでいる局が多い中で、当社は新作ドラマも伝統のドラマも頑張りが光っていると感じている。また、6月から「キリンカップサッカー2016」があるし、「サッカー・UEFAユーロ2016」もある。また「第116回 全米オープンゴルフ」もあり有力スポーツ番組も参戦してくる。ここで勢いをつけて4月クールを終え、夏につなげていきたいと期待している。
※視聴率について
平城常務:それでは最新の視聴率状況についてご報告申し上げる。現在4月クールは、全日が7.1%、ゴールデン9.9%、プライム10.3%、プライム2が6.5%、全日が2位でゴールデンが民放3位、プライムが民放2位、プライム2が2位となっている。全日帯は「グッド!モーニング」が5時台、6時台、7時台の全時間帯で自己最高のペースで推移するなど平日ベルト番組が引き続き好調で、前年比プラス0.4ポイントで推移している。ゴールデン、プライムの方だが4月の新番組では水曜21時の「警視庁捜査一課9係」が民放連続ドラマ14作品中2位、木曜ミステリー「警視庁・捜査一課長」が5位、木曜ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」は4位。当社のプライム帯の3作品はベスト5にすべてランクインしている。また4月にスタートした新バラエティ番組では、水曜19時にスタートした「あいつ今何してる?」が、4月クールスタートのバラエティ新番組では2位と、こちらも順調に推移している。また火曜から金曜21時に枠移動した「金曜★ロンドンハーツ」だが、これも堅調に推移している。それからリニューアルした「報道ステーション」も前年同クールを平均0.5ポイント上回り堅調に推移している。それ以外の継続バラエティ番組では、昨年4月にスタートした「しくじり先生 俺みたいになるな!!」が前年同クール平均を1.3ポイント上回るクール平均で、こちらも順調に推移している。続いて年間平均視聴率。こちらは現在全日が7.4%で2位、ゴールデンが10.5%で民放2位、プライムは10.8%で2位、プライム2が7.1で1位となっている。前年と比べて1位局との差を全日、ゴールデン、プライムでそれぞれ0.8、0.1、0.2ポイント縮めている。こちらも全日帯が好調で、「グッド!モーニング」や「羽鳥慎一モーニングショー」をはじめとする平日ベルト番組や、土日の「人生の楽園」「スーパーJチャンネル(土)」「報道ステーションSUNDAY」等が好調で、全日帯は前年比プラス0.3ポイントと、民放では当社のみ前年を上回り推移した。以上が4月クールと年間の視聴率状況だ。続いて4月クールのその他の全日帯の改編番組の状況をご説明申し上げる。先ほど言ったように「スーパーJチャンネル」の土曜日が好調で、夕方30分枠から90分枠に拡大した。現在のところ平均が7.5%と前年同時間帯平均を0.8ポイント上回り好調に推移している。また日曜の昼に引っ越した「ビートたけしのTVタックル」も現在前年同時間帯平均を1.2ポイント上回りこれも順調に推移している。プライム帯以外の新番組ではネオバラ枠でスタートした「橋下×羽鳥の新番組(仮)」だが、5月の2週には同時間帯トップとなる8.7%(シェア23.9%)をマークするなど、昨日も8%を超えていて現在平均7.6%と前年同枠平均を0.4ポイント上回り堅調に推移している。番組の状況は以上で、今後の主な放送予定をご説明申し上げる。この先は「サッカー2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選」など大型スポーツ番組が続々とラインナップされている。まずサッカーは6月3日、7日に「キリンカップサッカー2016」。それから6月10日からは「サッカー・UEFAユーロ2016」、また9月1日からはいよいよ「2018FIFAワールドカップロシア アジア最終予選」が開幕する。またゴルフは「全米オープン」「全米女子オープン」「全英オープン」「全英リコー女子オープン」等々が控えている。以上が今後の主な放送予定と視聴率状況だ。
※営業状況について
吉田社長:4月のセールス実績だが、タイムは前年比90.9%、スポットは112.7%、トータルでは102.5%となった。タイムだが、アドバタイザーの宣伝予算をなるべく固定化したくないという意向が続いていて、また昨年度に「世界フィギュアスケート国別対抗戦」という大きな売上があった反動減もあって前年水準には届かなかった。一方、スポットだが、市況は昨年11月から継続して活況で、東京地区は前年比106.3%という状況。当社はその中で堅調な全日視聴率を背景にアドバタイザーや広告会社と交渉を重ね、前年比112.7%と大きく売上を伸ばすことが出来た。5月のセールス状況。現状タイムは前年比96%+α、スポットは109%+α、トータルでは103%+αで推移している。タイムは、4月のセールス実績のところでもご説明したが、レギュラー番組セールスで苦戦していて前年水準に到達しない見込み。スポットは、東京地区は前年比104%+αと好調に推移しており、当社もアドバタイザーのニーズにあった提案でより一層の売上を伸ばし、前年比109%+αの見込みを出せるまでになっている。6月のセールス状況だが、現状、タイムは前年比93%+α、スポットは87%+α、トータルでは90%+αで推移している。タイムは、昨年度には無かった「UEFA EURO 2016」「キリンカップサッカー2016」などのスポーツ単発の編成があることで、前年水準からプラスを期待している。また、スポットだが、東京地区は好調だった5月までの市況とは違い、低調だった前年と同水準の見込みとなっている。まずは前年以上の売上を目指してセールス活動に努めている状況。
※放送外収入について
角南常務:まず「AbemaTV」は、4月11日の本開局から、23日間で(5月3日に)200万ダウンロード、5月21日に300万ダウンロードを突破した。総視聴数も4月は1億を超え、5月も順調に推移している。直近の視聴数については、5月19日に放送した「独占生中継『金曜★ロンドンハーツ 50TAプレミアムLIVE in JAPAN』」が視聴数60万強、「TOKYO METROPOLITAN ROCK FESTIVAL 2016」は21日に約110万、22日は約160万と高い視聴数となった。また視聴デバイスとして新たにiPadへの対応を開始し、スマートフォン・PC・タブレットでの視聴が可能になった。加えて有料会員向けに提供している「オンデマンド視聴」機能をiOS端末からも利用できるようになった。続いて「AbemaNews」は「原宿アベニュー」「AbemaPrime」「AbemaWave」「みのもんたのよるバズ!」に加え、テレビ朝日のニュース映像投稿サイト「みんながカメラマン」に投稿された映像を紹介する「こちらみんカメ編集部」(土曜午後2時〜2時40分)を5月14日に、本社ビル1階の「EXけやき坂スタジオ」から生放送でスタートした。24時間ニュースゾーンでは、先月の熊本地震をはじめとした緊急編成をその後も随時実施しており、舛添都知事の政治資金をめぐる釈明の場となった金曜の定例会見は、2週連続でおよそ2時間に及ぶ会見を丸ごと緊急生中継し、それぞれ通常の同時間帯の4倍程度の視聴数となった。5月16日「AbemaPrime」放送中に発生した茨城での震度5弱の地震の際には、ただちに番組内で地震対応に移行し、番組の残り時間すべてを地震情報で展開。結果的に番組過去最高の視聴数となった。こうした地震発生時や緊急ニュースの際には今後も可能な限り緊急編成を行い、外出先とかどんな場所にいてもスマートフォンでこの「AbemaTV」のサービスを開くことによって、ユーザーが直ちに地震などの詳細な情報を得られる形を実現していきたいと考えている。今後も、様々な機能改善や追加サービスを予定している。「AbemaTV」の今後の展開に期待してほしい。
次にKDDI株式会社と昨年8月に提携したビデオパスにおける協業について。5月18日17時から、バカリズムさんがプロデュースする新番組「青春バカリズム」の配信がビデオパスでスタートした。「青春」をテーマに企画立案やゲストとの出演交渉から番組の演出まで、すべてバカリズムさんが一人で行う斬新なドキュメントバラエティー番組。初回がビデオパスお笑いジャンルで1位と好調にスタートした。また、共同制作の第2弾として、毎週水曜日地上波放送と配信を行っている「AKBラブナイト 恋工場」で、新たな取り組みとして、5月25日(水)放送の第11話「過去からのラブレター」(主演:山本彩)の本編に、未公開シーンを加えたディレクターズカット版を6月22日(水)にビデオパスで配信することが決定している。また4月クールドラマの木曜ミステリー「警視庁・捜査一課長」と木曜ドラマ「グッドパートナー 無敵の弁護士」は、5月26日配信の最新話が国内ドラマランキングで上位を獲得し、好調に再生数を伸ばしている。映画事業については平城常務から。
平城常務:当社の出資映画の最新状況を報告する。5月14日公開の「殿、利息でござる!」が順調なスタートを切った。出演は阿部サダヲさん、瑛太さん、竹内結子さんほかで現在のところ、75万6000人、興行収入が9億200万円。「武士の家計簿」(2010年公開)との作品対比で112.8%と順調に推移している。続いてアニメの2作品も非常に好調。「映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃」(4月16日公開)は脚本に劇団ひとりさんが加わった話題作。こちらも順調で、現在のところ動員が165万5700人、興行収入が19億3700万円と大ヒットで推移していて20億円の突破は確実になっている。次に「映画ドラえもん 新・のび太の日本誕生」が興行収入で歴代1位になることができた。5月4日に興行収入40億円を突破し、5月30日時点で40億6000万円、動員358万人を記録している。この作品は1989年公開の映画ドラえもん10周年記念作品「のび太の日本誕生」のリメイク版になっている。ちなみにこれまでの最高興行収入は2013年公開の「映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館」(最終興収39.8億円)となっているので、初めての40億円突破となった。
※AbemaTV好調の一番の要因は。
吉田社長:我々の期待以上に手応えがある。4月もそうだし5月に入ってからも手応えが続いている。若者、特に30代に非常に食い込んでいるというデータがあり、これは我々の狙い通りという部分でもある。視聴データなどの分析では、土日あるいは休日に非常に多く見られていて、時間をかけながら楽しむという使われ方が、狙い通りされているのかなと思っている。もちろんまだまだ30代よりもっと若い世代、あるいは女性層にも食い込まなければいけないが、非常に安心できるスタートであり、気を抜かずにこの調子で頑張って欲しいと思う。
※「オンデマンドか番組表方式か」についてAbemaTVが滑り出し好調であることを踏まえ、どのように分析しているか。
吉田社長:「オンデマンドに比べてどうか」という発想はしないが、もともと我々もインターネットを通じたテレビ放送という形で、簡単にいうと「インターネットストリーミングで多チャンネル」ということでやっていたので、我々のテレビもそうだが、すべてが生ではなくていろいろな番組を作ったり買ったりして流しているものもある。これはサイバーエージェントの藤田社長も話しているが、これまでネットというと、自分で積極的に選んでいくというか探していくという流れがあるので、やっぱり「受け身」というメディアも必要なのではないか、それを目指そうというのがそもそもAbemaTVの原点だと思う。まだスタートして1ヵ月半だが、初期の手応えとしては、そういう意味でのマーケットはしっかりあるなと感じている。
角南常務:ひとつ補足すると、「好調、好調」と非常にありがたい言葉をもらっているが、ビジネスとしてはスタート台に立ったばかりと我々は受け止めている。ダウンロード数は確かに300万を超えて、その部分では快調ではあるが、これをどのようにセールスしていくのか。そして追加機能や追加サービス等もこれから充実させていくという作業もある。さらに定着させていくための施策を打っている最中だ。例えばツイート機能も画面を隠さない形にコメント画面を刷新しているし、AbemaTVの映像を切り出して10秒ほどをFacebookに投稿できる新たな機能とか、今後、アンケートとかお便り機能とかも拡充させていろいろな機能・サービスを追加し、発展的にビジネスモデルとして最適なものにしていこうと。そういう意味でスタートラインに立ったばかりという心境。
※社長が交代し新体制になる狙いや意図を。
吉田社長:5月11日に新体制を発表した。ホールディングス体制になって2年が経過して、その後のメディア環境、テレビ事業並びにテレビを取り巻く環境の変化、特にすごい勢いでインターネット環境を始め業態が拡大しているという状況にある。ホールディングスが持っている全体の舵取りをきちんとしながら、個々の事業に適格かつスピーディーな判断をしていくという2つの側面を活かすには、事業会社とホールディングスそれぞれに分業体制をとった方が良いという判断であり、今回の体制の狙いでもある。
※次期社長に角南常務が就任される。角南常務は「AbemaTV」「ビデオパス」などでご活躍されたが、選ばれた理由は。
吉田社長:今の質問にもあったように角南常務は新しいチャレンジ、放送外収益の分野で頑張ってきており、これまでも国際分野での活躍もしている。この間の国際的な事業、例えばタイへの事業拡大にも尽力している。曲がり角のテレビ事業を率いるあたって、自分の頭の中に色々なファクターを持ち、経験もあり、適材適所という点からも適格と思って選んだ。
吉田社長:最後に私から。私が定例会見に出るのはこれが最後になるので、ご挨拶したい。大変お世話になった。私が社長に就任する前後からテレビ界も非常に激しい変化が始まっていて、動画、4K8Kもそうだし、激しい変化のところで皆さんと毎月議論した。大変な時代だと思う。私も皆さんの質問に備えて、毎月1回頭を整理するという意味では非常に勉強になった。この間、色々放送の問題でトラブルというか、川内原発、古賀発言、いくつかの事故とかハプニングがあった。その度に皆さんにご説明したり、あるいは皆さんから追及を受けることもあった。これも非常に勉強になったし、皆さんに鍛えて頂いた。テレビ事業あるいはテレビ報道に対する、視聴者の期待が非常に高い。それを皆さんが担って敏感に反応してご質問される。あらためてテレビ事業ならびにテレビ報道の使命を自覚した2年間だった。これからはホールディングスを中心ということになるが、皆さんとは懇談等もあるし、皆さんの関心のあるような事業展開があればお話しすることもあると思うので、ひとまず定例会見はありがとうございましたということで御礼申し上げる。

以上